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短大生活、1年目
桜が満開の校内で、新しい門出を祝う様に
綺麗なうすピンク色の花達が咲いていた。
私は、そんな桜にも目を、向ける余裕もなく、
重い専門書をロッカーにしまう。
これから、看護師としての勉強の生活が始まる。
短大は普通2年課程たが、看護科は3年課程。
大学で4年かけて学ぶべきものを3年という
短い期間で、知識、技術、そして、病棟実習となる。
私立の短大1年目は、
興味のない、難しい専門用語が並べられた
授業。
授業の進みも、とても早くて…
正直、わけがわからない状態だった。
たまたま、隣の席にいたB子とC子。
この2人は、高校が同じで顔見知り。
そんな2人と過ごす事が多かった。
1年目の夏になると、
私はアルバイトを始めた。
洋菓子店だ。
地元でも老舗で、名のしれた店。
アルバイトは、とても楽しかった。
美味しいケーキを買って帰ったり、
同年代のバイトさんも多かったので
話しも弾んだ。
仕事なので、勿論難しい人もいたけれど
それでも、看護学校より何倍も楽しかったし
お金を稼げる喜びがあった。
そんなアルバイト生活と、学校の勉強を頑張っていたわけだが……。
アルバイトと勉強の両立は、
非常に難しかった。
1年に2回ある、定期試験。
マークシート方式だったが、
ほぼ、全科目……毎回追試。
この学校の看護科は、テストで
60点以上でなければならない。
追試は、別途料金を支払って、
受けなければならなかった。
そして、この学校は、テストの点数は
生徒には公表されない。
つまり、
自分がテストでどのくらい出来ているのか
分からない。
結果発表あって、
赤点かどうかしか分からなかった。
今思うと、
なんとも変な学校のシステムだと感じる。
そんな追試三昧な私が1年目の終わりを、迎えようとするのだが
追試の後には、
初めての病棟実習が1週間程設けられている。
この病棟実習も、試験の1つと言える。
病棟の看護師や、実習担当の先生の評価。
それが、合格出来なければ、留年する。
一発勝負だった。
病棟実習は、先生が決めた
学生5人グループで
総合病院に行き、現場の看護師と一緒に
入院している患者さんとのコミュニケーション
を主とし、看護計画等を作成し、支援を行う。
看護学生は、この実習が1番しんどい。
早朝から始まって、家に帰って深夜までやらなければ、翌日の実習に指摘が入ったりするし、やり直しも十分にあるからだ。
初めて会う患者さんとのやりとり、
看護計画やサマリーなんかを
学生ながらにして、
作らなければいけなかった。
病院に着いたら看護計画や、
今日やることなどを先生に見てもらいつつ、
現場の看護師も確認する。
ここでも私はダメ出しを貰っていた。
他の子は出来ていた様だけれども
私は、何故ダメ出しをされていたのかさえ
分かっていなかったし、
先生や現場の看護師さんの言っている意味や
視点のズレなども意味が分かっていかなった。
1週間という短い様で、精神的にしんどい
実習が終わりを迎えた。
実習の結果は、何とか合格したらしい。
先生から
口頭で言われただけの合格通知だった。
これで、短大2年になれるようだ。
この先、
どんな思いをしながら学校生活を送るのか…。
さぁ、2年目だ。