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これ以上あなたと会話したくない:博士の普通の愛情

『若武者』という映画を観ました。結論から言えば、素晴らしい映画です。舞台は日本なのですが、北欧あたりの映画を観ているような気持ちになりました。ごく普通の街、暇を持て余した三人のどこにでもいるような若者。彼らはそれぞれ仕事を持ち、鬱屈した日々を送っています。遅ればせながら最近知った二ノ宮隆太郎監督の映画には華々しい雰囲気をまとった人物は登場しないことが数本観てわかりました。彼らは皆どこかに傷を持ち、先の見えない暗いトンネルの中で反響し続ける自分の叫びに怯えています。

『若武者』では、道端で男性同士がキスしているのを見て女性ふたりが笑って通り過ぎるという描写があります。ここでのジェンダーや差別、他人とのコミュニケーションについての会話は特筆ものです。男性たちはふざけていただけなのですが、物語の説明を極限まで削ぎ落としていることから強烈なロジックだけが浮かび上がります。日本人監督というとざっくりしすぎていますが、あまり見たことがないタイプの監督だと感じました。

恋愛に関する偏見や差別には根深い問題があります。

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恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。