ひと色のことばの連弾
夜明けは一瞬しか見えない
クリームソーダのはじける泡のように
夢とともに消えてしまう
星が天馬の駆ける別の空に
翔んでゆくのを
薄く空いたカーテンから眺めた
子うさぎのちいさな耳に生えた
ひかりが少しずつ溶けて
やがて朝ははっきりとした朝になる
ポケットいっぱいのキャラメルを
今日はいったい誰にあげようかと思う
ためらいも恥じらいも捨てて
お砂糖の甘い匂いにほころぶみたいに
ただ好きだと言えたらいいのに
ただ思っていると言えたらいいのに
ことばにできないことをそのまま
ことばにしないで伝えるには
どうしたらいいだろうね
ことばにできないことをそのまま
ことばにしても肩に手をのせるみたいに
するにはどうしたらいいだろうね
いちょう並木が色づいて
山里のグミの実が熟れて
少しずつ忘れてゆくひともいるけれど
実を啄む鳥を追いかけてたい
ポケットいっぱいのキャラメルを
今日はいったい誰にあげようかと思う
赤ちゃんの手が手加減をしないみたいに
ことばにできないようなことも
そのまま伝えられたらいいな
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