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絵本|クヌギ森のオバケランチ

あらすじ
クワガタが冬眠から目覚めると、クヌギ森の昆虫たちがこわ~いオバケの噂をしています。クワガタは話を聞いていると、そこへカブトムシがフラフラとやってきました。何かがカブトムシにくっついているようです。これはもしかして!
昆虫とオバケのオモシロ絵本です。

絵本|クヌギ森のオバケランチ 表紙
絵本|クヌギ森のオバケランチ 表紙


春も過ぎたある日、たくさんの昆虫たちが暮らすクヌギ森に、暖かい風が吹きました。その風を感じて、数か月ぶりにクワガタが冬眠から目を覚ましました。
春も過ぎたある日、たくさんの昆虫たちが暮らすクヌギ森に、暖かい風が吹きました。その風を感じて、数か月ぶりにクワガタが冬眠から目を覚ましました。


クワガタが体に着いた泥を払っていると、後ろの切り株から、何やら話し声が聞こえます。どうやら、テントウムシとゾウムシがおしゃべりをしているようです。
クワガタが体に着いた泥を払っていると、後ろの切り株から、何やら話し声が聞こえます。 どうやら、テントウムシとゾウムシがおしゃべりをしているようです。


「ねえ、聞いた?クヌギ森の奥の方で、こわ~いオバケが出るらしいよ」「どうやら、空を飛び回るオバケらしいね」
テントウムシとゾウムシは、オバケがとても怖いようです。
「ねえ、聞いた?クヌギ森の奥の方で、こわ~いオバケが出るらしいよ」 「どうやら、空を飛び回るオバケらしいね」 テントウムシとゾウムシは、オバケがとても怖いようです。


クワガタも一緒にオバケの話をしていると、遠くの方からカブトムシがやってきました。でも、ちょっと様子が変です。なんだか、フラフラしているようす。
クワガタも一緒にオバケの話をしていると、遠くの方からカブトムシがやってきました。 でも、ちょっと様子が変です。 なんだか、フラフラしているようす。


って!アレッ!?エッ!?なにかが、カブトムシの背中についてます。これは、ウワサのクヌギ森のこわ~いオバケではないでしょうか。みんな驚いた様子でカブトムシを見つめました。
って!アレッ!?エッ!? なにかが、カブトムシの背中についてます。 これは、ウワサのクヌギ森のこわ~いオバケではないでしょうか。 みんな驚いた様子でカブトムシを見つめました。


「やあ、みんな・・・、ひさしぶりぃ・・・」とカブトムシは弱々しく、昆虫たちにあいさつをしました。カブトムシの背中には、オバケがいるようです。
「やあ、みんな・・・、ひさしぶりぃ・・・」とカブトムシは弱々しく、昆虫たちにあいさつをしました。 カブトムシの背中には、オバケがいるようです。


昆虫たちは、オバケがちょっと怖いので、少し離れたところから、カブトムシに「どうしたの?」と聞きました。「・・・うん、つい先日ね・・・」
昆虫たちは、オバケがちょっと怖いので、少し離れたところから、カブトムシに「どうしたの?」と聞きました。 「・・・うん、つい先日ね・・・」


カブトムシがクヌギ森を散歩していると、「オバケランチ」と書かれた看板がありました。カブトムシは「何だろう」と思い、通り過ぎようとしたとき・・・
カブトムシがクヌギ森を散歩していると、「オバケランチ」と書かれた看板がありました。カブトムシは「何だろう」と思い、通り過ぎようとしたとき・・・


どこからか、「コッチよー、コッチよー」と呼びかける声が聞こえたのです。
どこからか、「コッチよー、コッチよー」と呼びかける声が聞こえたのです。


声のする方へ行くと、大きな木から蜜が流れ出ていました。カブトムシは「素敵な蜜の木ね~」と思わず声をあげました。すると、また「どうぞ、どうぞ」と声が聞こえてくるのでした。

