あんこちゃんとクリームくん(4)
(4)ふじえさんはどこにいるの?
「あんこちゃん、きょうはあすかさんは
お出かけするんだって」
「どこに行くのかなあ」
クリームくんは、首をかしげながら
あんこちゃんにたずねました
ひだり側にぷるりんとクリームを寄せながら
「クリームくん、きょうはあすかさんは
ふじえさんに会いに行くの」
「お墓に行くのよ」
あんこちゃんは、得意げにクリームくんに
答えました
あずきとおさとうが混じった、いい匂いを
させながら
「ふじえさんは死んじゃったから
いないんじゃないの?」
「お墓にいるの?」
クリームくんは、さらに首をかしげながら
あんこちゃんにたずねました
「うん、死んじゃったからいないの」
「だけどね、お墓にいってお参りをすると
会えるの」
得意げにあんこちゃんは説明をしてみせます
「じゃあ、ぼくたちはお墓に行かないから
会えないの?」
「お墓に行ったら会えるならまいにち
行けばいいのにね」
クリームくんは、ぎもんとクリームの両方
がはみ出ています
うふふ、クリームくんはまだ子どもなんだから
私も前にあすかさんに聞いたことあるんだから
「あすかさんに聞いたことがあるの。
お墓はね、めじるしなんだって。
ふじえさんと私たちが会いつづけるためのめじるし」
「ふだんは私たちみんなの中にいるから、
会いたいって思えばいつだって会えるんだって」
「クリームくんもふじえさんに会ってるでしょ」
「うん、おつきさまを見た時とか、
お客さんがおいしいって食べてる時とか、
あとね、あんこちゃんと楽しい時とか
あとね、あすかさんが楽しい時とか
悲しそうな時に会ってるかも」
クリームくんは首を元に戻して、元気に答えました
『でも、会ってるのに時々さみしくなるね。
ふじえさんの手でおさとうを混ぜて欲しいな』
これはクリームくんには言わずにおきました
あすかさんは今日はふじえさんと
どんなことを話しているのでしょうね
つづく
◇◇
あとがき
子どもへの読み聞かせ、絵本原作としては少し大人向けだった
かもしれない。今後、絵本原作として書き続ける中では、
子ども年代をもう少し細分化していくことになると思う。
お星さまになった、胸にのなかに住んでいる、というだけでは
お墓の意味が飛んでってしまうので、その点も考えて書いた
つもりではいるが、とりたてて宗教学に即しているとか、
そういうことではない。
やがてはこれも小説版につながる伏線だったりもする。
あんこちゃんとクリームくんシリーズ