誕生日にプレゼントされた花は……
昔、ロビンと知り合ってまだ間もない頃、彼が私の誕生日に花をプレゼントしてくれた。
それは仏花だった。
駅のそばの花屋では、店先に洋花数本の花束と仏花を並べていて、仏花の方が高かった。
彼は花屋の店先で色とりどりの花を取り混ぜた仏花を見て、きれいだから私が喜ぶと思ったのだろう。高い仏花を買って来てくれた。
私は花をプレゼントされたことも嬉しかったし、ロビンの気持ちも嬉しかったので、彼をがっかりさせないように仏花だとは教えなかった。
欧米の男性は女性によく花をプレゼントする。
日本人の男性で女性に花をプレゼントする人はどれぐらいいるだろう?
食事をご馳走してくれたり、物をくれることはあっても、花を贈ろうとは思いつかないのではないだろうか。
私も日本人の男友達や付き合っていた人から花を贈られたことはない。
花をプレゼントされると、欧米の女性は真っ先に香りを嗅ぐらしい。花に顔を埋めるようにして。
日本女性はどうだろう。もらった花の香りを嗅ぐだろうか?
「まぁ、きれい」と言って眺めるだけで、香りを嗅ぐことはないと思う。
なぜなら、買った花にはあまり香りがないからだ。
私は毎週花を買うが、買った花には香りがないことに、とうの昔に気付いていた。
カナダ旅行をしたとき、道端の野の花を摘んで小さいブーケを作った。
日本では店で売られているデイジー(マーガレット)が、道端にも野原にもたくさん咲いていた。
そのデイジーには香りがあったので、野生のデイジーは香りがするのだと思った。
デイジーに限らず、花屋の花には香りのないものが多い。
郊外の実家では庭でフウリンソウを育てていたが、花が咲くととても良い香りがした。
都内に越してきてからはベランダ園芸だが、毎年フリージアの球根を植えるので、3月末から4月に掛けて花が咲く。
たくさん咲くので切って家の中に生けると、部屋中フリージアの香りでいっぱいになる。
残念なことに、店で売られているフリージアもフウリンソウも香りはしない。
バラは棘があるし虫が付くので自分で育てる気はしないが、バラの花を見ると香りを嗅がずにはいられない。
散歩道でもバラを育てている家はいくつかあるが、家の周りにたくさん植木鉢を並べて、見事なバラを何種類も育てている家がある。
バラの季節になると、その家の前を通るコースを選んで散歩して、足を止めてバラの香りを確かめる。
濃い色の花には香りがなく、薄い色の花には香りがある。そう思っているので、白や黄色や淡いピンクの花に鼻を近付けて嗅いでみる。
色や香りは花粉を運ぶ蜂などの虫を引き寄せるためなので、色の薄い花は代わりに香りが強いのだと聞いたことがある。
今度バラ博士の由紀ちゃんに会ったら正しいかどうか聞いてみよう。