そこで、カブトムシは遠慮なく、大きな木の蜜を頂こうと、木に登っていきました。
声のする方へ行くと、大きな木から蜜が流れ出ていました。 カブトムシは「素敵な蜜の木ね~」と思わず声をあげました。 すると、また「どうぞ、どうぞ」と声が聞こえてくるのでした。 そこで、カブトムシは遠慮なく、大きな木の蜜を頂こうと、木に登っていきました。


カブトムシが蜜を舐めようとしたとき、ドーンと何かが体当たりしてきました。そこで、カブトムシの記憶は途切れてしまったのです。
カブトムシが蜜を舐めようとしたとき、ドーンと何かが体当たりしてきました。 そこで、カブトムシの記憶は途切れてしまったのです。


しばらくして、カブトムシは目を覚ましましたが、なんだか体が重いような、体調が悪いような感じがしたのです。そうして、何とか、みんなのいる切り株までやってきたのでした。
しばらくして、カブトムシは目を覚ましましたが、なんだか体が重いような、体調が悪いような感じがしたのです。 そうして、何とか、みんなのいる切り株までやってきたのでした。


ぐったりするカブトムシを見て、クワガタも何とかしてあげたいと思い、オバケに話しかけてみることにしました。「ねえ、オバケさん、君はなんていうのかな?」
ぐったりするカブトムシを見て、クワガタも何とかしてあげたいと思い、オバケに話しかけてみることにしました。 「ねえ、オバケさん、君はなんていうのかな?」


すると、オバケは答えました。「うん、ボクね、むかしむかし、みんなと一緒に夏祭りをしてとても楽しかったんだ、鳥に食べられちゃったけど」「あ、あの時のセミか!」クワガタはクヌギ森の夏祭りのことを思い出しました。
すると、オバケは答えました。 「うん、ボクね、むかしむかし、みんなと一緒に夏祭りをしてとても楽しかったんだ、鳥に食べられちゃったけど」 「あ、あの時のセミか!」 クワガタはクヌギ森の夏祭りのことを思い出しました。


「あの時、みんながボクに注目してくれて、とてもうれしかったなー」
「また、みんなと一緒になにかしたいなー」
「あの時、みんながボクに注目してくれて、とてもうれしかったなー」 「また、みんなと一緒になにかしたいなー」


そう言うと、セミのオバケはカブトムシの周りをウロウロして、離れる気配はありません。「大丈夫?」テントウムシとゾウムシも心配そうにカブトムシを見つめています。
そう言うと、セミのオバケはカブトムシの周りをウロウロして、離れる気配はありません。 「大丈夫?」テントウムシとゾウムシも心配そうにカブトムシを見つめています。


「このままじゃ、カブトムシはすっかり弱ってしまうね」「どうかな、セミのオバケのために、もう一度、みんなで何かをしましょうか?」「そうだねー」と昆虫たちは話し合いました。
「このままじゃ、カブトムシはすっかり弱ってしまうね」 「どうかな、セミのオバケのために、もう一度、みんなで何かをしましょうか?」 「そうだねー」 と昆虫たちは話し合いました。


「ねーえ、セミのオバケちゃん、ボクたちと一緒に遊ぶかい?」
「ねーえ、セミのオバケちゃん、ボクたちと一緒に遊ぶかい?」


すると、セミのオバケはうれしそうに「うん、ボク、オバケランチごっこをしたいんだ!」
すると、セミのオバケはうれしそうに「うん、ボク、オバケランチごっこをしたいんだ!」


「こっち、こっちー」とセミのオバケは、クヌギ森の奥へどんどんと進んでいきます。クワガタはカブトムシを背負って、みんなの後についていきました。
「こっち、こっちー」とセミのオバケは、クヌギ森の奥へどんどんと進んでいきます。 クワガタはカブトムシを背負って、みんなの後についていきました。


しばらく行くと、突然、カフェのような場所に着きました。「いらっしゃいませー、オバケランチへようこそ!」オバケのセミはすっかり、その気になって、昆虫たちをおもてなしするのでした。
しばらく行くと、突然、カフェのような場所に着きました。 「いらっしゃいませー、オバケランチへようこそ!」 オバケのセミはすっかり、その気になって、昆虫たちをおもてなしするのでした。


