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ライブ備忘録:YUKI concert tour "Blink Blink" 2017 @横浜アリーナ 2017.7.2

 2022年にはソロデビュー20周年を迎えるYUKI。
 いまだに「JUDY AND MARYのボーカル」というイメージが強い人もいるかもしれないが、ソロでの活躍も凄まじく、2012年にはソロで東京ドーム公演を敢行し、女性で初めて、バンドとソロ両方で東京ドーム公演を行った
 その後も精力的に活動を行い、2021年4月28日には10枚目となるオリジナルアルバム『Terminal』をリリースし、全国ホールツアーも予定されている。
 そして今まで自分が観に行ったYUKIのライブで最も印象的だったのが、2017年に行われたソロデビュー15周年&8th Album『まばたき』発売記念の全国アリーナツアー「YUKI concert tour "Blink Blink" 2017」の横浜アリーナ公演である。

 2017年3月にリリースされた8th Album『まばたき』は「自称“ミス・大丈夫”(YUKI)がお届けする YUKI史上最強超ド級無敵ポップアルバム」と銘打たれた作品で、キャッチコピーそのままにYUKI流の力強くポジティヴな歌詞が響き、ロックからダンス・エレクトロ・AOR・バラードなど様々なジャンル、それこそYUKIがソロデビューから15年間で取り組んだ音楽性のほとんどを取り入れた極上ポップアルバムとなっている。

 初めて聴いたときから名盤であると確信し、このアルバムの収録曲を横浜アリーナという大会場で、15年分の名過去曲とともに聴けることをとても楽しみにしていた。

まばたき厳禁、最強のオープニング。

 そして迎えた2017年7月2日。ライブ当日。
 女性ファンの多いアーティストなため、毎回開演前は独特の緊張感を味わうことになる。それでも始まってしまったら男女の壁など簡単に取っ払われてしまうのがYUKIの凄さだが。
 場内が暗転しオープニングへ。
 電流が走ったようなSEが流れ、勢いよく照明が点滅を見せた。
 「Blink」(まばたき、という意味)という名のように、フラッシュの点滅がまばたきを表現しているようだった。
 そしてバンドメンバー(ストリングスも含めた豪華布陣)がスタンバイした後、ステージ中央にセットされた階段の上で真っ赤な怪獣のような豪華衣装を纏ったYUKIにスポットライトが。
 印象的なピアノイントロに導かれて歌われたオープニングナンバーは『まばたき』の1曲目でもある「暴れたがっている」。
 「Check,one two」とYUKIが囁くだけで大歓声。ドラムが入ればアリーナ中の観客が揃って手拍子を始めた。

始まる! バイナル廻り出せ 針を落として
何度でも 何度でも 飛び込め
あたしは喋り出す 踊り出す ジーザス!!
生まれたての身体 最高値で
吹き荒れる風よりも 凪いだ海のように
暴れたがっている 暴れたがっている 暴れたがっている

「暴れたがっている」

 YUKIの楽曲の中でもこれほどオープニングにふさわしい楽曲はないのではないか、というくらいの開幕感。無秩序な言葉の並びから強烈な力強さを発するYUKIの歌詞。「ジーザス!!」と叫ぶYUKI、1曲目からカッコよすぎる。
 曲が終わり拍手が巻き起こる中、サポートドラムの白根賢一(GREAT3)が8ビートを叩き始める。YUKIは階段を下り、ステージに降り立つ。
 「行くぞ!横浜!!」とYUKIが叫ぶと2010年発売の5th Album『うれしくって抱き合うよ』収録のロックナンバー「プレゼント」へ。
 自分がライブ前に聴きたい曲としてリストアップしていた楽曲だったので、興奮が止まらなかった。それも新アルバム『まばたき』の中でもトップクラスに好きな「暴れたがっている」と連続とは。とんでもない「プレゼント」をもらってしまった。
 しかもサビでは原曲にはないストリングスアレンジがこの曲のスケール感をさらに広げることに貢献していた。最強。

今が最高な素晴らしいプレゼント
ライフ・イズ・ライク・クルージング!! 満たされた 満たされた
あなたがいるから私がいるんだ

「プレゼント」

 Life is like crusing!!この響き、無敵すぎる。
 YUKIのワンマンで「プレゼント」を聴いているという「今」は、まさに最高な素晴らしいプレゼントだった。
 だが、YUKIからのプレゼントはこれだけでなかった。
 ドラムカウントで始まった3曲目。なんと「ドラマチック」だった。

