10/8Mリーグ 瑠美プロはドラ単騎で追っかけなくてどれだけ損したのか?
はじめに
10月8日(金)Mリーグ第2試合南3局、風林火山・二階堂瑠美プロの選択が賛否両論を巻き起こしています。パイレーツ・朝倉健心プロのリーチに対する選択です。
本稿では、瑠美プロはドラ単騎で追っかけなくてどれだけ損したのか?をできるだけ定量的に考えます。
どんな局面なの?
話題になっているどんな局面なのか、ご説明しましょう。
(以下、画像出典はAbemaTV)
朝倉プロがイーペーコー・ドラ2という上の大物手をテンパイ。1sか3sを切ればテンパイですが、朝倉プロは3sを切って、2枚切れのカン2s待ちを選びんでリーチとしました。
リーチ一発目の瑠美プロの手がこれ。
5mツモ。2m、1p、2pのどれかを切ればテンパイです。読者のみなさんなら、どうしますか?
解説の渋川難波プロは「追いついた。これドラ単騎で行くんじゃないですか」と言っています。
あーーーー、
でも、ここで瑠美プロが切ったのは
現物の7sでした。
ここで、789sから7s切るということは完全に和了をあきらめたということ。
切った直後の表情。
渋川プロ「今回はもういいということですかね」とコメント。
これが話題の局面でした。
ふつうは何切る?
最近は多様性を認めるというのが社会の大きな流れです。代表的なものはセクシュアル・マイノリティ(LGBT)をめぐる議論でしょう。
だから、「ふつうは・・・する」という言い回しはなるべく使いたくないです。とはいうものの、 ちょっと他に言葉が思いつきません。
やっぱりこの場面は、ふつうはドラ単騎で追っかけリーチをかけるのではないでしょうか(あ、「ふつう」って使っちゃったw)。
ほかのMリーガー、例えば寿人だったらノータイムで追っかけリーチをしている姿が想像できます。
実際、福地先生のノートもドラ単リーチを正解としています。
本稿では瑠美プロの一打だけを取り上げていますが、上の福地先生のnoteとその前編
では、瑠美プロの打牌を多数あげて微に入り細を穿って検討しています。Mリーガーとしての瑠美プロってどうなの?と思っている人はぜひ読んでみると面白いと思います。
ドラ単騎で追っかけなくてどれだけ損したのか?
この局面、この点棒状況で、ドラ単騎の追っかけリーチが正解だとして、 瑠美プロは降りてしまってどれだけ損をしたのでしょうか。
追っかけリーチが正解だよという主張は、ネット上にたくさんありますが、追っかけなくてどれだけ損をしたのかは誰も示していません。
もちろん瑠美プロの目からは、ドラ単騎でおっかけたとき、自分の手は和了牌が残り3枚、収入はツモって8000(マンガン)+リーチ棒2000(うち1000点は自分が出した分)、ロンで5200+リーチ棒2000、流局の場合には(恐らく残り2人はノーテンなので)ノーテン罰符が1500点ということです。
朝倉プロの手は 上述のようにイーペーコー・ドラ2という大物手ですが、これはもちろん瑠美プロの目からは分かりません。
なので、朝倉プロの手がロンで5800、ツモで2600オールのメンピンドラ1で和了牌が山に残り6枚(オナテンではない)と仮定すると、期待値は
となって、追っかけた方がよいということになります。
局収支で2527点の損をしたことになります。
朝倉プロの手がロンで7700、ツモで4000オールのリーチ・タンヤオ・赤ドラ1で和了牌が山に残り6枚(オナテンではない)ともう少し高く仮定すると、期待値は
となって、微差で追っかけがいいです。
もし瑠美プロが超能力者で、朝倉プロの手は出て12000、ツモって4000オールの手で山に残り2枚というところまで予想できたとしても、期待値は
となって、追っかけた方がよいということになります。
朝倉プロの手がロンでもツモでも親マン、和了牌が3枚残りのときでさえ、期待値は、
となって、微差で追っかけがいいです。
親マン・4枚残りを仮定すると、さすがに
ベタオリの方が得になります。
いろいろと仮定を変えても、損な選択をしたと思われます。
以上は局収支の考察でした。もう着落ちのリスクのない状況での半チャン収支で考えれば、ドラ単追いかけが正解といっていいでしょう
計算の理屈
計算の理屈は、下記のnoteをご覧ください。ただし、ポンチーカンがないとき、西家だとツモ回数が東家より1回少ないので、今回は計算をかんたんにするために瑠美プロは南家だと仮定して計算しています。また、一発・裏ドラは考慮していません。
(2021.10.18追記 2pは通るという前提で計算していました。2p一発放銃の可能性を考慮すると上の微差のところはオリ有利になるでしょう。ただ、それ以外の図はそう大きな影響はないと思われます)
計算には、数式処理ソフトMathematicaを使用しました。
おわりに
以上、瑠美プロの選択が損と思われる理由を定量的に示しました。瑠美プロはベタオリせずにドラ単騎で追っかけリーチを打つべきという意見はネット上に多数ありましたが、筆者の知る限り、ベタオリするとどのくらい損かを定量的に示した論考は皆無でした。
本稿の結果は、当該局面の議論に新しい知見を付け加えたと思われます。
最後にひとこと―――瑠美プロは女子プロの草分け・二階堂姉妹の姉として高い人気と麻雀界の地位をすでに獲得しています。なので、ハングリー精神がないからあっさり降りちゃうのかなー。最後の最後に、なんか情緒的な感想になってしまいますがw
最後までお読みいただきまして、有り難うございました。
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