旅の詩/原野
原野
眠れずに
怯えている
オオカミもヒグマもいないこの原で
何に耳をそばだてている
これは潮騒
これは驟雨
これはコオロギ
これは木霊 たまに森の木霊
飲んでしまおうか
いや、これは野生の警戒
(もっと集中しなさい)
私が止む
体の夜
ひがしずむまで
(来た)
ホワイトアウト
(しがみつけ!)
これは時計
午前2時55分
明石標準時における私の位置
これは体
私の掌
私の脈動
私の名は
私は自分の名前が好き
これは潮騒
これは驟雨
これはコオロギ
これは木霊 たまに森の木霊
1999年3月
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