見出し画像

血管内視鏡と新しい医学の開拓について

はじめに


血流維持型汎用血管内視鏡(non-obstructive general angioscopy: NOGA)は日本発の技術で、現在日本のみで使用可能です。この技術を通して、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞といった全身の動脈硬化から一部の認知症などにおける新しい医学を開拓している団体です。また現在でも予測が不可能とされてきた急性大動脈解離についても動脈硬化で起こるものがあることがわかりました。このステントグラフトの治療ガイドなどでも用いられるようになりました。主に循環器内科、心臓外科で使用されていますが、この技術には、神経内科、眼科、放射線科、腎臓内科、基礎研究者といった先生方も理解を示していただき、議論に加わっていただいています。この技術を医療関係者および一般の方に知っていただくためにこのサイトを始めることにしました。認定NPO法人である

日本血管映像化研究機構  https://jviro.notion.site/index

がその啓発を行う医学研究の組織で多くの分野の先生方に集まっていただいてTrans Catheter Imaging Forum (TCIF)という学会も行っています。一般の方には市民健康講座を行ってこの取り組みをお伝えしています。

血流維持型汎用血管内視鏡(NOGA)について


血流維持型汎用血管内視鏡は、0.7mmほどの血管内視鏡ファイバーを用いて、血管内のプラークや損傷、ステントやステントグラフトなどの治療のガイド、治療の評価に用いるものです。もともとは冠動脈の評価目的としてアメリカで製造されましたが、安全性が十分でありませんでした。日本で血流維持型内視鏡が開発され、保険適応されています。システムは循環器内科、心臓血管外科のカテーテルのシステムに組み込めます。

血管の中を観察することはむつかしい


胃をはじめとして内視鏡技術がありますが、血管の中を観察することはむつかしいことです。なぜかというと、血液が流れているからです。血液はいうまでもなく赤いので、単に血管の中を観察するだけでは、目の前が真っ赤になるだけで何も見えません。血液をすこし視野からどけないと見えません。それで以前はバルーンでふさぐということがアメリカで行われました。しかしそこに血液が短時間でも来ないことになります。なので、心臓の血管である冠動脈では危険ということになります。日本で開発された方式は、透明の液体をカテーテル先端から流すことで視野を得るというものです。

血流維持型汎用血管内視鏡(NOGA)がなぜ医学を変えるのか?


2018年に血流維持型汎用血管内視鏡(NOGA)の大動脈への応用が発表となりました。これまでCTやMRIなどで評価されていた大動脈の動脈硬化が全てでないことがわかりました。言い換えるなら、血流維持型汎用血管内視鏡(NOGA)で観察した自然破綻プラークが、これまで以上に高頻度であることがわかりました。またその多くがCTやMRIで同定できないものであり、実はこの分野はわからないことだらけであることがわかりました。それを明らかにしていこうとして、現在日本国内で研究されています。医療関係者の中には、大動脈の動脈硬化は多くあるが、それには意味はないと伝えられてきた方も少なくないでしょう。大いにあるのです、コレステロール結晶をはじめとした基礎的研究もおこなわれています。血流維持型汎用血管内視鏡(NOGA)を用いた臨床医学から基礎医学研究のトピックを今後このサイトでお伝えできればと思います。証明することは簡単でなかったり、時間のかかるもののも少なくありません。根気よく研究しております。

代表的画像はこちら、英語で恐縮ですが、論文の図をごらんください。(J Am Coll Cardiol. 2018 Jun 26;71(25):2893-2902.)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109718346515?via%3Dihub

組織について


非営利組織である認定NPO法人で日本血管映像化研究機構のホームページは下記です。医療関係者と一般の方向けに解説や資料があります。よろしければご覧ください。