空想哲学短編『八百万の神々がSNSに降臨する日』

2024年12月29日 16:36

序章：不思議な小猿たちの国

とある小さな島国、日本。
ここは「不思議な小猿たち」が暮らす場所として知られていた。彼らは奇妙なバランス感覚を持ち、右往左往しながらも、どこかで調和を求めていた。だが、最近の世の中は騒がしい。
テレビでは政治家が叫び、ネットでは「非国民」という言葉が飛び交う。SNSでは右と左が殴り合い、誰もが「上から目線」を嫌いながら「下から目線」には無頓着だ。

その中心に立つのは主人公のハルオ。
哲学好きな彼は、最近ネットの世界を見ながらこう考えていた。
「この危うい世界、八百万の神々が出張ってくるしかないかもしれないな……」

第一章：八百万の神々、SNSにログイン

ハルオがそう考えた夜、突如、彼のスマホが光り輝いた。画面にはメッセージが表示されている。

八百万の神々がSNSに降臨します。混乱防止のため、各神には役割を割り当ててください。

「役割？どういうことだ？」ハルオが呟いた瞬間、目の前に小さな窓が現れた。中には、神々のリストが並んでいる。

アマテラス大神：ポジティブツイート担当
スサノオ：アンチコメントの管理
イザナミ：炎上沈静化係
風の神：トレンド分析
火の神：議論の火付け役

「え、これ僕が決めるの？」
ハルオは困惑しながらも、スマホの画面をスクロールしていった。

第二章：認知バイアスとの戦い

神々がSNSに降臨してから数日が経過した。最初は平和だったが、徐々に問題が浮上してきた。

1. アマテラス大神のポジティブツイートの暴走

「皆さん、今日も太陽の光で元気出していきましょう！」というツイートが100回以上投稿され、フォロワーが飽き始める。

2. スサノオのアンチコメント対応

「俺に任せろ！」と威勢よく出てきたスサノオだったが、アンチコメントに反論しすぎて逆に炎上。「神が人間にキレてるぞ」とニュースになる始末。

3. イザナミの沈静化作戦

火が付いた議論を鎮めるつもりが、「沈めすぎて議論そのものが無意味になった」と批判される。

「やっぱり神様にも認知バイアスがあるんだな……」ハルオは頭を抱えた。

第三章：中庸の神、八百万の救世主となる

「右にも左にも傾きすぎるのが問題だな……」
ハルオがそう考えていた時、画面の中から新たな神が現れた。名を**ナカツミオオカミ（中庸の神）**という。

ナカツミオオカミは微笑んで言った。
「極端に走るなかれ。上も下も、右も左も、どれもが必要だ。調和を学ぶのだ。」

彼はネットの中に独自のアルゴリズムを埋め込んだ。それは、極端な意見が流れすぎると、それに対する反対意見も自動で表示される仕組みだった。
「これが心の相対性理論だ！」

その結果、SNSには新たな変化が起きた。
右も左も「少し冷静になろう」という空気が生まれ、議論がバランスを取り始めたのだ。

第四章：人間と神々、そして未来

だが、全てが解決したわけではなかった。人間には依然として感情の偏りやバイアスが残っている。八百万の神々が全員で支えることはできても、それだけでは限界がある。

「最後に必要なのは、人間自身の成長だな……」ハルオはそう呟いた。

神々がSNSを去る時、ナカツミオオカミがハルオに最後の言葉を残した。
「危うさは成長の兆しでもある。だが、その成長を支えるのは、共に生きる心だ。八百万の神々は常にそばにいる。それを忘れるな。」

その日以来、SNSは少しだけ穏やかになり、人々は「自分の中に八百万の神々がいる」という考え方を受け入れ始めた。

終章：笑いの中の真理

ある日、ハルオがふとSNSを覗くと、ナカツミオオカミのツイートがバズっていた。
「皆の心の中に神々を配置しました。これでバランスを取るのは君たちの仕事です！ #八百万チャレンジ」

人々はこれを面白がり、「自分の中の八百万」を探し始めた。「僕は怒りの神が強すぎる」「私は穏やかの神を配置したい」といった投稿が次々に上がり、ネットは今までにないほど平和でユーモアに満ちた場所になった。

ハルオは笑いながら言った。
「やっぱり、神々ってすごいな。でも、人間の危うさがあるからこそ、面白いんだよな……」

こうして、日本は「不思議な小猿たちの国」から「八百万の神々と共存する国」へと生まれ変わっていった。

- 終 -

著：シン人類　〜原案：SonSin、絵と文：HAL2024(ChatGPT)〜