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◉詩/ニルヴァーナ2

ニルヴァーナ2

小学生の頃
カブトムシみたいな車が流行っていて
赤いの見たら死ぬんだよ
とか言いながらワイワイやってた

自ら命とのつながりを断つ人が
いなくならないのは
まさかカブトムシのせいではないけど
どこに潜んだノロイのせいか

猫はそんなふうに死なない
猿だって。
レミングやイルカがそんなふうに死ぬ
という嘘をついたのは人

死神に取り憑かれただとか
ハラキリとか
丈夫な人が熟慮の末とか
状況はどうあれ原因は一つだ

もはやこれまで。
という観念が
本能を上回ったから

小学生の頃
昨日と明日の区別がつかない友達がいた
僕は その子はバカなのだと思ってた
でもそうじゃなかった

もっと子供の頃
僕は 左と右の区別がつかなかった
お椀が左でお箸が右 と教わって
しばらく経ってやっと覚えた

もっともっと以前
昨日も明日も左も右もなかった
無かったのだ
覚えてるはずだ 思い出せ 大事なことだ

お前が逝けば
その醜さを覆い隠す人もいて
その死は美談となるかもしれない
でも 生きてなさい
生きて生きて生き恥を晒してもいい
なぜなら
お前の痛みこそが
狭き門へのいざないなのだから
(マタイ7:13)

世界などない
人間などいない

お前が住んでいる世界は
言葉で創られた、
がんじがらめの幻に過ぎない
わからなくていい。
わからなくていいということが
わかる時が必ず来る
春はもう来ている

お前の痛みが
問いを連れてきて やがて
その問いがお前を
問いも答えもない世界へと連れていく
その時 そこには

命だけが在る

2024年8月

※補遺 : お気づきの通り、「命」も「在る」も、「無い」です。

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