尾道
「左手は〜重要文化財、三重塔。1338年建立〜現在から635年も前に〜、、、」
20人ほどが乗りほぼ満員のロープウェイの中で、身動きが取りにくい不快感を緩和させてくれる穏やかなアナウンスが流れてくる。
窓側の陣地を取り損ね、人の頭と頭の間からしか景色は見えないが尾道の景色が徐々に徐々に広がっていくのが見える。
お寺の真横をロープウェイは走り、正面を向けば尾道水道が広がっている。日本一短い船の旅、向島へ行く船が瀬戸内海の海を泳ぐ。
太陽の光が瀬戸内海の海を照らしキラキラと光る姿はまるでこの街全体が宝石箱のようだった。
「映画の町」「海と坂の町」」「猫の町」「日本遺産の町」
沢山の呼び名があるこの場所、「尾道」を訪れた。確かに坂は多かった。坂というより階段が坂になっているという方が正しいのだろうか。
今日だけで太ももが筋肉痛になってしまいそうだ。ただ坂を降りている時にふと見える瀬戸内海には毎度息を呑まれるほど美しかった。
音楽を流しながら坂を下ればまるで映画のワンシーンに自分がいる感覚に陥るだろう。
聖徳太子が開基したとされる浄土寺、1000年以上も前の千光寺、室町時代の三重塔、、20数個のお寺があるのもまた魅力の一つ。
この街には平和の音が、時間が流れているようだった。朝になればパズーのトランペットの音が鳴り響くのではないか、とまでも思ってしまった。
今回は真冬の時期に来てしまったが、次は夏に来て絶対サイクリングをしようと思う。
そして瀬戸大橋から夕日を眺めたい。
多くの俳人がこの町を訪れ詩を残したのだからまだまだ魅力が沢山あるだろう。
"尾道"
これまで沢山の県を訪れてきたが、稀に感じるビビッとくる何かがあった。これはきっと私の心が尾道に完全に魅了されている証拠だ。
次訪れた時にも変わらない美しさがそこにまだ存在し続けることを祈りながら、私は今日この町を出た。