見出し画像

びっくりする:Anizine

ほんの一言でも自分を褒めたら終わり。

この鉄則を守りたいと思っています。我々の仕事は他人から価値があると思われないといけないので、客観性のない自己評価や自画自賛をしてしまった途端にすべてが終わります。美味しくないレストランに「日本一美味しい」と看板があっても誰も額面通りには受け取ってくれません。「ああ、自画自賛タイプだな」と思われて終わるのです。それを回避したいのか「日本で二番目に美味い店」などというのも見かけますが、ユーモアとしてあまり面白くありません。

ある若い写真家が自分のサイトのプロフィールに「各所から『笑顔を切りとることに定評がある』と言われます」と書いていたのを見ました。各所とはどこなのでしょう。客観評価と見せかけて根拠のないことを書いても無駄です。

客観性を手に入れようとして他人の名前を使う人も同じです。自分が関わった人がいくら偉い人であろうが、その人は何も変わりません。ソーシャルメディアではそこを意地悪く観察していますが、「今日は世界的に認められた賞をもらったヤマダさんと街で会った」と書く人のセンテンスを約分すると「街で知り合いに会った」だけです。

ここから先は

265字

Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。