旅行は、未知なる自分に出会う実験
つい先日、仕事で出会ったアメリカ在住の方と、旅行について語り合っていた時のこと。
二人とも、同じ価値観を持っていることが分かり、大感動しました。
それは、旅行は「未知なる自分に出会う実験」である、ということ。
お互いに同じように考えている人が周りにおらず、他の方を差し置いて盛り上がってしまいました。(一緒にいた皆さんごめんなさい)
こういう話ができたことが、本当に嬉しくて、嬉しくて。
せっかくの機会なので、私の「実験」遍歴を振り返ってみることにしました。
①暮らすように旅行する実験
コロナの流行が収まった頃、だったと思います。
家にいる時間が充実し心地よく感じるようになり、旅行先でも同じように暮らす心地よさを味わえないか?と考え始めました。
それからは、「暮らすように旅行する試み」を続けています。
以下が、自分の中でざっくりと決めていたことです。
・国内を中心に2泊以上宿泊する
・ホテルを起点に、散歩気分で周辺を歩いてみる
・有名な観光地は最低限にして、地元の商店街やスーパーに行ってみる
実際やってみると、沢山の発見がありました。
どこも素敵な街でしたが、住む人の性質や街のつくりが全く違うことが分かります。
地元民が集まるところに行くと、観光地に行くと感じられない「人の営み」が、確かにあります。
食べもの、街並み、地元民の会話、お店での過ごし方…
どの街とっても、同じ場所はありません。
特にスーパーには軽装備で行くことが多く、観光客に見られないのか、私はよく地元の方に声をかけられます(笑)
でも、それが良いんです。
自分から声をかける勇気がなくても、声をかけてくれるあたたかさが心地よい。
そうしてだんだんと、自分がその街に適応しようとする様を感じられます。
皆ゆっくり喋るから私もゆっくり話そう、とか、朝に屋台が出るなら私も早起きしてご飯を食べてみよう、とか。
その街の文化を受け取って、自然と変わっていく自分に出会えるのです。
(とはいえ観光客なので、バスなどでは地元の方の邪魔にならないようにしています)
②言葉の通じない国で日本語をしゃべってみる実験
海外も、ひとりでふらっと行く私。
初めての海外旅行は韓国のソウルでしたが、本とにらめっこして簡単な会話を頭に叩き込んでいました。
ですが、最近は、あえてあまり言葉を予習せず、日本語交じりで交流してみる実験をしています。
先日、数年ぶりに行った台湾。
ルンルン気分で羽田から飛び立つ私ですが、前回覚えた台湾語はすっかり頭から抜け落ちています。
着いた瞬間、ある衝動に駆られました。ルーローハンが食べたい。
そこで、地元民が集まる市場に行ったのですが、お店のおばちゃんは英語も日本語も喋れない。気づいた時には、私も台湾語が出てこない。
とりあえず、食べたいものにチェックするであろう紙を書いて、おばちゃんの方に向かう。
「すみません!これ、テイクアウト、できる?????」
身振り手振りで5回くらい伝えたら……出てきました。テイクアウトのルーローハンが。
日本語で伝わってしまいました。ニューヨークの中心で叫ぶ出川さんって、こんな感じなんだな。
海外に行くと、思ってもみない行動をする自分に驚かされることがあります。
内向的な私ですが、知らない街だからこそ、周りを気にせずに一歩踏み出せる。そんな気がします。
一方的に日本語でしゃべってしまったことに申し訳ないような気持ちでしたが、帰り際に笑顔で「謝謝!」と、なぜか敬礼してくれたおばちゃん。
本当に優しくて、涙が出そうでした。全力の「ありがとう!!!」でお別れし、ホテルで食べたルーローハンは、この旅で一番美味しいご飯でした。
……次はさすがに挨拶くらい覚えていこう(笑)
③ひとり旅する私が、誰かと一緒に旅行してみる実験
基本ひとりで旅する私ですが、ごく稀に、誰かと旅行することがあります。
もうお察しかと思いますが、私は複数人で旅行するのが苦手です。
自分の行きたいところに自分のペースで行き、自分で仮説を立てて実験するのが、私の旅行だからです。
そんな私も、誰かと旅行した経験があります。
そして、誰かと旅行に行くと、大体私はブチ切れています(大迷惑)
よく覚えているのが、友人と二人で行った大学の卒業旅行。
行先は、北海道・札幌。
関空から朝の便で出発だったのですが、なんと友人が寝坊。
近くのホテルに泊まっていたのに、時間を間違ったとかなんとかで(本当か?)、生まれて初めてダッシュで搭乗するという経験をしました。
今ではすっかり笑い話ですが、時間と約束を守るがモットーの私は、恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになり、当時は激怒案件でした。
そんな時「私って器が小さいな…」と思ってしまうのです。
ひとり旅ではトラブルも楽しむのに、なぜ誰かと一緒だと許せないのでしょう。
その後も、札幌で小噴火を起こしながら、無事に帰宅。
誰かと旅行に行くことで、周りに迷惑をかけてしまう人間なんだな…と実感した出来事でした。
ちなみに、その友人は、遅れた時も「ごめんごめ~ん!」とあっけらかんとしていました。(それも激怒につながった要因の一つであった(笑))
私も、そんな大らかで明るい人間になりたいものです。
これからも実験は続く
いざ、「実験」を振り返ってみると、色んなことを試してきたんだな~と改めて気づきました。
私にとって、旅行という「実験」は、人生にたくさんの気づきと彩りを与えてくれる存在です。
歳を重ねるごとに旅の形も変化し、自分にとって心地よい旅先での過ごし方ができるようになりました。
何かに迷ったとき、自分を知りたいと思ったとき、私はまた、スーツケースをもってどこかへ飛び立つのでしょう。
まだまだ、行ったことのない場所がたくさんあります。
未知なる場所と自分にワクワクしながら、次の「実験」を待ちわびている今日この頃です。
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