脳外科受診(自宅待機 5)
1月6日(木)、明け方、例のぐわんぐわんと脈打つような痛みに襲われた。
前日は具合が良く、買い物がてら銀行や郵便局へも行ったのに、やはり調子に乗って動き過ぎると次の日に響く。
この痛みは久しぶりだった。退院してから頭痛が起きないので、もう大丈夫だと思っていたのに、髄液の漏れがひどくなったのかと心配になった。(実はこの頭痛は髄液とは関係なかったのだが、この時点ではまだわからないのでそう考えていた)
お昼過ぎになっても、寝ていても、ずっと頭が痛かった。
夜もひと晩中、頭が鳴り響くように痛く、夜中に2度も吐いた。
吐き気は胃のせいだと思ったので、胃腸薬を飲もうとしたが、手の力は相変わらずで、瓶のふたをひねって開けることができなかった。
1月7日(金)、朝になっても具合が悪く、可燃ゴミの日なのにゴミを出しに行く気になれず、お隣りのおばさんに頼んで出してもらった。
おばさんは快く引き受けてくれたが、次のゴミの日の前日、玄関のドアの下からこんなメモを差し込んでくれた。
「ゴミをドアの前に置いておいて。出しますから」
おばさんはこの日からずっと、夏になって私が杖を外して歩けるようになるまで、週4回の可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミのゴミ出しを引き受けてくれた。
私が遠慮していると、
「どうせうちのも捨てに行くんだもの。遠慮しないで。こんなことぐらい、まだできるから」
と言ってくれた。ありがたい。
1月9日(日)、入れば具合が悪くなるとわかっていたが、もう何日も入っていないのでお風呂に入った。
案の定、夜中にものすごい頭痛と吐き気で目が覚めた。
気持ち悪くて寝ていられないので、起きて吐いた。何も吐くものはなかったが、少しすっきりしたのでまた寝た。
夜中に数回これを繰り返した。
1月11日(火)、虎の門病院の脳神経外科を受診。
病院のホームページで調べたら、脳外科の部長である臼井先生の専門が脳血管障害と良性の脳腫瘍だった。
火曜日と金曜日が外来なので予約しようとしたら、初診は予約がいらないと言われた。そこで、朝になって臼井先生が休みでないことを電話で確認して出掛けた。
臼井先生は陽気な感じの先生で、医師としてのキャリアと自信からくる余裕を漂わせ、どこかしら中井先生と共通の雰囲気があった。
先生は九段坂病院から借りていったMRIを見るなり、腫瘍が5センチぐらいあって脳を圧迫しているので、脳がむくんでいると言った。
頭痛や吐き気が起きてもおかしくはない。
腫瘍が脳幹を圧迫すると水頭症になるから、その前に取らなくてはならない。
このまま放置すれば意識障害が起こる。
すぐにでも手術したいが、それにはカラーを外さなくてはならない。
先生はせっかく持っていった頚椎の写真を見ずに、
「カラーを外しても大丈夫なんじゃないの?」
と言った。
カラーは首の骨がくっつくまで、少なくとも2月末までははめているように言われている。
「もう1度、九段坂の主治医に聞いてみます」
「聞いてみて。とりあえず、2月15日に予約を入れておくけど」
「それまで何もないことを祈ります」
「ぼくもそう祈りますよ」
ああ、どうしよう。そんなに急を要するほどの症状だとは思っていなかった。
2月15日まで持つのだろうか?
もしもすぐに入院することになったら、またチビを預けなくてはならないのも心配だった。
チビはお正月の6日からものを食べなくなっていた。
鼻水が出て、鼻も詰まっているので、子猫の頃、厳冬に捨てられていたときの鼻炎が再発したのだろうと思い、かかりつけの獣医さんに電話して、いつも飲ませる鼻炎の薬を注文し、郵送してもらった。
虎の門病院から帰ったら薬が届いていたので飲ませたが、物を食べないからぐったりして、苦しいらしく寝返りばかり打っている。
チビを病気のまま置いて入院することになったらどうしよう。何とか食べるようになってくれないと困ると思った。
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