可愛さ インタビューと考察
顔がついているものは可愛いとよく言っている、Pという人がいる。今回は、この発言を深掘りしていく形でPにインタビューし、可愛さを考察してみる。
先程述べた人であり今回インタビューされる側の人をP、この記事の筆者であり今回インタビューする側の人をAと表記する。
インタビュー
顔がついているものの可愛さ
A「顔がついているものはどういうところが可愛い?」
P「ミニキャラっぽいところ」
A「じゃあ大きいぬいぐるみは可愛くない?」
P「それも可愛い」
A「ミニキャラのミニって、Pはどういう意味で使っている?」
P「大きさのことではない。デフォルメ感のこと」
A「リアルじゃないところが可愛いということ?」
P「そう」
A「顔がついているものは、実物と作品どちらを想定して答えた?」
P「作品。中でも顔が元々ついていて改変したものではなく、顔を後からつけたものを想定していた」
A「家にあるもので言えば、枝豆やかまぼこのぬいぐるみをイメージしていたということかな?」
P「そう」
A「実物はどういうところが可愛い?」
P「小ささとか、顔の雰囲気がほんわかしていて柔らかいところとかかな。顔がキリッとしていたり、シャキッとしていたら、かっこいい系や綺麗系になる」
顔がついていないものの可愛さ
A「リボンや髪飾りのように、顔がついていなくても可愛いものは、どういうところが可愛い?」
P「髪飾りとかは色やデザインが可愛い」
A「可愛いと感じるものとそうでないものには、どういう違いがある?」
P「可愛いものは大人っぽくはなく、こどもっぽさがある。色が重要で、例えば黄色やピンクはかわいい。かっこいいものは色が暗めなイメージがある」
A「パステルカラーなら可愛い?」
P「明るさが大事なのかも。暗い色はかっこいい。明るい色は可愛い。明るさが中間辺りの色なら綺麗や美しいになると思う」
A「暗い色で可愛いものはないの?」
P「黒いレースは可愛さもある。ただ、可愛いさが100%ではない」
A「レースの可愛さと黒色のかっこよさが混じり合っているから、どちらか100%ではないということ?」
P「そう」
A「レースはどういうところが可愛い?」
P「ひらひらしているところ」
A「フリフリしているところも含まれる?」
P「それも入りそう」
A「動きがある感じのデザインが可愛い?」
P「柔らかさもあると思う。軽さがあると可愛い」
A「動きがあっても硬いものや重さが感じられるものは可愛くない?」
P「そう。質感が関係している。例えばシルクは重い感じだから、可愛いというより美しい寄り」
顔の可愛さとそのものの可愛さ
A「顔がついているものは、色が暗めのものでも可愛い?」
P「例えばグレーは暗い色だけど、グレーの猫は可愛い。でも、グレーの星に顔をつけても可愛くはない。星は黄色や金色のイメージだから。実際の色とマッチしていないと違和感がある」
A「石は可愛いイメージがあまりないものだけど、グレーの石に顔をつけたら可愛い?」
P「可愛い」
P「深緑色は可愛いからは離れると思う」
A「深緑色の葉っぱのキャラクターがいたら、それは可愛くない?」
P「キャラクターなら可愛い」
A「顔がついていて、キャラクター化したものは全て可愛い?」
P「顔がリアルすぎると可愛くない」
A「顔がついているものは、顔の可愛さがそのものの可愛さの基準?」
P「そう」
顔をつけたら可愛さは増すか
A「顔がついていて、さらにパステルカラーだと、ただ顔がついているだけのものよりも可愛さはプラスされる?」
P「さらに可愛くなる」
A「例えばリボンは可愛いものだけど、リボンに顔をつけたらより可愛くなる?」
P「リボンちゃんという感じで、キャラクター化されているなら可愛い」
A「元々顔がついていなくて可愛いものに、顔を後からつけたら可愛い?」
P「いや、全部そうとは限らない。顔が似合うものと似合わないものがある。ただ、大体はより可愛くなると思う」
P「虫は怖いけど、顔が可愛いなら怖さが和らぐ」
A「顔をつける前は可愛くはなく、顔をつけた後は可愛いものはある?」
P「元々がかっこいい系、綺麗系のものとかはそれに当てはまる」
顔を変えるのと顔をつけるのは違うか
P「例えばすずめがキャラクター化すると、アニメっぽくなる。実写からアニメになる感じ。顔がないものは単にキャラクター化する」
A「顔がないものは、物から生き物に変わるという感じ?」
P「そう」
A「変化後の可愛さは同じ?」
P「似たような感じになると思う。キャラクターという点は共通しているから」
表情
A「泣いている顔や怒っている顔だったら可愛くない?」
P「表情は単なる特徴で、可愛さとは関係ないと思う。イメージを伝えるために表情はある。明るい性格を笑顔で表現しているというだけ」
顔のパーツ
A「目と口のどちらかが欠けていたら可愛くない?」
P「目がなくて口だけあるものは、可愛いとは思わない」
A「顔がついているとは思っている?」
P「口だけのものは顔が成立していなくて、目だけのものは成立していると思う」
A「目が片目だけとか、元々目が1つのキャラクターの場合は?」
P「顔ではあると思うけど、可愛くはない」
A「目が1つのものは全て可愛くない?」
