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与太話

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他愛もない話
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2023年4月の記事一覧

ネタばれあり感想・三津田信三『怪談のテープ起こし』『のぞきめ』『みみそぎ』

 ホラー小説です。最初に断っておくと、文句を言いつつも三津田信三が書く怖い話は(もちろん作品にも依るが)わりと好きです。この三作を挙げたのは、最近たまたま目について読んだからです。面倒なので感想を書くにあたって改めて本を開いて細部を確認などはしません、今頭の中に残っている印象だけで書きます。

『怪談のテープ起こし』
 今回読んだなかでは一番好きです。自殺者の遺言音声をかたっぱしから集めて書き起こ

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ホラー創作「東京都錫見原市は存在しません」について、感想など

 もちろん現実において東京都錫見原市という土地は存在しない。
表題「」内のユーザー名がついた創作アカウントがtwitterにあるので、まずそれを表示させて一番上にあるプロフカードを読めば作品のコンセプトは理解できるようになっている。アカウントの中の人(錫見原市に住む高校生という設定)の日常ツイートを読み、疑問などがあればどんどん話しかけてほしいとプロフカードにあったのでたまにリプライを送って楽しん

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ホラーではないけど怖い小説

 ホラーというジャンルに区分されているわけではないけど妙に怖い小説というものがあり、そういった作品について書きたくなったので書く。以下に挙げる話はどれも極めて短いし青空文庫で無料で読めるので、興味があれば読んでみてほしい。

 まず有名なのは夏目漱石の『夢十夜』だろう。こんな夢を見た、という書き出しの掌編が十夜ぶん集まって成立している作品だが、その中でも赤ん坊を背負って夜道を歩いている男の話が特に

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キャンプの効用

キャンプの効用

幸せは相対的なものであり、苦難との落差があってはじめて幸せと認識できる。したがって、幸せを維持するために敢えて苦難を甘受することも時には必要となる。かっこつけて小難しく言ったけど、要するに安楽な生活ばかりしているとそれに慣れてありがたみを感じなくなってしまうのでたまには疲れることや面倒くさいこともしたほうがいいよということだ。私はキャンプの効用もそこにあると思う。荷づくりのめんどくささ、テント設営

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