暗い過去を言葉にすれば、自分が楽になれる気がする。
今までのこと、自分の中にある葛藤を書き出してみることにした。カウンセラーさんに言われたけど、こういう話を出来る友達もいない。
ただ、誰か不特定の人に見てもらい、大変だったね、と言ってもらえたら。
私は親に支配されてきた
ピアノをやりたい、と言った覚えはない。ただ、好きではあった気がする。もう自分の感情なんて分からない、好きだったか嫌いだったか、そんなの分からない。
練習しないと叱る、シャープやフラットを付けなかったら叱る、とにかく怒られた。
官舎に住んでいるとどうしても比べてしまう、友達は外であんなに遊んでいるのに、どうして私はピアノを弾かないといけないんだろう?
少し早く帰らなくちゃ行けなくて、そしてピアノを練習した。
ただ、私がピアノを弾くとみんな褒める。おじいちゃんたち、おばあちゃんたち、ひいおばあちゃんは喜ぶ。本当に嬉しそうだった。官舎の皆も、自分がピアノを弾くとすごい!と集まってきた。
それを見た母は、とても誇らしげだった。何か自分が出来るようになった時に褒めて貰えた記憶はない。ただ、ただ私がピアノに関して褒められると、母は決まって誇らしげな顔をするんだ。
弟はピアノをやらなかった。だからこそ、私は家族全員から期待されているように感じた。だって弾かなかったら怒られる。私は母に甘えたかったし、すごいね!と言って欲しかった。だから、ただやめなかった。
中学は、母が卒業したところ、そして勤めたところに入った。自分が選んだ訳では無い。決してない。パンフレットを見せられ、高校から入ると入試に英語があると知り、当時英語大嫌いだった私は中学から入ることを決めた。この学校行く?ピアノやる?と聞かれた訳では無い。中学から入る?高校から入る?その選択肢しか無かった。
校長、音楽科主任、体育の先生、社会の先生、英語の先生、そしてその他多くの音楽科の先生たちは母の同僚だった。私を宣伝して回った。入試の時から得意げに、他の受験生がいる前で堂々と入試課の先生たちに挨拶して回った。私は他の受験生たちから奇怪な視線を浴び続けた。
他にも、母は先生ではないはずなのに、入学式初日、突然保護者、生徒たちの誘導をし始めた。大きな声を出して。母はそれが正しいと思っているし、正義感に駆られてやっていた。ただ、私の気持ちなんて考えてないんだ。どんだけ変な目で見られたか、母は気にしないんだ。
母はこの学校を立派な成績で卒業し、先生方に気に入られ、立派に勤めたことを常に私に言って聞かせた。成績表まで見させられた。
私は自ら母親がこの学校に関連していると友達に吹聴することはなかった。ただ、どこからか噂は広まっていった。
こんなにすごい母親、そして音楽家の血筋を引いているのに、私はピアノが上手くなかった。それはそうだ、母親にずっと教えて貰っていた訳だから、週一のお稽古とは全く違う。そして私はいつも反抗し、あまり練習しなかった。練習しなさい、そして間違えたら怒られる状況で、誰が自主的に練習しようとするのか。
ただ、私の学校では何でもかんでも順位が出た。そして上手い人は選抜され演奏会でソロを弾ける。
私は自分の現状と、音楽家の家系に生まれたのにピアノが特に秀でていないこと、この狭間で大変苦しんだ。中一、中二と私は選抜されることがなかった。この時の自分を、救ってあげたい。
私は何かと友だちに対して攻撃的だった。自分は友だち、と言うより何か自分を裏切らない、受け入れてくれる、依存してくれる存在を求めていた。親に支配されてきたんだ、私だって誰かを支配し、そこにしがみついていたい。
14人クラスだったこともあって、人間関係によるトラブルは相当だった。私は人をいじめるグループに属していたこともある。ただその代償と、母親がすごい人(という噂が広まった)、これにより中一の終わりごろからずっといじめられる側だった。だからこそ、そんな奴らに負けないように成績を取る事だけは頑張った。
今でも覚えている。中三の頃、英語で100点を取った。先生がみんなの前で褒める。すると、
「絶対ズルしたんじゃないですか~笑笑」と避難と笑いが起きた。先生は止めない。
やっと中三になって私は初めて選抜演奏に出られることになった。とても嬉しかったけれど、クラスメイトは何か喜ぶ私を横目に嘲り笑っていた。
この時の私は、まだ強かった。あんたら選ばれてないくせに、って心で思っていた。何より、これで母親に認めてもらえる、そういう思いが強かった。
その後、この飛躍を見た先生が、コンクールに出ることを進めてきた。なんとか本選に進めたが、その本選にはクラス1位、3位の同じピアノ科の子がいる。言い忘れたが、私のクラスメイトは奇跡的にすごい子が集まっていた。全国レベルの子が何人かいた。
そのクラス1位の子は、全国レベルの子だ。
かなり有名なコンクールだったので、私含め3人が本選に出場すること、それは瞬く間に広がった。クラスメイトは私に聞こえるように言った。
「(私を除く)2人で1位、2位独占してきてね~笑」
私はそれを前日にも聞いた。その時はまだ自分自身が強かったので、私が1位とってやる、と思っていた。
ただ、結果は奨励賞だった。そして、1位、2位は2人が独占した。その時、何かが自分の中で弾けちゃった気がした。もう、私は明日学校に来ないんだろうな、そう思った。
そこから、私は心と身体が暗い何かに支配され、動けない、という経験をすることになった。
また続きは今度書こうかな。
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