決勝トーナメント1回戦にPK戦は要らない ~妄想トーナメント~
サッカーの大会のルールをうまい具合に変えたら、もっと盛り上がりそうだよなぁ。と、勝手に妄想していきます。
まずは、PK戦がなくなるルールを考えてみました。数少ないゴールキーパーの見せ場、ヒーローになれるチャンスをなくすのは、しのびない気がしますが、いってみましょう。
1位突破は優遇されない
突破確定だと気が緩む?
ワールドカップやアジアカップなど、16チームや32チームによる大会では、グループステージの後に決勝トーナメント(ノックアウトステージ)が行われるものが一般的。
その場合、決勝トーナメント1回戦は、グループステージ1位と2位の対戦になるが、試合自体は対等条件で行われる。
当たり前過ぎて、以前は疑問に思わなかった。
でもこれって、「1位にならなくても別にいいや」って事にならないか?
1位の優位点があるとすれば
下位(相対的に弱いと考えられる)相手と対戦できる。
ホームで開催できる。
賞金が多くなる。
日程や試合会場の移動の負担が軽くなる。
ユニフォームの色(ホームorアウェー)を優先的に選べる。
1.2.は優位点と理解出来るが、2.はそもそもホーム開催など出来ない大会がある。
3.以下は、一般観衆にとってわかりづらい。あるいは、どうでもいいと感じる優位点だ。
1.について改めて考えると、グループステージの順位が実力順になるとは限らない。対戦するグループの2位が強豪チームだとしたら、1位になるのは優位と言えるのか。
この考えをもとに、意地悪な質問をMicrosoft Copilotに投げてみた。
的確な返答なので、そのまま掲載する。
『その通りだ』とは思うものの、回答が優等生過ぎて、まるでFIFAに言わされてるみたい。負の側面にあまり踏み込みたく無いようだ。
突破確定したチームが3試合目に臨む意気込みは、こんな感じだろう。
1位突破 ≧ 2位突破
もう決勝トーナメントの試合のことを考えていて、目の前の試合は二の次。
勝ちに行く姿勢はあるけれど、全力とは言えないかもしれない。
見える敵 見えない敵
16あるいは32チームでの、2位以上というグループステージ突破条件は、わりと厳しい。
ゆえに、1位か2位かを選べる様な余裕をもった状況は、それほど多くならない。
それよりも、グループステージ突破が優先で、1位を狙うどころではないという状況は、結構ある。
覚えている方も多いかもしれない。2018ロシアW杯の日本 vs ポーランド戦は、まさにそうした状況だった。
日本は、2試合終えた時点でセネガルと同じ勝ち点4。フェアプレーポイントの差で、暫定首位に立っていた。
3試合目は、セネガル vs コロンビア。そして、日本 vs ポーランド。
仮にも日本は首位。
もちろん、願うは勝って首位で決勝トーナメント進出だ。
しかし、頭の片隅に『引き分けでOK』という考えがなかったか? チームがそう考えるのは、戦略上当たり前の事かもしれない。想定して試合に臨む必要がある。では、応援するファンはどうだったか?
結果はご存知の通り。
おさらいしたい方の為に、当時の記事を貼っておく。
世紀の茶番? 日本対ポーランドのスタジアムで何が起きていたのか(村上アシシ) - エキスパート - Yahoo!ニュース
この状況を表すのに
『This is football』
という言葉がある。
『これがサッカーだ』
という意味だが
この言葉は好きじゃない。
後ろ向きではなく
前向きな意味で
言えるようになれば
いいと思う。
日本は、試合に負けて決勝トーナメントの切符を手にした。
チームにとっての勝利は、大きく分けるとふたつある。目の前の対戦相手という見える敵との勝利と、決勝トーナメント進出や優勝といった目標、見えない敵との勝利。
理想は、見える敵との勝利が見えない敵との勝利に直結していること。
日本は、見えない敵との勝利を優先し、見える敵に敗北することを受け入れた。あのような途中経過では仕方がないという見方もあるが、そもそも本気で勝ちに行く気概があったのか。
とてもうがった見方だということを承知の上で書くと、こういうことだ。
2位突破 > 1位突破
これは、おかしいだろ。1位の価値が低い。低すぎる。
1位突破が明らかに有利というルールじゃないのが、問題なのでは?
観衆にもわかりやすい1位優遇ルールがあっても、いいんじゃないか?
