ドーナツの穴を食べた話
ミスタードーナツって見かける度に買ってしまいますよね。
もう見かけた瞬間に、足元がミスドまでつづく動く歩道になって勝手に誘われているのではないかと思ってしまうほど、絶対に買ってしまいます。
「大好きだからつい買ってしまう」だけで良かったのに、どうしてこんな変な例えをしてしまったんでしょうか。
反省しよう。ちゃんと。
ところで…
みなさんはミスドで何を買いがちですか?
私はまず、チョコファッションとゴールデンチョコレートのどちらかを必ず買います。
ゴールデンチョコレートって美味しいけど、最後になんか受粉中の蜂みたいになるなあといつも思います。
ゴールデンチョコレートは黄色くて甘いつぶつぶがドーナツの周りについてます。食べているとポロポロとその黄色の粒がお皿に落ちるんですが…
それがなんかすごいお花のめしべとかおしべっぽいです。だから拾い集めて食べているとすごい「春の蜂みたい…」となります。
まあ、今、蜂の受粉の話は良くて…
色々と迷った挙句、その日はチョコファッションを買って帰りました。そうして家で食べていました。
そのとき…!
ふと、天才的なひらめきが浮かんだのです。
「ドーナツの穴…食べてみようかな…」
ドーナツで出会って30年、初めてそんなことを思いました。
でも、どうしてか今日なら出来るという自信までありました。
なぜかもう、道筋が見えていたのです。
そう。
真ん中の穴を残せば良いのです。
なんか、囲い込めました。
いつものように食べていたら、ドーナツはアルファベットの「C」みたいになって穴と外界がつながって逃げてしまいます。
ただ、こうして囲い込んで食べることによって、穴を残すことに成功したのです。
しかしながら、初めてこうして食べてみると、最初からあったはずなのに「穴が出現した…」という妙な感覚になりちょっと驚きました。
そして、このとき…
なぜか私は1よりも0(ゼロ)を見つける方が難しいという数学の話を思い出していました。
あるものは数えられるけど、ないものを数えることは難しくて、それが数えたければ、あるもので囲い込んで「ない」という形をつくるしかないのです。
ドーナツの穴と同じです。
なんだか世界の真実を知ってしまった気分になりました。
そして…
緊張の一瞬は訪れます。
ついにドーナツの穴を食べます。
囲い込んで出現した穴をひとくちで口に放り込んでみます…すると…
「ない………!」
なかったのです。
そこに「ドーナツの穴」なんていう食べ物はなくて、ただ細くて丸くてカスカスになったドーナツが「ある」だけでした。
考えてみれば当たり前です。
しかし私が胸に抱いていた期待とは違いました。
私の夢のようなイメージだと、そこにはドーナツに囲われた透明で丸い空気が「ある」と思っていたのです。
けれどもドーナツの中心に認識できる物なんて何もなく、ただ、囲っていた少ないドーナツだけあり、またその甘さが切なさをより加速させます。
「0ってどうやって見つけたんだ…」
それもまじで思いました。
めっちゃすごいじゃんと今改めてドーナツを通して気付いたりもしました。
0(ゼロ)を見つけた数学者なら、ドーナツの真ん中を食べることも出来るのかもしれません…。
そういえば近ごろ…
ドーナツの穴みたいな考えがよぎったりします。
よくオーディション番組を見ているからかもしれません。
アーティストになりたくてオーディションに参加する人たちはよく「自分には何があるんだろう…?」と悩みます。そして結局「自分には何もない…!」と「ない」方にフォーカスして落ち込んだりします。
人と比べて持っていないものに目を向けるのではなく「ある」ものに気付けばこの子はすごいのに…!と応援する気持ちが昂ってしまいます。
ドーナツと一緒なのです。
真ん中のない穴を食べようとして、食べられなくて落ち込むのではなく、今あるドーナツを楽しもう。
そんな感じで今日は終わりです。
なんか最後にオーディションの話をしたおかげでいい話みたいに持っていけました。危なかったです。
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今もう少し、いや、もっともっとお客さんに来てほしいという感じです…!ぜひどうかよろしくお願いします…!
では、ここまで読んでくれた方に感謝の気持ちを込めて私からお礼のひとりごとです。
「キツツキ」のネーミングセンスに惹かれる時期、どうして幼少期で終わってしまうんですか?
よい一週間を。