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御餅田あんこ
2020年4月18日 02:27
『お題をもらって書く』より、「やかん」と「ストーブ」で 泥のように眠り、刺すような冷気に目を覚ました。いつ眠ったのか、どれだけ眠れたのか、全く分からない。ただ、枕元に置かれた時計が、長年染みついた習慣通りに目覚めたのだと示していた。 美枝子は自分の体温で温まった布団から這い出して、髪を結い上げる。部屋中が凍てつくような空気に充ちている。目に見えるほどはっきりと、吐いた息が白く広がった。