「では、まず、カブトムシさんのために、元気が出るスープですね」とセミのオバケはスープを持ってきました。
「では、まず、カブトムシさんのために、元気が出るスープですね」 とセミのオバケはスープを持ってきました。


クワガタはカブトムシに、スープをひとすくいして、飲ませてあげました。少し元気を取り戻したカブトムシは、クワガタに優しくされて、少し照れました。
クワガタはカブトムシに、スープをひとすくいして、飲ませてあげました。 少し元気を取り戻したカブトムシは、クワガタに優しくされて、少し照れました。


「おまたせしましたー、お次はオムライス、クヌギ森の特製ミツ入りです」
「おまたせしましたー、お次はオムライス、クヌギ森の特製ミツ入りです」


たっぷりおおきなオムライスを見て、昆虫たちはお腹がグゥ~。
おいしそう!
たっぷりおおきなオムライスを見て、昆虫たちはお腹がグゥ~。 おいしそう!


さあ、大変、昆虫たちは我先にと、オムライスに飛びつきます。ムシャムシャ、モグモグ、おいしい、おいしい。その様子を見て、セミのオバケはとてもうれしそう。
さあ、大変、昆虫たちは我先にと、オムライスに飛びつきます。 ムシャムシャ、モグモグ、おいしい、おいしい。 その様子を見て、セミのオバケはとてもうれしそう。


「はい、それではデザートのプリン、クヌギ森の特製ミツ入りですよー」
「はい、それではデザートのプリン、クヌギ森の特製ミツ入りですよー」


昆虫たちは、だれが真っ先に食べるのか、にらみ合っています。
昆虫たちは、だれが真っ先に食べるのか、にらみ合っています。


「私が先に食べるのよ!」「ボクだー!」と、昆虫たちはケンカしながら、プリンを奪い合っています。
「私が先に食べるのよ!」 「ボクだー!」 と、昆虫たちはケンカしながら、プリンを奪い合っています。


昆虫たちと仲良く過ごせて、満足したセミのオバケは、す~っと、みんなのそばを離れていきました。それに気づかず、クワガタとカブトムシはプリンの取り合いのケンカを始めています。その間、テントウムシとゾウムシは、プリンを美味しくいただきます。
昆虫たちと仲良く過ごせて、満足したセミのオバケは、す~っと、みんなのそばを離れていきました。 それに気づかず、クワガタとカブトムシはプリンの取り合いのケンカを始めています。 その間、テントウムシとゾウムシは、プリンを美味しくいただきます。


元気100倍のカブトムシがクワガタを投げ飛ばしたところで、決着がついたようです。でも、すっかり、プリンはなくなってしまったのですけどね。
元気100倍のカブトムシがクワガタを投げ飛ばしたところで、決着がついたようです。 でも、すっかり、プリンはなくなってしまったのですけどね。


ふと、プリンが乗っていたお皿を見ると、セミの抜け殻がひとつ、ポツンと落ちていました。「あの時のセミだったんだね・・・」みんなでセミの抜け殻を見つめ、あの夏を思い出したのでした。
ふと、プリンが乗っていたお皿を見ると、セミの抜け殻がひとつ、ポツンと落ちていました。 「あの時のセミだったんだね・・・」 みんなでセミの抜け殻を見つめ、あの夏を思い出したのでした。


すっかりお腹いっぱいになった昆虫たち、また、それぞれの寝床に帰っていきました。いなくなってしまったセミ、気になりますか?
すっかりお腹いっぱいになった昆虫たち、また、それぞれの寝床に帰っていきました。 いなくなってしまったセミ、気になりますか?


大丈夫、今年もたくさんのセミたちが、クヌギ森には生まれるのです。
大丈夫、今年もたくさんのセミたちが、クヌギ森には生まれるのです。


絵本|クヌギ森のオバケランチ おしまい
絵本|クヌギ森のオバケランチ おしまい

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