小判食え
本文
「ほら、食えよ」
「お金だよ。それはいただけない」
俺の友人は、金属から栄養素を作る特異体質だ。
金属製のものをこっそり与えていたのだが、廃材がなくなってしまった。
何故かって?
この頃、金属の窃盗が多発している。
九分九厘、転売目的の窃盗である。
詰まる所、俺たち…厳密にいえば友人は、転売ヤーの被害者というわけだ。
予防接種の時の針、別の友人のピアス、有害だからと歯科医に取ってもらった銀歯……。
それでも足りない。
自宅の倉庫を探していると、足が何かにぶつかった。
木箱だ。重さがある。何かが入っているのだろう。
小判が入っていた。
しかも大量。
これはいけるだろう。
そのあと冒頭に戻る。
「確かに金は大切だ。だがな。お前自身はどうするんだよ」
「俺は錆びた鉄くずで問題ない。換金して自分のしたいことをすればいい」
「お前の為に言ってるんだよ。食えよ」
「まず質屋行け。偽造小判なら食ってやる」
折衷案で解決した。
この後どうなったか?
口外禁止だ。金銭に関わるからな。
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