塩素 理科室

水玉模様の傘がかなしいくらいに完璧な緑色で、私はその時、まだ幼かったんだと、その時にはもう知っていた気がします。
透明にしたかった学生時代を思い出させてくれた詩がある。彩りたかった青春を蘇らせてくれた恋がある。
はなやしきって時間が止まっているよねってきみは優しく微笑んだ。きみはその奥の見えない優しさで、いくつもの人を殺してきたの。
いつか死んでしまうんだよ。みんなみんな。
そうしたらきっと、一輪のお花が咲くのでしょう。
あなたが生きた表明として。私が生きた表明として。
世界は美しかったんだということの表明として。

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