【外資系コンサル】シニアマネージャーのリアル
この週末は趣味であるフラメンコのイベントで踊りました。フラメンコの本場であるスペイン出身の先生に習い、とても上手な人たちに交じって踊ることができるのはとても刺激的で楽しいです。
さて今日は、外資系コンサル企業のシニアマネージャーがどんな仕事をしているのか?ということで、私の主な業務について書きたいと思います。
最初に結論をまとめてしまうと、日々の仕事を全体を100%として細かく分けると以下の通りです。
クライアント対応(50%)
チームの管理と指導(30%)
提案書作成(10%)
プロジェクトの利益管理(10%)
以下、1点ずつ解説したいと思います。
◆対象顧客と仕事の概要
外資系コンサルティング企業と言っても、一体何の仕事をしているのかピンとこない人が多いでしょう。B to B (企業間取引)を行い、顧客企業の「アドバイザー」として彼らの抱えている課題解決を第三者視点で行います。
私の顧客は製薬企業ですが、プロジェクトの種類は多岐に渡ります。主要学会での情報収集、競合のモニタリング、製品のプロファイル評価、製品のエビデンス収集のための計画策定など。プロジェクトの長さも、数か月で終わるものあれば、1年以上の長期に渡るものまで様々です。一言で簡単にまとめれば、「製薬企業に顧客を絞った何でも屋」として仕事をしています。
マネージャーの会社での位置づけはちょうど中間より少し上の中間管理職。プロジェクトマネージャー(PM)としてプロジェクトを回し、顧客に対して質の高い成果物を提供することで、次のプロジェクト獲得に繋げることが一番大きな仕事です。
1. クライアント対応
プロジェクトにおいて、PMは顧客に対する「窓口」となります。メールで進捗状況を報告したり、ミーティングで議論をリードするなど、重要な役割を担います。
1日の半分はメール対応と社外ミーティングで潰れると言っても過言ではないほど、日々膨大な量のメールとミーティングを捌いています。
現在私が抱えているプロジェクトは3つで、そのうち2つは「組織変革 (Organization Transformation)」に分類される既存の組織体制を再構築するプロジェクトです。それぞれ「外部組織との連携体制を整える」「複雑な組織の部署間の役割を明確にする」というプロジェクトの目標に向けて動いております。
ステークホルダー(関係者)の数が50を超え、特に中心メンバーとの細かい打ち合わせが入るため、ほぼ毎日顧客とのミーティングがあります。
プロジェクトは、このサイクルを繰り返しながら、随時顧客と細かく調整を行い進めていきます。
2. チームの管理と指導
プロジェクトのチームには、アナリストやアソシエイトなどのメンバーが配属されます。彼らの主な役割は「手を動かす」こと。資料を読み込み調査・分析を行い、成果物の作成を行います。
マネージャーの役割は、チームメンバーに仕事を割り振り、その進捗や質を随時確認し、プロジェクトの方向性とのズレがないかをチェックすることです。
日々、30分程度のミーティングを通じて、各自のタスク内容を確認します。進捗が遅れているタスクがある場合は、そのタスクをチームメンバーから引き継ぐこともあります。
そして、チームメンバーに依頼していたタスクが完了すれば、その内容を細かくチェックします。私はアメリカ・ヨーロッパの同僚と仕事をしているので、朝は主にアメリカのチームメンバーが前日に完了させたタスクの確認を行うことが多いです。
たとえば、顧客とのミーティングに向けたスライド作成をお願いした際には、以下の点を細かく確認しています。
また、プロジェクト以外でも「ラインマネージャー」として、3-4名ほどのアナリストやアソシエイトの業務やパフォーマンスを管理・指導する役割を担っています。
2週間に1回面談を行い、現在携わっているプロジェクトの内容についてヒアリングし、困っていることがあれば一緒に解決策を探るなど、目標達成に向けて日々彼らをサポートしています。
3. 提案書作成
プロジェクトを受注するための重要なプロセスの一つが「提案書作成」です。マネージャーはその提案書の作成を一任されることがあります。既存の顧客から、「現在このような課題を抱えているが、解決できるか?」といったリクエストを受け、それを基に提案書を作成します。
提案書には、以下の内容を盛り込むため、過去に同様のプロジェクトをマネジメントした経験があることは必須です。
顧客は、複数のコンサルティング企業から同様の提案書を受け取り、それらの資料を読み込んだり、各企業にプレゼンテーションを依頼したりして、最終的にどの企業に発注するかを決定します。
多くの場合締め切りが短いため、急に提案書作成がタスクとして振られることがあります。そのため、進行中のプロジェクトを止めることなく、同時並行で質の高い提案書作成を超特急で進める技術が求められます。正直なところ、とてもストレスを感じる過程ではありますが、受注できた時の喜びは格別です。
4. プロジェクトの利益管理
最後に、プロジェクトの利益管理があります。
プロジェクトを進める中で、方向修正が必要になったり、スコープが広がることはよくあります。顧客の細かい要望に対応していく中で、当初想定していたよりも多くの時間が必要になるケースもよく見受けられます。
こうした予期せぬ状況が発生し、チームメンバーのリソースが圧迫された場合には、すぐに上層部に報告する必要があります。
現実的に限られたリソースでどこまで対応できるか、顧客に費用の再交渉の余地があるかなど、上層部とのすり合わせが欠かせません。
黒字でプロジェクトを回すことも、マネージャーとしての技量の一つとされているため、私も日々チームメンバーの時間管理を含め、プロジェクトの利益率を確認するようにしています。
既にお分かりの通り、外資系コンサルティング企業のマネージャーの仕事は、紐解いてみると地道な作業の積み重ねです。
顧客の窓口担当者としては、賞賛を受けることもあれば、時には厳しいフィードバックを受けることもあります。また、社内では組織の上層部と現場の間を取り持つ役割も担います。プロジェクトの成果物の最終的な品質はマネージャーにかかっており、チームメンバーの作成した資料の質が低かった場合には、週末を返上して修正対応を行うこともあります。高いストレス耐性が求められていると感じます。
実際、前回の評価では「どんな困難な状況下でも冷静に対応できている点が素晴らしい」と、ストレス耐性に関して肯定的な評価を受けました。笑
明日からまた忙しい一週間が始まりますが、精一杯頑張りたいと思います!