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ストッキーな欲求:Anizine

noteの投稿をするとき、写真を先に選ぶことがあります。シンメトリーな写真を作っていたフォルダが出てきたので、今日はまずこれを載せます。

曲を作るときに歌詞かメロディかという順番がありますが、それと似ているような気がします。文章と写真の場合、やらないようにしているのは、言葉を説明するための挿絵の写真を探さないことで、それをすると一気に安っぽく陳腐になります。文章の説明図なら、もうAIの生成画像で事足りるからで、自分が撮った写真は何かの説明のために撮ったわけではないので意図の欠点が多く含まれているからいいのです。

よくビジネスの競争社会などの記事についている「ビジネススーツを着た若いサラリーマンが陸上のトラックを走っているストックフォト」などを見るとがっかりします。それはもう説明のための説明ですから、まったく不要どころか、背筋がゾクッとして記事の内容も読みたくなくなります。

先日、幡野さんが「ストッキー」という言葉を開発していましたが、腑に落ちました。一人一人が持つステレオタイプを掻き集めてミキサーにかけて、8時間煮込んだようなゲル状のビジュアルを外資系のリクルーティング広告などにも感じます。「あんなに仲間と上司とバカ笑いしている会社なんかあるかよ」と思ってしまいますし、またそういう会社があるのだと思い込む信じやすい人々をも生んでいます。

なぜこの写真にこの文章なのか、に、ほんの微かな関係を想像できるようなのがベストだと思っています。

またこの写真を選んだことで、人生の分かれ道だとか、そういうことを書きたくなる欲求にも耐えなくてはいけません。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。