経済的相対性:PDLB
「お前は視野が狭いな」と言われたら即死すると思います。カメラで言えば魚眼レンズ並みに画角を広く生きていきたいと思っているからです。仕事で毎日たくさんの人に会いますが、それが視野を広く持つことと関係しているのは言うまでもありません。家族、会社、同級生、地域コミュニティ、国といった「集団の大きさ」が小さくなるほど視野が狭くなります。
今日はニューヨークとParisの両方に住んでいるロシア生まれの(どこの国の人と書けばよいのかすらわからない)人と会って話しました。彼はフォトグラファーであり、弁護士もしているそうです。所属する集団の大きさは寛容の範囲や常識とも関係していて、「普通はこうだよね」という意識の領域が、その人のコミュニティの大きさをそのまま表しています。「牛丼屋の店員がムカつく」「課長がイラつく」と言う人の行動と思考の範囲はだいたい察しがつきます。
写真を撮る仕事をしていることはビジネスの平衡感覚にとても役に立っています。製造業、サービス業など、自分がそこに就職したらずっとその世界にい続けなければなりませんが、短期間とは言えいつも違う仕事をしている人の違う世界を見ることができます。その種類や数が大きくなるほど知らない世界を描く輪郭のピクセル数が多くなり、エッジは滑らかになっていきます。
「でも、それって社員になったわけじゃないから、一瞬その会社や業界の表面を撫でただけですよね」と思われるかもしれませんが、たとえば極秘の新製品を私が撮影しているとき、一部の部署以外の社員にはその存在すら知らされていないことがありますから、社員であることにアドバンテージはありません。
つまり、すべては相対性です。相対性には他者との比較と、自分の理想との比較、というふたつがあります。
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。