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猫からの電話
電話に出たとき、私用だったのにうっかり芸名を名乗りそうになりました。
「もしもし、にゃ…違う、佐藤です。」
にゃんこスターの「にゃ」をうっかり電話口に放ってしまったのです。
しかし、なんとか持ち直し「佐藤」という現実を突きつけられました。
危なかったです。
無事に電話を終え、ホッと安堵したとき…
もしかして…
電話口の人に、猫だと思われたんじゃないか…?
と、なんだか急に申し訳なくなってきました。
電話口の相手は、平穏を装って電話を切った今頃、電話の向こうできっとこんな疑念を抱いてしまっているはずです。
「今、人間に化けた猫と電話をしたのでは…?」
猫が、猫であることを隠し、人間のふりをして生活していたのです。
そこへかかってきた突然の電話…
うっかり「にゃ…」と猫部分が漏れてしまいましたがバレるわけには行きません。
飼い主であった人間の名字「佐藤」を名乗り、なんとか難を逃れました。
そう。
佐藤はスパイだったのです。
スパイとしてこの国に潜り込み、機密情報を手にし、国に帰ろうとしたとき…
「にゃー」
暗い夜道、やせ細った1匹の猫が足元に擦り寄ってきます。
「危ないよ…」
仕方がないので、国に帰るまでの間、ご飯をあげることにしました。
少しずつ健康になっていく猫、深まる絆。
猫はもう佐藤の家で暮らしていました。
すっかり家族同然です。
しかし、帰国の時は迫ってきます。
「ごめん…」
大量のエサと水、いつでも出て行っていいように部屋は残し、出ていく佐藤…
扉が閉じかけたとき、猫は追いかけます!
「ヴッ………」
佐藤の鈍い声が聞こえてきました。
「やっぱりお前がスパイだったのか…」
猫が扉の向こうを覗くと、そこに佐藤の姿はなく、しかし、引きずられたような血痕が続いています。
「にゃんと…!」
いそいでベランダに走り、外を見ると、ぐったりした佐藤と黒ずくめの男の姿が…
「あいつが佐藤を…!」
それから…
猫は独学で人語を覚え、そして、あの男に復讐すべく自らを「佐藤」と名乗り生活しているのです。
………って、
絶対思わせちゃいましたよね!??!?
電話口の相手に!!!
え?なんの話か忘れちゃいましたか?
今日はずっとその話してますよ!
私が電話に出たときに「にゃ…」って言っちゃったんですけど、これはもう絶対に電話口の相手にスパイだった飼い主の雪辱を晴らすべく人間のふりしてる猫だと思われちゃっただろうなっていう話です。
今頃、泣いてないかな……
悪いことしましたね……
そんな感じで今日は終わりです。
24時間テレビでも告知流れてるらしいのですが、みんなの動物園でロケに行かせてもらったのでそれもまたよろしくお願いします。
では、ここまで読んでくれた方に感謝の気持ちを込めて私からお礼のひとりごとです。
東って名字を「ひがし」か「あずま」どっちで読むか難しいですけど、どっちもカッコいいですよね!
よい一週間を。
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