ウミガメのスープと現実

皆さんは、ウミガメのスープというボードゲームを知っているだろうか?これは、一見不可解な状況が書かれた文章を読み、出題者に質問をして、真相に辿り着くことができればゲームクリアとなる、水平思考クイズゲームである。

この記事では、ウミガメのスープと現実を比較して、両者を捉えてみたい。


ウミガメのスープのルール

カードの表面に問題、裏面に答えが書かれている。2人以上でプレイできる。プレイヤーは、出題者1人と解答者に分かれる。出題者は、カードの裏面を見て答え(真相)を確認し、ゲームの司会役となる。解答者は、出題者に質問を繰り返し、協力して真相を解き明かしていく。ただし、出題者は「はい」「いいえ」「関係ない」「わからない(言及なし)」としか答えられない。解答者は答えがわかったら言い、合っていたらゲームクリアとなる。

答えについて

ウミガメのスープ

ウミガメのスープでは、答えは1つだけである。そしてその答えに辿り着く方法も、ルール上は1つだけであり、出題者に質問をして推理することである。

また、現実の問題よりも短い時間で答えに辿り着くことができる。これは、このゲームで使える唯一の情報源である出題者に直接質問ができ、すぐに答えが返ってくるからである。

解答者側で最短でゲームクリアができるのは、答えを既に知っている場合である。しかしそれでは楽しめないだろう。このゲームは推理していく過程が楽しいのであり、ネタバレ厳禁なのである。

中には、現実ではあり得ない状況や遭遇する可能性が非常に低い状況が、答えになっているものもある。だから、ファンタジーの世界や殺人事件に巻き込まれている場合などまで考慮する必要がある。

現実

一方、現実の問題には唯一の答えが存在するわけではない。答えは複数あるかもしれない。1つもなくて、解決不可能かもしれない。そもそも、問題が解決できたのかできていないのか、つまりゲームクリアの基準もわからない。

しかし、過去に解決した(と捉えている)体験は、暫定的な答えとして、次に似たような状況になったときに活かせる場合がある。また、時間はかかるだろうが、実験したりフィールドワークをしたりして、自力で必要な情報を集めることはできる。

また、ウミガメのスープで情報を絞り込みやすい質問は、現実の問題の状況も整理しやすいだろう。5W1H、関係者の人数や特徴、出来事同士の関係などは、考える上で役立つ視点である。ゲームの定石を現実にも活かすことができる。このとき、あり得そうな可能性だけを考慮した方が、解決に繋がりやすい。膨大な可能性を全て確認するのは遠回りになる。

出題者について

ウミガメのスープ

ウミガメのスープでは、出題者が非常に重要である。そもそも出題者がいないと、ゲームが成り立たないからである。

また、出題者が正しく本当のことを言ってくれないと、真相に辿り着くことができない。答えを正確に把握できていなかったり、嘘をついたり、返答を誤ったりすると、正しい情報を得ることができないためである。

解答者側は、出題者を信じざるを得ない。このゲームは、かなり出題者に依存していると言えるだろう。

現実

現実には、唯一の答えが存在しない以上、答えを知っている出題者も存在しない。だから、出題者に依存することはない。そして、出題者が存在せずとも解決可能な問題はある。それは、1人であっても解答者のみであっても、解決できる可能性があることを意味する。

ただ、出題者のように振る舞うことはできる。「唯一の答えは存在し、私はそれを知っている」と主張することは可能である。そのように振る舞っている人を、出題者だと信じることもできる。また、自分の中に答えがある場合は、自問自答するわけだから、自分自身が解答者であり出題者でもあると捉えられるだろう。ゲームのように完全な出題者は存在しなくとも、出題者の要素を含むものは存在する。

まとめ

ウミガメのスープには唯一の答えと、それを知っている出題者が存在する。それに対して、現実にはそれらが存在しない。ただ、現実にも暫定的な答えや出題者の要素を含むものは存在する。また、ウミガメのスープの定石は、現実の問題を考えるときに活用できる場合がある。





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