 TVアニメ「ハチミツとクローバー」のオープニングテーマでもある2005年のヒット曲。
 蔦谷好位置作曲・アレンジによるアップテンポなバンドサウンドと流麗なストリングスが特徴的な楽曲だが、生のストリングスがあまりにも特徴的すぎたため、ライブで披露される機会はこれまで限られていた。
 2015年秋に行われたアリーナツアー「YUKI live dance in a circle'15」でもストリングスとともに披露されたが(このときは約5年ぶりの披露)、そのときまったく予想していなかった選曲だっただけにただただ興奮していたのを覚えている。そして生で聴けるのは最初で最後だろうと。
 まさか早くも2017年夏に、また生のストリングスとともにこの曲を聴けるとは。自分にとっては何よりも"ドラマチック"な出来事だった。
 そしてバックが大音量のバンド・ストリングス演奏だろうと主役はYUKIの歌声。声がオンリーワンなのは当たり前だが、本当に高音の伸びが人間業とは思えない(しかもまだ3曲目なのに)。
 「暴れたがっている」「プレゼント」「ドラマチック」。
 このオープニング3曲の並びを考えた人、天才ではないだろうか。
 さらに3rd Album『joy』収録のシングル曲「ハローグッバイ」でダメ押し。どうなっちゃうんだ、「Blink Blink」は。

少女と大人の二面性

 最初のMC。客席中から飛び交う「YUKI」コールに笑顔で応えるYUKI。歌のテンションそのままに「みんな元気~?」と呼びかける。
 その後次曲の前奏に合わせてバンドメンバーを紹介。今回のツアーでは「The winks」と名付けられたバンドで全国各地を回っていた。
 紹介後にその流れで歌われたのは『まばたき』収録の「名も無い小さい花」。
 「北国訛りの美しい黒髪少女」(YUKIは北海道函館市出身)という歌詞が出てくる郷愁感溢れるこの曲をYUKIは情感たっぷりに歌った。
 そしてここでソロデビュー曲である「the end of shite」を披露。

 JUDY AND MARY解散直後と現在では音楽性も歌声もまったく違うYUKIだが、何度も観客を煽り、ステージを動き回ってパフォーマンスする姿は彼女がJUDY AND MARYのころからずっと持ち続けている前のめりな感情が今も消えていないことを表しているのかもしれない。
 さらに『まばたき』収録曲の中でも最もデビュー時期の音楽性に近い「私は誰だ」を熱唱。
 アルバム『まばたき』の特設サイトに載っているインタビューで、YUKIはアルバム制作についてこう語っていた。

インタビュアー「『FLY』(※2014年発売の7th Album)はYUKIという"歌い手"の可能性を見出すために試みた実験や挑戦を落とし込んでいった作品だったが、今作『まばたき』は自分の中に生まれた抑えきれない衝動や自己主張をストレートに楽曲に反映した作品になった。」

YUKI「自分の言いたいことをまず優先していますし、とにかく言いたいことが溢れ出てきて、暴れたがっている自分を止めることができませんでした。私の心の奥底で生まれたこの熱い感じは、まるで思春期が蘇ってきたかのような感覚でしたね。暴れたがっている今の私を、私自身がとことん面白がって、信じてあげなくてどうする!と思いました」

『まばたき』インタビュー

 インタビューにある「思春期」の衝動性がとても色濃く表れており、『まばたき』のコンセプトを如実に表しているこの曲は、ライブパフォーマンスも完全に15歳の少女のような激しさを魅せていた。また、「私は誰ーー?」と叫ぶYUKIに会場中のファンが全力で「YUKI!!!」と応えるなど、YUKIとファンのとても強固な関係性が伺えた。
 かと思えばガラッと空気は変わりゆったりとしたリズムが特徴の「こんにちはニューワールド」へ。
 北海道の方言も歌詞に含まれているこの曲は、函館から上京してきたYUKIの心情を45歳(※ライブ当時)のYUKIの視点で描いた(ナタリーのインタビュー記事では2008年の楽曲「汽車に乗って」との類似も指摘されている)からこその暖かみが表れており、先ほどまでの衝動性あふれるパフォーマンスと異なり、より等身大のYUKIを表現していた。

