怒りっぽい患者(脳腫瘍 20)
3月17日(木)、MRI。
リハビリは毎朝11時から始まり、1時間ほどかかる。
この日はリハビリの後で脳外科の外来受付に寄り、退院後の外来予約をした。
病室に戻ろうと7階のナースステーションの前を通りかかると、看護師さんからメモを渡された。
「アンヌさん、MRI、時間変更になったから」
「1時じゃないの?」
「時間が早まったの」
メモには12時45分必着でMRI室に来るようにと書かれていた。
病室に着くと12時15分だった。
もうじき昼食が運ばれてくるところだったが、食べて歯を磨いて行くには時間が足りない。
食事は落ち着いて取りたいと思ったので、MRIが済んでから食べることにした。
リハビリの後ですっかりお腹が空いてしまったので、手早く食べられる買い置きのタマゴパンを食べ、牛乳を飲んでから検査室へ赴いた。
ところが、MRI室の前で長椅子に腰掛けて待っていると、係の人(技師さん?)が来て、「あと15分ぐらい待ってください」と言う。
あと15分待てだって? 12時45分必着で来るようにと言うから食事もしないで来たのに、何を今さら。
「もともと1時の予定だったのに、間際になって変更して、急いで来たら15分も待たせるの? そんなに待たされるなら、お昼を食べてから来たかったわ」
と文句を言う。
「すみません。前の患者さんがまだ終わらないので」
「それなら変更しなければよかったでしょ? なんで変更したのよ」
「すみません」
係の人は平謝りだが、理由を言わないので、昼食をお預けされた私は腹の虫がおさまらない。
彼女は私がいつまでも怒っているので困ったらしく、聞いてくると言ってMRI室に戻っていった。
ムカムカしながら座って待っていると、廊下の角を曲がってY先生が現れた。
私は先生もMRI検査に立ち会うために来たのかと思ったので、事情を説明し、
「文句を言ってやって」
と頼んだ。
Y先生はMRI室に消えたが、しばらくして戻ってくると、
「外来でどうしても緊急で撮りたい患者さんを割り込ませたんだって。もう少し待ってて」
と言った。
それならそうと最初から言えばいいのに。
係の人が謝るだけで理由を言わないから、自分たちの勝手な都合で急がせたり待たせたりするのだと思って腹を立てたのだ。緊急の患者なら仕方ない。
Y先生はMRIの写真を取りに来ただけらしく、理由を告げるとどこかへ行ってしまった。
先生にはよくよく文句の多い、怒りっぽい患者であることを印象づける結果になった。いやはや。
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