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アラサー女子の介護記録 #1 施設入居について

20代半ばから30歳くらいまで自宅でアルツハイマー型認知症の祖母の介護をしていた。
色々書きたいことはあるが、思いついたところからゆるく断片的に書いていこうと思う。
ただの一個人の体験と意見なので参考までに。


今回は施設入所について。

結論から先に言うと、私は家族を施設に入れられる経済的余裕があるなら
(というより、貯蓄を切り崩したり自分が外に働きに出てでも)
断然施設への入居をおすすめしたい。

祖母が施設に入居して3年ほどになる。
元々通っていたデイサービスに併設されている、特別養護老人ホームというやつだ。
自宅から車で5分ほどの距離なのでいつでも顔を見に行ける。
(昨年からはコロナのため直接面会はできず、Zoomを導入してくれている)

症状がまだ軽く、まだなんとか自分で自分のことはでき、多少大変でも自宅で世話をできる段階で母は一つの施設の見学と入居申し込みを済ませていた。
それが先述の施設だ。
その申し込みから5年ほど経ってからの入居となった。

認知症の進行ペースは人によるし状況によっても変わる。
配偶者との死別など、大きなストレスによっても大きく進行することがある。
「今はまだ全然大丈夫だから」と思っていても数か月後は分からない。
先が分からなくても参考までにいろんな施設の見学だけしておくというのもありのような気がする。

実際うちの場合も、祖父の急死から状況が大きく変わり、その後祖母の卵巣手術を経てから「これはもう無理だわ」となるまで数か月だった。

祖母の手術は無事終了したものの、他のことで気を紛らわせているとき以外はずっと腹痛を訴えていた。
元々神経質なところのある祖母で、一度気になり始めるとずっとそのことに苛まれ、世話をする家族としてもかなりきついものがあった。

先の施設の順番待ちはしていたが、順番が回ってくる気配はなく
少し遠方の別の施設の見学に行ってみたり、しかし「ここはさすがにかわいそうだわ」となったりして、しょんぼりしながら母と帰りの車に乗っていたことを思い出す。

ゴールの見えない介護生活で、とりあえず一日一日をこなす中で
ある日、先の施設から空きが出たとの連絡をもらったときは
フランダースの犬の最終回のごとく上から天使がラッパを吹きながら降りてきた。
多分あの時脳から何かの汁が出ていたように思う。

施設に入ってからもそう簡単に行ったわけではなかったが
それから時間をかけて私も母も自分の人生を取り戻していった。
当時は「自分の部屋で自分のことができる…!」ってだけでうれしかったものだ。

「今はまだ全然大丈夫」という段階で見学に行くと、「知らない所に家族を預けるのはかわいそう」とか
「こういうところに預けたら余計に症状が進むんじゃないか」と考えるかもしれない。
実際私も見学に行った際にそう感じた。

しかし、症状が進むにつれて家族の精神的負担も増す。
自分の心に余裕がなくなってくれば認知症の家族を傷つけることだって普通に起こりうると思う。
そのことでお互いに傷つけば誰のための介護なのかも分からない。
いっそ離れて暮らして、面会の時に心に余裕を持って優しくできたほうが
よほどお互いにとってプラスなんじゃないかと思う。

実際私たち家族も離れて暮らすようになってから再び祖母を大事に思えるようになったし、祖母の症状は少しずつ進んではいるが以前よりはずっと穏やかに日々を過ごしている。

外部の手が加わることは家族の精神的負担をずいぶんと減らしてくれる。
もしあなたが今誰の手も借りず、ご自身だけで頑張られているのなら、
ヘルパーを頼んだりデイサービスに週何度か通ってみるなど少しずつ誰かの手を貸してもらうことで少しずつ楽になっていってほしいなと思う。

とはいえ施設も様々なので、いろいろなところを見学して施設や職員さんの雰囲気などよく見てみたほうがいい。
祖母の施設は窓が大きく開放的で、緑に囲まれていて明るい印象だ。
以前からデイサービスで顔を合わせていた職員さんがいたことも大きい。
また、別の入居者のご家族に聞いたことがあるが、
「ほかの施設にはあった独特の匂いがここにはなく、洗濯や掃除が行き届いていると思った」とのことだった。

介護のために自分の人生が犠牲になっている感覚が少しでもあるのなら、自分のためにも認知症の家族のためにも施設を検討するべきだと私は思う。


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