 そして生田斗真主演の映画「グラスホッパー」の主題歌にもなったバラード「tonight」。

 サックスソロも最高。横浜アリーナが一気に高級ジャズバーに変化する。
 ラスサビ前の「私は強いの」というフレーズが、「the end of shite」「私は誰だ」「こんにちはニューワールド」と繋げてきたことによって、より成熟した大人の魅力、力強さを発していた。

やっぱり年齢不詳

 「tonight」の歌唱後に一度YUKIは退場。YUKIのライブではYUKIの衣装チェンジのため、ライブ中何回か映像やバンドセッションが差し込まれることがあるが、このコーナーではYUKI本人による様々な「まばたき」を集めた映像が流された(映像化の際には「in the blink of eye」と名付けられていた)。
 映像終了後にYUKIが「レディ・エレクトリック」のイントロのストリングスに合わせてセンターステージに再登場。金髪のウイッグと水色を基調とした衣装に変わっており、衣装には無数のの電飾のようなものが付いているなど、先ほどまでにも負けず劣らずの派手さを誇っていた。
 「レディ・エレクトリック」で会場中を盛り上げた後、メインステージ中央に戻り、YUKIがソロで唯一紅白歌合戦に出場した際(2012年)にも披露された初期の名バラード「プリズム」を披露。

 さらに2011年発売の6th Album『megaphonic』収録のシングル曲「ひみつ」(ここからホーン隊も追加)ではYUKIの足元がかなりせり上がった状態でパフォーマンスを行った。(怖くないのか?)

 「プリズム」「ひみつ」とストリングスが映えるバラードが続き、落ち着きを見せたところで目覚まし時計のように管楽器のイントロが鳴る。
 『まばたき』収録の「バスガール」のイントロである。
 スクリーンにはバスの行先表示のように「横浜アリーナ」と表示され、なんとバスガールに扮したYUKIが行先案内を始めたではないか。
 しかも映像は横浜アリーナ用に録り下ろしたものになっており、オリジナル音源に入っている口上の2倍ほどの時間を使った長尺口上になっていた(後に映像作品の特典として、各地の会場で流されたものをすべて観ることができた)。
 それにしてもこのバスガールの衣装。マジか、となるくらい似合っていた。可愛すぎる。
 本当に45歳なのか?悪魔と契約したとか不老の薬を飲んだとか言われても信じてしまうかもしれない。それくらい映像の中のバスガールYUKIの破壊力は凄まじかった。
 さらにファンクナンバー「メランコリニスタ」でこちらを踊らせてくる。

 ブラックミュージックをJ-POPに取り入れるケースはここ数年で大きく増加したが、この曲は2006年時点で現在のトレンドを先取りしていたとも言える。
 ストリングスとホーンが合わさったゴージャスすぎる生演奏に合わせて愉快に踊り歌うYUKI。あらためてなんて贅沢な"プレゼント"だろう。
 そして生で聴いてもやはり歌詞は意味がわからない。どうしてこんな風に言葉を並べることができるのだろう。
 さらに「ランデヴー」「ワンダーライン」と近年のライブを担う定番曲で畳みかける。

 「バスガール」「メランコリニスタ」の流れで「ランデヴー」「ワンダーライン」。盛り上がらないはずがなかった。
 「ランデヴー」のラスサビ「千切れるくらい高く飛べば 逢えるような気がしてた僕の合図」の部分のライブアレンジや「ワンダーライン」のアウトロのコーラスなどでは観客の歌声も相まって、このゾーンで一番の一体感を生んだ。
 やはり曲順が良い。だからピークへの持って行き方も自然になる。そしてこのような流れを創れるのは、スタッフチームの仕事の凄さと、YUKIの年齢知らずのパフォーマンス力によるものだろう。

私はYUKI

 「ワンダーライン」で観客を沸かせた後、2度目のお色直しのためにYUKIが退場。
 ここではバンドメンバーによるセッションが行われた(映像化の際には「Do the Blink」と名付けられた)。
 どことなくChic「Le Freak」をオマージュしたディスコナンバーとなっており、バンドメンバーのレベルの高さを体感することができた。

