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武士の情け:Anizine

悪は知性である、という古くからの言葉がありますが、「知性のない悪」の場をインターネットだと言ってしまっても過言ではないでしょう。よく見かける悪口に何も芸がないのです。

ついさっき、ある人が釣った魚を野外で料理している動画を見ました。キャンプのような動画ですが、なぜかこういった楽しいだけの趣味のコンテンツでも「どうしてそんな部分に対して文句を言うのか」という場面が多く見られます。

「お前が使っている鍋、汚い。食中毒になる」
「魚を捌いたナイフを、パンを切るときそのまま使うなボケ」

のような清潔警察がコメントを浴びせます。ここまでは平常運転なのですが、いちいち投稿主が反論するので長続きします。

「あんたの家のキッチンを見せてくれよ。新品ばかりなんだろうな」
「編集ってわかるか。ナイフを洗ったシーンはカットしてあるよマヌケ」

などです。インターネットに集まるクソジジイたちのモチベーションは『孤独の解消』ですから、議論の内容などはどうでもよくて、口論が続きさえすればいいのです。

「お前の乗っているクルマのシートもゴミだらけで汚いよな」

というコメントに注目しました。誰かに文句をつけた途端、自分の過去の投稿をすべて遡られて、汚点を探されてしまう危険があるのです。これを切り抜ける方法はこの世にありません。どんなモノもブーメランというカタチに受け取られて青空に飛び立つことになるのです。

しかしながら。私はここに『武士の情け』じみたものを感じたので、そのご報告を。書きたかったのはここだけです。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。