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◉詩/無常の水面(みなも)

無常の水面

いつかの夏
奥多摩でキャンプしていた
せせらぎに
足先を沈めてじっとしていた時
どうにも分からないことに気づいた
水は今ここを流れているけれど
この水を多摩川と呼ぶのか
川底を多摩川と呼ぶのか
どこからどこまでを多摩川と呼ぶのか
分からなかった

人は蛋白質の川だ
かつ消えかつ結びて
八十年程の動的平衡を終える

無常の水面はきらきらしていて
虚しさのかけらもない

2022年9月

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