夢と現実の3日間
人が眠っているときに見る『夢』はまだ解明されていないことが多いと聞きます。私自身も夢に関する不思議なエピソードをいくつか持っており、今からするお話はその中の1つです。
ある日の夢。
そこは平和な世界ではありませんでした。争いが絶えないような、そんな世界です。
私には平和を手に入れるために戦うたくさんの仲間がいて、その中の一人の女性と特に親しいようでした。
その女性が私に訴えかけるのです。
「平和を手に入れるためにはあなたの助けが必要です」と。
しかしその夢の中の世界で、私は自分が何者なのかよくわかりませんでした。
いつの間にか夢から覚め、私は布団の中。
この夢は起きてからも覚えていましたが、特に気にしませんでした。
驚いたのは翌日の就寝後のこと。
私はまた夢を見ました。その夢は昨日の続きだったのです。
例の女性もそこにいて、私に微笑み言いました。
「また戻ってきてくれましたね」と。
私はゾクッとしたのを覚えています。
そこで女性はこんな話をしました。
「あなたは本当はこちらの世界の人間です。でも今はここを夢の世界と思わされています。このままだとあなたの夢と現実は入れかわってしまいます」
女性が言うには、私が自分自身で呪縛を解く必要があるとのことでした。しかし当の本人はわけがわかりません。
やがて夢は終わり私は目を覚ましました。
かなり気にはなりましたが、おそらく多くの人がそうするように「夢は夢だ」と自分に言い聞かせました。
翌日夜。
私はまた夢の世界に立っていました。
いつもの女性が現れ、泣きながら私に告げます。
「残念ですがもう時間切れです。あなたの夢と現実は入れかわるでしょう。でも私はあきらめません。あなたが行ってしまう夢の世界とこちらの世界の時間が同時に進むとは限らないから。いつかまた、あなたに」
朝になり目を覚ました私は少し泣いていたと思います。
3日間続いたその夢は、それ以来見ることはありませんでした。
夢は夢でしかない。
当時はそう思いましたし、今でも基本的には変わりません。
しかし月日が流れ歳を重ねて知識も経験もそれなりに増えたからこそ思うのです。
この現実世界はそもそも何もなかったところにビッグバンで宇宙が誕生したらしい。それは科学的ではあるけれど、同時にとんでもなく非日常的なことではないか。それに比べれば夢と現実が入れかわることなど些細なことだと。
私に何かを必死に訴え続けたあの女性。
彼女がどこか別の世界で生きていても何の不思議もないと思うのです。
そして、いつかまた会えるかもしれないとも。