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生きると死ぬ:Anizine(無料記事)
タクシーに乗っているときはだいたい外の風景を撮っています。たまたま隣を走るクルマを撮ったら、ドライバーがスマホで漫画を読んでいるのがわかりました。
たとえば地獄の使者がやって来て、「運転中にスマホを見るならこのままお前は地獄に行くことになる、見ないと約束するなら生きていていい。どちらかを選択しろ」と言われて、スマホを選ぶような人はいないはずです。それなのに多くの人が運転中にスマホや雑誌を見ている。もしかしたら歩行者を轢いてしまうかもしれないという想像力がなく、スマホを優先させて、生きるか死ぬかを甘く見ている人々です。
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一般道路を60km/hくらいで走っているというのは、自分にも他人に対しても殺傷力がある危険な武器を扱っていると思ったほうがいいのですが、「漫画を読みながら運転しても自分は事故をするはずはない」と根拠なく思い込んでいます。すべてが最悪な状況に陥った後で思うのは「なぜあのとき、漫画なんかを読んでいたんだろう」という取り返しのつかない後悔でしょう。圧倒的に「欲求と代償」のバランスが取れていないことに気づいていないのです。
とんでもないトラブルを起こした人が「まさかこんなことになるとは思いもしなかった」と言うのですが、周囲の人は「あの人ならいつかはやると思っていた」と言うこともあります。わかっていないのは本人だけです。どんなことにも原因がありますから、危険を回避できない人は危険に巻き込まれる確率が高く、それまでは幸運で何も起きなかっただけということもあります。その事実を過信して「今回も大丈夫だろう」と思うのが危険なのです。
自分の大切な人がこういう人に轢き殺されたとき、「スマホを見ていたので」「お酒を飲んでいて」という理由を言われたら、どれほど悔しいでしょうか。たくさんのコンサートホールで『第九』が流れる年末になると、飲酒やハメを外す行動が増えますが、人生を棒に振らないようにお気をつけください。棒を振るのは指揮者だけでよし。
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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。