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ズルして近道:Anizine

仕事の仕方について聞かれることがあります。私の仕事のスタイルは少し特殊に見えるのかもしれませんが、自分としては普通だと思っているのでなぜ聞くのか不思議に感じます。

先日も写真家になった経緯を説明していたところ、その人はバリバリのスタジオ経験者だったので「そんなのありかよ」と言われました。叩き上げの人からしてみると、ズルして近道を来た、と思うのかもしれません。

私は徒弟制度の素晴らしさも知っていますし、だからこそ精神論の押しつけの無意味さもわかっています。料理の腕を競う『白と黒のスプーン』という韓国の番組で、審査員の弟子である若者に、師匠のシェフが「腕を上げましたね」と声をかけるシーンがありましたが、ダダ泣きしました。これが師弟関係のいいところです。面白いのでゼヒ観てください。

話がそれましたが、もっとそれますよ。それてナンボです。

そのとき私に「ズルして近道の視線」を向けていた人は、おそらく自分の理想のスタイルを考えてこなかったのだと思います。業界では名のあるスタジオで修行して、そのあとはトントン拍子に仕事が舞い込むと考えていたのでしょう。昔はそういう例も多かったと思いますが、今は違います。もちろんスタジオで技術を学ぶことも大事なんですが、それはプロフェッショナルならできて当たり前で、大切なのはもっと他の部分にあります。それは丁寧に時代を観察していないと見えてきません。

成功する人は人それぞれですが、失敗する人には多くの共通点があります。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。