幼少期➉

父の社員旅行に家族全員参加させてもらった。
2月か3月だった気がする。
私は幼稚園を休み、兄は学校を休んだ。

旅行先は沖縄だった。
父の会社からバスで空港まで行き、飛行機で沖縄へ行った。
私は当時、乗り物酔いをしやすかった。
空港までのバスはなぜか平気だったが、6時間近く飛行機に乗り、
酔ってしまった。
飛行機はとても楽しみにしていたのだけど、到着までの時間は恐ろしく退屈で。
みんな眠るなり本を読むなりうまく時間を潰していたと思うが、
私は昼寝ができなかった。
昼寝が苦手なのだ。
眠くないのに昼寝なんかできないし、人に寝顔を見せるのがとてつもなく 恥ずかしかった。
隣で妹が寝ているなか、私は母に「まだ?」と何回訪ねただろう。
機内食も美味しくなく、満足できない時間を過ごしていた。
途中、絵本を誰かが貸してくれたが、飽きてしまうし、乗り物の中で本を読むと、必ずと言っていいほど酔っていた。

ようやく着いた、と思ったら天気は雨、おまけに寒い。
吐きそうな私を母が抱っこしてくれて、トイレに連れて行ってくれたが、
トイレは長蛇の列。
絶望の中、私は我慢できずリバースした。
父の会社の女性職員や、空港の職員の方が床を拭いてくれたらしい。
いくら子供のやったこととはいえ、父や母は当時どう思ったのだろう。
私が乗り物酔いをしやすいことは知っていただろうけど。
同じく社員旅行に同席していた小学生くらいの女の子が、切なそうに私をみていたのを今でも覚えている。

旅行で覚えていることといえば、ヤシのみのジュースを飲んだこと、ホテル内のゲーセンで父の会社の職員と遊んだこと、浜辺に行ってサンゴを拾ったこと、星の砂を買ったこと。
イルカショーも見た気がする。
2泊か3泊したかな。
帰りも飛行機だったのだけど、行きほどではないがやっぱり苦痛だった。
機内食のサンドイッチは、中身が辛かった。

飛行機の中で駄々をこねた私、空港でゲロをぶちまけた私、
サンゴ拾いに夢中になって兄を怒らせた私・・。
沖縄はとてもいい場所だったけれど、
この旅行に関しては、黒歴史にしたい、かな。

これが、幼稚園時代に経験した旅行になった。
小学校では、父が夢の国へ連れて行ってくれることとなる。
それはまだ先の話。

つづく。


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