成年後見制度と後見人について説明してみる

家族に重度の知的障害者がいるとぶち当たる問題!
それは……
障害者が大人になったら社会でどう生きていくのー!?
お金の管理とかどうすんの?!

当然私もそれにぶつかり、悩みながら日々授業を受けていた。
そんな時に聞いたのが成年後見制度

うちの弟みたいに重度の知的障害者だけでなく認知症など、自分で自分のお金の管理ができなかったり、自分の意思表示が難しかったりする人が使う。
成年後見人と呼ばれるひとが本人に代わって本人の権利を行使する。

さてこの成年後見人、一体なにしてくれるの?っていうと大まかに言うとこう。

「本人の代わりにお金の管理をしてもらう」
「本人の家族が亡くなった時に代わりに面倒をみてもらう」
「本人の意思表示を本人の代理人として行う」

軽ーく具体例あげるとするとそうだな……

認知症で一人暮らしのおばあちゃんの家に布団の訪問販売が来た。
おばあちゃんはその布団が心地良さそうだから高いけど買った。
実はその布団、相場を見てみたら、払ったお値段より遥かに低い値段で買える代物……。
おばあちゃんは損しちゃった。

こんな時に活躍するのが成年後見人!!

なんと、そのおばあちゃんに成年後見人がついていた場合。
その損した契約は破棄できるのである。

仕組みとしてはこう。
「本人に意思決定能力がない」すなわち、
「契約能力がない」とみなされ、
契約を破棄することができるのである。

未成年が買ったものを親が契約取り消しできるのと同じだね。

成年後見人をつけるとどんな感じかなんとなくわかったかな。
他にも業務はいろいろあるけどここでは割愛する。
詳しく知りたい人!
参考に厚生労働省がわかりやすく書いてくれてるものがあるからリンク貼る↓

成年後見はやわかり


障害者の家族の人は一回調べてみた方がいいし、認知症の祖父母だったり将来親が認知症になったら使うかもしれないから調べておいて損はない。
本人の意思決定の能力の程度によって成年後見制度の段階が変わってくるからそこも含めて調べておいて!(最低限知っておくべきこと→任意後見制度、法定後見制度、後見/保佐/補助)

今回は業務は割愛して、成年後見制度の後見人になれる人とそのメリット、デメリットをみていくよ。

成年後見人の分類


この成年後見人、実は決まった職業の人がいるというわけではなく、いろんな人がなれる。

例えば本人の家族がなれる。
親族後見人と呼ばれたりする。

でもこれめちゃくちゃ業務が大変だから、最近は業務に向いてる専門家に任せる場合が多い。
専門職後見人って呼ばれる。

それぞれのメリット、デメリットについて簡単に書くね。

親族後見人のメリット、デメリット

親族後見人のメリットは、利用者側が支払う報酬が安いこと。
デメリットはしんどい業務が何十年も続くこと。

メリットについては専門職後見人の時にまとめて説明するから、デメリットからみていこう。
成年後見人制度って、本人の代理人をするだけだから簡単って思うかもしれないけど実はそうじゃない。
本人の権利を侵害していないか、本人のお金を後見人が勝手に使っていないかを家庭裁判所が毎月チェックする。
そのために後見人は毎月、本人のお金を本人のためにどのくらい使ったか、領収書を全て記録にまとめて提出する必要がある

これ聞いただけでも大変だよね。
それだけじゃない。
成年後見人の落とし穴は、
一度後見人をつけたら外せないこと。

成年後見人をつける時ってめちゃくちゃ審査される。
本人の権利を代わりに行使するって普通なら人権侵害だから。
医師の診断書を出してもらって、この人は自分で意思決定することが難しい人ですっていうのを証明して初めてつけることができる。
だからこそ、成年後見人つけてもいいよって判断が下されたってことは、その人に意思決定の力はないって断定されたってこと。

断定されたらもうそこで決定。
「成年後見人の業務がしんどいのでやめます」
「本人の認知症軽くなってきたからやめます」
はできない

成年後見人って原則、その本人が亡くなるまで続く
認知症とかでご高齢の方の後見人ならまだなんとかいけそうだけど、私みたいに歳の近い兄弟姉妹の成年後見人になるとかはきついぞ。
いいか?
一度決まったら、
自分が死ぬか、本人が死ぬかまで後見人をやらされる。

