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Mのストーカー:博士の普通の愛情

ある日、恐ろしいことに気づきました。

私は関西に住む30代の主婦ですが、「M」という不要品を売買するサイトに服などを出品していました。子どもが大きくなっていらなくなったものを譲りたかったのですが、引っ越してきたばかりであまり近所にも付き合いがなく困っていたところ、友人のリカコからMの存在を教えてもらい、いくつか子ども用品を載せてみると意外と高い値段でも売れることがわかりました。

主人のマコトが一度もつけなかった派手なネクタイや、体型が変わってしまって着られなくなった私の服も売るようになりました。ゴミになるはずだったものが誰かの役に立ち、私にもいくらかのお金が戻って来るならいいことだと思っていたのです。

その日もいつものように子どもの長靴を写真に撮り、説明文を書いていたところに、一通のメールが届きました。

「こんばんは、亜佐美さん。僕はあなたのファンです。一度会いたいです」

と書かれていました。こういう迷惑メールは迷惑メールフォルダに行くはずなのですが、普通に表示されていたのと私の名前が書かれていたので不思議に思いました。今夜はマコトが泊まりの出張の日なので少し怖くなり、LINEでそのことを伝えました。そんなの別に気にすることないよ、といつも通りの興味なさそうなメッセージが返ってきました。

翌日、またメールが届きます。

「こんにちは、亜佐美さん。もし返信してくれるなら、あなたの全身を写した最近の写真も添付してください。あなたのファンより」

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恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。