P「可愛いキャラクターもいる。妖怪っぽいものは可愛くない」
見た目以外の要素と可愛さの関係
P「性格を好きになったら、顔が可愛く思えることがある」
A「見た目以外の要素を好きになった結果、見た目も好きになることがある?」
P「あると思う」
小さいから可愛いのか
P「小鳥は好きだし可愛い」
A「ワシやカラスは可愛くない?」
P「かっこいい系だね」
A「小鳥は小さいから可愛い?」
P「そう」
A「クジラは大きいから可愛くない?」
P「可愛いものも可愛くないものもある」
A「表情のされ方や雰囲気による?」
P「そう」
A「モチーフになっているものが大きくても可愛いことはある?」
P「ある」
A「虫は小さいのに可愛くないの?」
P「小鳥は、鳥というジャンルの中で比較的小さいから可愛い。虫はジャンル全体が可愛くない」
A「似た見た目で、大きさが異なる場合、小さい方が可愛い?」
P「そう。なおかつ顔が可愛いなら、それは可愛い」
A「小ささはあくまで可愛さが増す要素で、小さかったら何でも可愛いわけではない?」
P「そう」
ほっぺの表現があると可愛いか
A「ほっぺがピンク色や斜線で表現されていると可愛い?」
P「まあ可愛い」
A「ほっぺはプラスの感情が表現されている?」
P「そうだと思う」
A「ほっぺは顔の可愛さに含まれる?」
P「含まれるかな」
表情
A「泣いている顔や怒っている顔だったら可愛くない?」
P「表情は単なる特徴で、可愛さとは関係ないと思う。イメージを伝えるために表情はある。明るい性格を笑顔で表現しているというだけ」
考察
インタビューを踏まえて、Pと私(A)それぞれが考える可愛さについて考察する。
Pが考える可愛さの基準
Pは顔の可愛さと、顔以外の可愛さの2種類の基準で、対象が可愛いか可愛くないかとその程度を判断している。ここで、顔の可愛さを第一基準、顔以外の可愛さを第二基準とする。第一基準を満たすかどうかは、デフォルメ感、目がついていること、ほっぺが描かれていることなどで判断する。第二基準を満たすかどうかは、色が明るいこと、軽さが感じられること、比較的小さいことなどで判断する。
第一基準は第二基準よりも優先される。第一基準を満たすならば、それは可愛い。顔がついていないが故に第一基準を満たさない場合、第二基準を満たしているか否かで、それが可愛いか否かは決まる。顔が可愛くないが故に第一基準を満たさない場合、それは可愛くない。満たす要素が多いほど、また程度が大きいほど、可愛さは増す。
Pの可愛さの判断基準をまとめるとこのようになるだろう。
私(A)の可愛さの基準
Pの考えに同意する点、反対する点、言及されていない点の3つに分けて私の基準を示す。
顔の可愛さが最も優先される基準であるというPの考えには、概ね同意する。顔は対象のアイデンティティを大きく左右すると、私も考えるからである。ただ、着せ替えや色違いがある場合は、必ずしも顔の可愛さが最優先だとは思わないので、概ね同意に留まる。着せ替えや色違いについては後述する。
表情は可愛さに影響を与えると思うので、表情はただの性格の表現とするPの考えには反対する。怒っている顔はキレ芸として面白く感じられることはあるが、可愛くは感じない。怒っている可愛いキャラクターもいるではないかと思うかもしれない。しかし、そういうキャラクターは怒っている表情自体がデフォルメされていて、本気で怒っているように私には見えない。だから、いくら元が可愛いキャラクターでも、本気の怒り顔であれば可愛くなくなる。表情の可愛くなさが顔の可愛さを上回ることがあり得ると思う。
言及されていない点として、着せ替え、色違い、曲線と直線について考える。
顔が同じで衣装の着せ替えがある場合、衣装の違いによって対象の可愛さが左右され、顔の可愛さが最優先されないことがあると考える。衣装がかっこいい系や綺麗系なら、キャラクターの印象もかっこいい系や綺麗系になり得るからである。「どの衣装のキャラクターも可愛い」と感じることもあり得るし、「この衣装のキャラクターは可愛いけど、あの衣装のキャラクターはかっこいい」と感じることもあり得る。顔が同じなら印象の差は衣装の差だけになり、顔の可愛さよりも衣装の可愛さかっこよさに基準が移行する可能性は十分にあるだろう。
顔が同じで色違いがある場合も、色の明るさの違いによって対象の可愛さが左右されると考える。色違いとは、衣装の作りや髪型は同じで、衣装や髪、目などの色だけが異なるキャラクターのことである。着せ替えの場合と理由は同じである。
曲線は直線よりも可愛いと感じる。具体的には、丸みがあったり、柔らかさがあったりするように感じられる。もちろん、直線のキャラクターは全て可愛くないというわけではなく、例えば四角いキャラクターで可愛いものもある。ただ、目は直線だけで構成されていると不自然なので、曲線である必要があると思う。
まとめ
Pへのインタビューから、Pは顔の可愛さを基準の中で最優先していて、次に色や大きさや軽さを基準に置いていることがわかった。私は、それに概ね同意するが、着せ替えや色違いの場合は当てはまらないと考える。また、曲線であることが可愛さに影響しているのではないかと思っている。