自分が認知症になったり、精神的に病んで認知能力が落ちたり障害者になったりすればやめられるけどそうでもない限り続くからな。
これは気をつけて。

専門職後見人のメリット、デメリット

専門職後見人の場合のメリットは、
自分たちより詳しい専門家が業務を勝手にしてくれること。
デメリットは、報酬が高い、横領される可能性があること。

親族後見人とはメリット、デメリットが逆だね。
メリットはさっきの話を聞いてたら結構重要なことだとわかるよね。だから割愛する。

問題はデメリット。
報酬が高い。
これはマジで気をつけた方がいい。
相場は月2~6万程度。
数年なら大丈夫かな?(いや十分高いけど!)
何十年も払い続けるとなると高くね……?

ちなみに報酬金額はは本人や家族の収入がいくらかによって融通してくれる。
確か生活保護世帯でも成年後見人使えるようになってたはず。
それにしても高い……。

ちなみに親族後見人は報酬が安いって言ったよね。
親族後見人の場合、報酬は任意
後見人を引き受けてくれた親族が無償ボランティアでしてくれるっていうなら報酬なしとかできる報酬欲しいけど安くてもいいよとか。身内がやるから融通効くんだよね。
ただ、何十年もする業務の場合とか、普通に業務量考えても無償でやらせるの酷じゃないかと思うけどね……。
引き受けてくれる人が良いかどうかはしっかり確認すべき。そこはご家庭の事情次第。

専門職後見人のデメリット、2つ目の「横領される可能性がある」についてなんだけど、正直これは親族後見人でもあり得る
ただ、人によっては専門職は他人だけど親族は身内だからまだ信頼できるって考えで親族後見人を選ぶ人が多いみたい。
だからデメリットで入れてみたよ。

ここまで読んでみるとわかったと思うけど結構成年後見人って難しいし、ハードルが高い。

成年後見人制度……ちょっと厳しいかもって人のためにちょっと緩い制度もある。それもみてみよう。

成年後見人に近い制度:日常生活自立支援事業

なんだその制度!と思ったかもしれない。
まずはなにをする制度か見てみよう。

日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。

対象者
本事業の対象者は、次のいずれにも該当する方です。
・判断能力が不十分な方(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な方)
・本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる方

厚生労働省「日常生活自立支援事業」

成年後見人みたいに自分でお金の管理をするのができなかったり、自分で判断することが難しい人が使えるよ。
でも成年後見人と違うのは契約の内容について判断し得る能力を有していること。
契約内容を理解して同意できる人じゃないとダメですよ〜ってこと。
重度の認知症や知的障害者には使えない制度である。
業務に関してはこれ(下)

本事業に基づく援助の内容は、次に掲げるものを基準とします。
・福祉サービスの利用援助
・苦情解決制度の利用援助
・住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続に関する援助等
上記に伴う援助の内容は、次に掲げるものを基準とします。
・預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続等利用者の日常生活費の管理(日常的金銭管理)
・定期的な訪問による生活変化の察知

厚生労働省「日常生活自立支援事業」

やってくれることは、ほぼほぼ成年後見人制度と同じ。でもあくまで権利主体は本人にある

わかりやすくいうとね、
「本人の代わりに同意します」成年後見人。
「本人が理解できるよう援助して、本人が同意します」
日常生活自立支援事業。

成年後見人は、後見人が勝手に同意する(もちろん本人なら同意するだろうかとかしっかりと吟味した上で!!)。

日常生活自立支援事業は、契約する隣で見守ってくれる感じ。

成年後見人は
自分で自分の権利を使うことを破棄する
からハードルが高いとおもうけど、こっちは自分の権利を自分で使うことを手伝ってくれるだけだから。
気軽に使えると思うよ〜

⚠️私が授業で習った内容、自分で調べた内容をもとに執筆しております。
情報の信憑性等はご自身で判断してください。

自分で調べるのは大事。

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