くだらない結論
「今日は仕事をサボってのんびりしてたよ」
「それはいいな。ガツガツ仕事しても大差ないしな」
「そうそう。8回表で6点差で負けてるようなゲームだから」
「人生のゲームってことか」
「うん。その通り」
「皆、自分はいい試合をしていると思いたいんだよね」
「でも大体の人は負けゲームを戦ってるだけ」
「わかってはいるけど、嫌な言い方するなあ」
「お前も認めろよ」
「認めてるけどさ、もしかしたら逆転の可能性も少しはあると思いたいじゃない」
「ないない。十割ない。蕎麦と同じくらいない。逆転ホームランを期待しても無駄だよ。お前は何の練習も節制もしてないじゃん」
「開口6番で、そう言うよね」
「一番に言わないだけありがたいと思え」
「まあ、多くの人の人生は消化試合ってことか」
「そうだよ。お前ごときが張り切っても無意味。地球の酸素の無駄遣いだ」
「明日は法事で墓参りに行くんだ」
「日本人墓地か」
「外人じゃないときは別に言わなくていいんだよ」
「差別か」
「外人墓地って表現のほうが差別だろ」
「確かに墓地に埋まっている骨の種類を国籍で分けなくてもいいよな」
「まったくだ」
「人間は骨になれば地位も国籍も何も関係ない」
「確かに」
「誰もが平等に人生の消化試合を戦っていた、美しいカルシウム的な存在だ」
「それ、やめてくれないかな」
「結論いけ」
「ガツガツ仕事すんな、みんな消化試合を戦っている、努力してないのに逆転を期待するな、日本人墓地とは言わない、骨になれば皆同じ、かな」
「収まったな」
「うん、収まった」
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