 セッション終盤には衣装を替えたYUKIも登場し、曲に合わせてセンターステージまで踊りながら練り歩いた。
 センターステージで歌うのはYUKIの楽曲の中でも1位2位を争うレベルでメジャーな「JOY」。

 はい、盛り上がる。
 YUKIの振り付けを真似てみんな踊る。YUKIが「ふたりをつなぐ呪文は?」と観客にマイクを向けたら「J・O・Y!!!」と叫ぶ。ラスサビ前の「運命は必然じゃなく偶然で出来てる」は「運命は必然という偶然で出来てる」と替えて歌う。
 全部お約束事なのだが、まったく予定調和を感じさせない。YUKIの盛り上げ方が上手く、過度に煽るわけでなく、毎回本人が一番楽しそうに見えるからだと思うのだが、この日の「JOY」は15周年のお祝いもあってか、より喜びが爆発しているようにも見えた。
 「JOY」が終わるとメインステージからギター、ベース、ドラム、キーボード、コーラス、トランペット、トロンボーンの計9人のメンバーがセンターステージにやって来た。
 センターステージで歌われたのは6th Album『megaphonic』収録の「Hello!」と「相思相愛」のアコースティックバージョン。

 ここまでの流れと打って変わって、YUKIもバンドメンバーもリラックスして演奏に臨んでいるのが印象的だった。
 「相思相愛」ではYUKI自身もアコースティックギターを弾き(直前に「STARMANN」をギターで弾き語るYUKIの映像が映し出された)、終盤には「ハミングバード」のコーラス部分を歌うなど、このツアーならではのアレンジで楽しませてくれた。
 曲の終わりには「15年間ありがとう!!」と感謝の言葉を述べるYUKI。場内からは溢れんばかりの拍手が起こった。
 メインステージに戻るとベンチと街灯のセットが用意されており、YUKIはそこに腰掛け「恋愛模様」を歌い出した。
 スクリーンには海外のストリートの絵が映し出されるなど、ジャズテイストな楽曲と相まってオシャレな空間ができあがっていた。
 ベンチと街灯が残ったままのステージで続いて歌われたのは「2人のストーリー」(MVではYUKIが男装を、俳優の加瀬亮が女装をしていることでも有名な楽曲)。6th Album『megaphonic』に収録されているシングル3曲(「2人のストーリー」「ひみつ」「Hello!」)がすべて歌われることとなった。

 さらに『まばたき』収録曲で石原さとみが出演する「花王フレアフレグランス」のCMソングにもなった「聞き間違い」とラブソングが続く。
 ここからYUKIは圧巻のクライマックスへと繋げていく。
 『まばたき』の先行シングルで、TVアニメ「3月のライオン」のオープニングテーマでもあった「さよならバイスタンダー」では原曲そのままに重厚なストリングスが楽曲を盛り立てる。

 「みんな心の中に怪獣飼ってる?」というYUKIの呼びかけから始まった定番曲「鳴いてる怪獣」では会場中がジャンプする。
 YUKIもエレキギターをかき鳴らし、力強く歌う。原曲にはないストリングスとホーンのアレンジによってよりスケールが増し、会場中のボルテージを最高まで持っていく。
 ここで終わらないのがYUKI。さらに3rd Album『joy』に収録されており、以前はフェスなどでも歌われていた「WAGON」でダメ押し。
 YUKIに圧倒的な求心力があるからこそ成り立つ楽曲であり、観客を誰一人置いていくことなく盛り上げた。
 そしてこの曲を歌いながら少女のようにはしゃぐYUKI。やはり年齢不詳だし、15周年が終わってもまだまだファンをYUKIというワゴンに乗せ、見たこともない景色に連れて行ってくれるんだろうな、とワクワクする気持ちになった。YUKIに着いてくれば安心できる、ドキドキできる。
 あらためて日本音楽市場でも稀有なアーティストだと思った。
 オーラスはアルバム『まばたき』でもラストを飾るエレクトロナンバー「トワイライト」。
 この曲はソロデビュー15周年記念で制作された楽曲で、はっきりと目標を決めるのではない、ある種の曖昧さを愛して進んでいくというメッセージを込めて、「薄明り」という意味の「トワイライト」というタイトルになっている。
 原曲のエレクトロサウンドを再構築し、より生楽器が際立つアレンジで届けられたが、何よりも凄いのはここまで26曲も歌い踊っていたYUKI本人が、疲れなど見せないどころか、ここまでで一番の笑顔で歌い踊っていたことだ。

