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『ホロライブ』のカバーが無償リテイク&支払い遅延で下請法違反:アニメ業界ニュースまとめ#16

今週もアニメニュースをまとめていきます。


今週のホットトピック:(令和6年10月25日)カバー株式会社に対する勧告等について

公正取引委員会が、Vtuber事務所『ホロライブ』を運営するカバー株式会社に対して、下請法違反で勧告しました。

カバーは、Vtuber動画に用いるイラスト、2Dモデル、3Dモデルの作成を個人または小規模事業者に委託しているのですが、ここで無償のリテイクや支払いの遅延が発生していたそうです。

一方で2024年11月からフリーランス新法も開始されるわけですが、おそらくアニメ業界の大部分でフリーランス新法の影響を強く受けるのでないでしょうか?

今回はカバー株式会社でしたが、今後はアニメ業界全体の「問題」が多くの人に広まる可能性があります。

「日本アニメをもっと世界に」東宝が強化するIPビジネス戦略

最近の東宝は、米国配給会社GKIDSの買収や、サイエンスSARUの買収、新海誠作品のコミックス・ウェーブ・フィルムの株式取得など、明らかにアニメ事業に力を入れていることがわかる経営戦略になっています。あとは生産力のある制作会社が欲しいところです。

“アニメで世界へ!小説大賞”キーマンのツインエンジン山本幸治&ストレートエッジ三木一馬にインタビュー。“アニセカ小説大賞”を作った狙いや、気になるお金の話もズバッと語る!

昨今のアニメスタジオは一部の人気作はどんどん続いていく中で、次の人気作をどこが取るかを競うような状態です。その中でも、おもしろいのにも関わらず続編が作られない作品も多く生まれています。誤解を恐れずに言うと“1クールで消えていく作品を必死になって作っている状況”なんですよね。
 これの何がよくないかというと、長く続けられる作品を一緒に開発したり、オリジナルの作品を育てたりする発想を持ちづらくなっていることが挙げられます。そして、これを続けているとスタジオがどんどん疲弊していってしまうんですよ。

なるほど。アニセカ小説大賞の差別ポイントが見えてきました。アニメ制作会社が小説大賞を実施することは、長期的にIPを育てられるのがメリットなのだと思います。

ボーカロイドプロジェクト「トパーズ」、最新のAI技術活用によるミュージックビデオを公開

最新のAI技術を使ってミュージックビデオを作ったそうです。が、YouTubeのコメント欄を見ると酷評ばかり。多分、映像演出そのものに問題があると思います。

制作予算2000万円!プロアマ問わず応募可能なコンテンツ発掘プロジェクト「DOPAMINE(ドーパミン)」スタート

企画自体はいいと思います。ただ「DOPAMINE」というタイトルは「なんだかなぁ……」という感じです。

2.5次元ミュージカル市場、283億円で3年連続過去最高を更新/ぴあ総研が調査結果を公表

最近は『推しの子』の影響で2.5次元舞台を知った人も多いはず。2.5次元ミュージカル市場は年々大きくなっているようです。やはりリアルの体験は重要ですね。

KADOKAWA ニュータイプ、海外に情報発信 北米版冊子やポッドキャスト

KADOKAWAの『ニュータイプ』がクランチロールと協力して英語版ニュータイプを制作し、ニューヨーク・コミコン2024で無料配布したとのこと。

日本アニメに関する専門的な情報は、海外のオタクたちにも需要があるはず。ここは開拓できるチャンスがあって、個人的には企業よりも個人の方がチャンスがあると踏んでいます。

今年も池袋のハロウィン大盛況 過去最多16.1万人参加、自治体連携でルール徹底「安心安全なイベント」アピール

コスプレ撮影したかった……。行けばよかったなぁ。

【解説】アニメ業界の「製作委員会」って一体何?改めて知りたい「特徴」と複雑すぎる「役割」協会が資料公開

日本動画協会が2024年10月21日、分科会政策小委員会に「アニメビジネスと製作委員会」を提出。

製作委員会が「資金調達」と「役割分担」において機能していることをアピール。現在、世間的に製作委員会が悪者のように取り扱われることが多いですが、ここまでアニメ業界が成長したのも、製作委員会のおかげであることを忘れてはいけません。

一方で、過度な資本主義化でアニメーターの賃金が安くなっているのも間違いありません。特に「年収平均値は455.5万円」とのことですが、それはある意味どうでもよく、問題は若者が携わることの多い動画マンの給料が著しく低いことにあるはずです。だから、動画マンの平均年収を資料に乗せるべきだと思います。問題解決に役立つ正しい情報を記載する必要があるでしょう。

ちなみに、アニメーター全体の平均年収はたしかに455.5万円ですが、1ヶ月の平均作業時間は198時間(残業40時間?)。また、動画マンの平均年収は263万円です(ただし件数は27件)。

なお、日本動画協会は「海外配信で作品が安く買い叩かれている」としている一方で、Netflixは「制作の待遇改善に寄与している」と主張が異なるのがポイントです。

それと、日本動画協会の「制作会社成功報酬」は、業界全体でルールを作った方がいいと思います。

参考:『アニメーション制作者 実態調査2023』

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