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物語とは:写真の部屋・メンバーシップ

写真にはいくつものタイプがあって、激しい、穏やか、静か、うるさい、などに分けられます。私は「色が地味で、光が強くなくて、静かで、人が大げさな動きをしていなくて、わかりやすい物語が読みとれない写真」を撮るのが好きです。好きというか、それしか撮れないんですけどね。

誰かが発砲しているぞと思って反射的に撮ったとしても、それを自分の写真作品として発表することはありません。

昔のスナップは今とはかなり違っていて、やや露悪的というか、撮られる人がこころよく思わないだろうなという写真が多くあったものです。ヤクザやホームレスや泥酔しているサラリーマンなんていうのをわざわざ探して撮っているものをずいぶん見かけました。写真家は客観的な目撃者である、という気持ちもわかるのですが、自分の写真のインパクトのために他人にとって見られたくない恥ずかしい姿を暴いて撮るのは好みではありません。

写真を始めたばかりの人がなぜ人間にレンズを向けられないのかと言えば、撮られる人との関係を確立していないからでしょう。電車や飛行機を撮っている人が「人間を撮るのが苦手です」と言うのを聞くことがありますが、それは当然です。電車も飛行機も犬も「あなたはなぜ私にカメラを向けているんですか」と聞いてこないからです。

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カメラさえあれば誰にでも写真は撮れますが、他人に褒めてもらう必要はなく、自分が一番厳しい批評家です。…

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。