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第16夜 学校飼育動物を考えなおす

今回のテーマは「学校飼育動物」です。
子どもの頃、小学校で動物を飼っていたという方も多いのではないでしょうか?

この回では、学校飼育動物の過去や現状を知って、これからどうなっていくのがよいのかを参加者のみなさんと一緒に考えました。

ぜひ、ご覧ください。


1.参加者のみなさんに質問しました!

最初に、参加者のみなさんにこんな質問をしてみました。

こんなお返事をいただきましたよ。

・ウサギ
・チャボ
・ニワトリ
思い出については、ウサギに雑草をあげたり、心音を聴く授業があったという声もありました。

2.知ってみよう!学校で動物を飼う目的・歴史

みなさんと思い出を語ったあとは、そもそも学校で動物を飼う目的ってなんだろう?ということから、お話ししていきました。

小学校の学習指導要領には、次のように記載されています。細かい指定はなく、個々の学校に対応が委ねられています。

また、こんな文献もありました。

適切に飼っていないグループの子ども達は、社会性が低くなってしまうことが示唆されました。
ただ動物を飼っていれば優しい心が育つというわけではなく、適切な飼育がされて初めて効果があるようです。

また、歴史を見てみると、学校で動物を飼って教育に活かす取り組みは明治時代から始まっています。
それが現代へと、脈々とつながっているのですね。

3.じゃあ今って、どんな状況なのかな?

現代に目を向けてみると、どうでしょうか。

さまざまな要因から、学校で動物を飼うことがだんだんと難しくなってきています。

例えば、教員の業務量や残業の問題があります。また、鳥インフルエンザや新型コロナなどの感染症は、近年大きな壁となっています。

長年議論されている長期休暇や動物が病気になった時の対応は、いまだ学校ごとにばらつきがあり、課題も多いと言えるでしょう。

次に、こんな視点からも見てみましょう。

現代では、子どもが動物と接する機会が減ってきています。

ペットを飼っている家庭は約3割です。そう考えると、普段動物と接することがない子どもの方が大多数です。

また、コロナ禍の影響で「ふれあい」をやめる動物園が出始めたことや、異常気象による虫などの野生生物の減少、子どものアレルギー問題、人と動物の共通感染症なども、子どもと動物の距離が徐々に遠のいている一因ではないでしょうか。

そして、社会的な視点としてもう一つ、法律や管轄省庁の問題があります。

先ほど挙げた学習指導要領や衛生面に関わる学校衛生基準法は文部科学省、動物の飼育基準に関わる法律は農林水産省、動物全般に関わるものは環境省と、管轄する省庁がバラバラです。縦割り行政の日本では横の連携を取ることが難しい現状があります。

4.動物福祉的な課題って、なんだろう?

ここで、私たちの目線からみた課題点をお話しました。

まず、飼育については教員が動物の飼い方をよく知らないのではと思いました。

そして、飼育の責任は文面上校長にありますが、その所在はあいまいです。そのリスクとしては、トラブルや災害があった際の対応が考えられないことが挙げられるでしょう。

そしてこれは、長期休暇に誰が責任を持って世話をするのかという問題にもつながっていきます。

環境面では、近年の夏の暑さは耐えがたいですよね。
そんななか、屋外で飼育することはそろそろ限界なのではとも考えられます。

5.みんなで考えた!これからの学校飼育動物

ここまで聞いていただいあと、参加者のみなさんに「これからの学校飼育動物はどうなっていくのがいいと思いますか?」という問いかけをしました。

いただいたご意見を一部紹介します。

・学校の授業の中に、動物福祉を教える時間があるといい
・動物園や博物館が教える場になるといいかも
・ホスティング(貸し出し)の取り組みがあったと思うので、活用してみるのはどうだろう?
・でも貸し出しだと、世話が大変だったら返せばいいと安易な飼育につながってしまうかも…
・動物愛護センターが関与していくのがいいと思う
・動物の飼育に関する専門員を置く必要があると思う
・伊那市のように、ポニーなどを継続的に飼育する仕組みを参考にする
・飼育するならいろんな授業で活用できるといい

参加者のみなさんとのお話しの中でも出てきた「ホスティング」ともう一つ、「ホームステイ」の取り組みも紹介しながらお話していきました。

一定期間、動物を貸し出して、動物とふれあう機会を作る取り組みが始まっています。ただ、これも責任感の問題があるのではという話が出ました。

参加者のみなさんとお話していった中で出てきた視点を整理すると、この3点でした。

・第三者は誰がどう関わるか
・教育にどのように組み込むか
・飼育を続ける仕組みはどうするか

今回、参加者のみなさんとアイデアを出し合ったことで、改めて学校飼育動物の問題を考えなおすことができたのではないかと思います。

6.すぐには解決できなさそう。でもだからこそ…

学校はみんなで学んで成長する場所です。
そんな場所だからこそ、人も動物も幸せになるにはどうしたらいいかを考えていく必要があるのではないでしょうか。

今後も、学校飼育動物が本当に教育的意味があるものなのか、考え続けていきたいですね。

7.次回予告

次回は、第17夜「鳥獣保護」についての記事をお届けします。
お楽しみに!


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