上位チームを優遇しよう
J1昇格プレーオフには、明確な上位優遇のルールがある。
少々ケチをつけるなら
4位vs5位は
順位差が小さいから
延長戦120分で引き分けの場合
でいいんじゃないかなと
個人的には思う。
決勝で3位vs4位
または5位vs6位
となった場合も同様。
これは余談なので
脇に置いておく。
グループステージ1位に与える優遇策は、これがいいんじゃないかと思う。
ただし1回戦のみ。何十試合も重ねた順位と、3試合で決まった順位では、順位の重みが違う。2回戦以降は通常のPK戦を含む試合。
アドバンテージを90分にするか120分にするかは、大会や状況による。
アドバンテージ120分の場合をまとめるとこうなる。
優遇策があるとどうなる?
グループステージの思惑
より高みを目指すチームは、アドバンテージがあってもなくても1位を狙うだろう。だが、そのアプローチは変わりそうだ。
これまでだと、2勝した後の3試合は、選手を大幅に入れ替えて臨むイメージがある。決勝トーナメントに備えてのものだが、別に勝利を放棄している訳ではない。出番がなかった選手に、勝利を託す考えがある。
アドバンテージルールがある場合、3戦必勝を目指すだろう。3戦通して選手をやり繰りするマネージメントが行われる。2戦目までと比べて、3戦目のメンバーの格は落ちないだろう。
1位突破 > 2位突破
1位突破が明確な目標となる。当たり前だが、こうあるべきだ。
アドバンテージルールがあると仮定して、前述の日本 vs ポーランド戦がどうなるか考えてみよう。
同じような終盤を迎えれば、それでも膠着状態となる可能性はある。
敗戦すれば2位となり、決勝トーナメント1回戦でのビハインドを受け入れる。
受け入れられるか?
より辛辣な批判にさらされるのが目に見えるようだ。
突破のためにはやむ負えないとする擁護派も、かなり少なくなるだろう。
よって、日本は1位突破を目指し、必勝態勢で試合に臨む。
引き分け、ましてや負けての2位突破でもいいとは考えない。
実際の結果は、負けて2位突破になるかもしれない。
だが、自ら敗北を選ぶはずがない。
と思いたい。
決勝T1回戦の試合展開は苛烈に
2022W杯 日本 vs クロアチア戦
延長120分を戦い、日本はPK戦の末敗れた。
アドバンテージルールであれば、延長120分引き分けだから、日本の勝利のはずだ。しかし、実際にはそう単純ではない。
試合展開は、全く違う物になる。
仮に引き分けのまま試合が推移したとする。
終盤が近づくにつれ、クロアチアの攻撃の圧力が強くなる。
最終盤ではリスクもいとわず、パワープレーを仕掛けてくるだろう。
日本は防戦一方の中、隙を突いてカウンターといった展開が考えられる。
同じ延長120分引き分けという結果が出るかは、やってみないとわからない。
象徴的な試合
2014J1昇格プレーオフ 準決勝
ジュビロ磐田(リーグ4位) vs モンテディオ山形(6位)
この試合では、90分引き分けならリーグ上位の磐田が勝者になる。
互いに1点を加えての同点で、後半アディショナルタイムに入る。
山形(黄ユニ)がコーナーキックを獲得。残り時間が少なく、ほぼラストチャンス。引き分け=敗退となる山形は、もうゴールマウスを守る意味がない。山形のGK山岸(緑ユニ)が磐田ゴール前に上がっていく。
百読は一観にしかず。観るべし。
これぞ、サッカー
一瞬にして、勝者と敗者が入れ替わる。これほどゴールキーパーが脚光を浴びる瞬間は、まずないだろう。
アドバンテージルールだと、終盤にキーパーが相手ゴール前に詰めるのは、もはやお馴染みの光景となる。
PK戦をなくすことで、キーパーがより輝くチャンスが巡ってくるというのは、実に興味深い。
アドバンテージの欠陥・デメリット
良いことばかり述べてきたが、悪いことはないのか。
アドバンテージルール自体は、割と簡単に思いつく。
導入のハードルも低い。大会前に周知すればいいだけ。
経費の掛かるような準備も要らない。
しかし、主要な大会に採用されていないのは、なぜだろう。
何かとんでもない欠陥でもあるのか?
キーパーのシュート練習が必須になる、ぐらいしか思い付かない。
まあ、競技者は負荷が増えるよねってのは、わかる。
でも、刺激的な試合が増えて、観衆は大歓迎のはずだ。
欠陥やデメリットを知っている、見つけたという方は、教えて欲しい。
おそらく、現行のルールで大きな問題がないので、変更する必要がないと考えられているのだろう。
グループステージを突破したチームを対等に扱うのは、正義だとは思う。
しかし、より良い戦績で突破したチームを優遇するのも、正義ではないだろうか。
今回、16や32チーム参加の大会について述べたが、実は12や24チームの大会の方が問題が大きい。
2026W杯の48チームも。これは次回の宿題。
宿題、出来ました~
もしよろしければ、読んで下さい。