三分割構図の誤解:写真の部屋
三分割構図、という言葉を聞いたことがあるかもしれません。写真を始めたばかりの人が教則本に書いてあることを勉強して使う言葉ですが、実際にそれがどんな意味を持っているかを理解している例はあまり見ません。
そもそも「構図」というのは写真以前のデザイン領域の話です。真っ白い紙のどこにモチーフを配置するか、のようなことです。このサンプル写真を見てください。
写真には目的がありますから、これはある種の目的を達成しています。しかし教則本には、主要な被写体を中心に置くのは「日の丸構図」と言って避けた方がいいと書いてあります。私たちが仕事で撮影している広告やポスターなどのほとんどがこの構図ですが、これが目的の違いです。
では教則本の通りに人物を三分割の位置に置いてみましょう。
これで「いい構図」になったでしょうか。なっていません。デザイン的なメソッドを学んでいないのに「画面の三分の一のところに主要のモチーフを置くこと」という短絡的な方法だけを聞きかじってしまうと、こういうつまらない写真を量産することになります。これはたとえば血液型で人の性格を分割するくだらないことに似ています。人間の性格は四種類でしょうか。
ファインダーの中にモチーフを配置するとき、左右で言えば三分の一の場所が存在するのは2点だけですが、そのどちらかに置けば「いい構図になる」なんていう単純な解決はありません。ファインダーの中を100に分割して構図は作るのです。もっと能力が高い人は1000に分割するでしょう。もちろん1000に分割している意識はなくても同じことをやっています。
そこで次の一枚の写真を見ると、完全に理解できると思います。
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。