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1223_落ちる

【140字小説】
鼻先をツンと冷たい風がさらった。それに応じるようにして鼻水がツーと垂れた。それが地面に落ちる直前に黒い影が先に落ち、やがてすぐまたそこに鼻水がトッと落ちた。私はズッと鼻をすすり、グイとタオルで拭いた。じんわりと鼻は温まったが、落ちた鼻水はまたそこにいる。もう帰ってこないのだろう。


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