 最新アルバム『まばたき』の楽曲や、豪華なアレンジが加えられた15年間を彩る代表曲の数々が演奏された。
 「トワイライト」の曲終わりにYUKIは「歌っていたのは誰ーーーーーーー!!??」と叫び、観客は「YUKI!!!!」と大声で応えた。
 最後はマイクを通さず肉声でファンへの感謝の言葉を述べた。
 MCであろうとしっかり「YUKI」というキャラクターを守っていたYUKIが、ライブ中で唯一「素」を見せた瞬間のようにも感じた。
 2017年7月2日、横浜アリーナ。
 YUKIのファンになれて本当に嬉しかった日であり、まだまだ「WAGON」に乗り続けるんだろうな、と朧げに思った日でもある。

 2021年4月現在、新型コロナウイルスの影響により、ライブでは未だにキャパシティ制限や発生の禁止など、様々な制限がある。
 YUKIも2021年5月から10月まで新アルバム『Terminal』を引っ提げて全国ホールツアー「YUKI concert tour "Terminal G" 2021」を予定しているが、ライブでの歓声がなくなることにより、「Blink Blink」ツアーの頃とはライブの様相が大きく変わってしまうかもしれない。
 こうして4年前のライブについて書いていると、これまで参加していたライブ体験が懐かしく思えるし、やはりなんとか戻ってきてほしいという思いもこみ上げてくる。
 またYUKIのライブで「YUKI!!!!」と叫びたいし、「鳴いてる怪獣」でカウントしたいし、思いっきり「JOY!!!」と叫びたい。
 今年のYUKIのライブは例年と違ったものになるかもしれないが、それでも今のYUKIが観られることを楽しみにしている。

セットリスト

1.暴れたがっている
2.プレゼント
3.ドラマチック
4.ハローグッバイ
5.名も無い小さい花
6.the end of shite
7.私は誰だ
8.こんにちはニューワールド
9.tonight
10.レディ・エレクトリック
11.プリズム
12.ひみつ
13.バスガール
14.メランコリニスタ
15.ランデヴー
16.ワンダーライン
17.JOY
18.Hello! (Acoustic Ver.)
19.相思相愛 (Acoustic Ver.)
20.恋愛模様
21.2人のストーリー
22.聞き間違い
23.さよならバイスタンダー
24.鳴いてる怪獣
25.WAGON
26.トワイライト

内訳

・8th Album『まばたき』10曲。
・6th Album『megaphonic』5曲。
・5th Album『うれしくって抱き合うよ』3曲。
・4th Album『Wave』2曲。
・3rd Album『joy』3曲。
・1st Album『PRISMIC』2曲。
・2nd Best Album『POWERS OF TEN』1曲。

10th Album『Terminal』

 まだこんな引き出しがあったのか。
 『FLY』(2014年)でのエレクトロダンス路線など、YUKIはそのときそのときのトレンドのサウンドをうまく自分の楽曲に落とし込んできたが、今回もまた世界の音楽トレンドをYUKI流に再構築してみせている。
 アルバム前半では先行シングル「My lovely ghost」のシティポップ感(「シティポップ」と歌詞にも出てくる)や「NEW!!!」でのディスコサウンド、「ご・く・ら・く terminal」(アルバムリリース記念のYUKI web RADIOでは「あつまれ どうぶつの森」に影響を受けてできた楽曲と語られた)での大胆にヒップホップを取り入れるなど新たなYUKI流ポップサウンドを手に入れることに成功している。
 一方アルバム後半の「雪が消してく」以降は、最近のYUKIのライブでドラムを担当している白根賢一作曲の「Sunday Survice」や昭和歌謡のようなイントロが印象的なYUKI本人作曲の「チューインガム」など、前作『forme』にもあったバラード要素が強めの作品に変化していく。
 最新から懐かしい音まで貪欲に取り入れながらも、YUKIにしか歌えない歌詞が載り、そして見事に歌いこなしてしまう。
 この先もまだまだYUKIは進んでいく。そう感じずにはいられなかった。


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