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雪が降って大変!と思うのは実は幸せなことなのだ

今年の島根は雪の量が多い。
1月まではほとんど降らなかった。
今年は余裕じゃん!
なんて余裕をかましていた僕を嘲笑うかのように、2月に入ると相当量の雪がやってきた。

我が家は松江市街地にほど近いのだが、雪の量は全く違う。
車にたくさん雪を積もらせて街中に出ると、周りの車にはまったく雪が載っていない。

『どこの国からきたの?』
と突っ込まれそうなほど、雪国から迷い込んできた車のようだ。
車でわずか15分程度の距離なのに…


さて、そんな我が家の冬の日課は雪かきである。
家から公道に出るまでの道が、200メートル近くと異様に長く、かつその先には断崖絶壁の坂がある。
ある程度積もると、車の運転はハラハラさせられる。
全て雪かきしなければ命に関わるのだ。

雪の量にもよるが、人力で雪かきするには4時間程度はかかる

ここ最近雪が降り続け、かいては積もり、かいては積もりを繰り返していた。
冬場のいい運動だ!
と気合をいれるものの、今年の積雪量は予想をはるかに超え、お陰様でギックリ腰にもなってしまった。

朝一番に玄関をあけ、膝丈以上に成長した雪を見ると、げんなりしてしまう。
そのうち、日々の妻との会話は雪で埋め尽くされた。
当然トーンは低い。

次第に雪が憎きものになっていた。
そして、そんな自分の気持ちに嫌気がさした…


ふと思った。
なんでこんな雪のことで気持ちが落ち込んでいるのだろう、と。
雪かきは大変だ。
しかし、僕らはそれを求めてここに移住したのではないか?

かつての僕たちは自然が溢れるところを求めていた。
無意識に求めていた理想の地を見つけた最初の冬。
雪がとても愛おしかった。
美しい!と感動した。

しかし。
次第に雪かきの大変さにその幸せを忘れ去っていた。


妻にこう伝えた。
『無理に雪かきをするのはやめよう。
雪が降ったら、別の場所に車を止めて、除雪車がきてくれるのを待とう。
雪を憎むんじゃなく、雪を楽しめるようにしたいね。』
と。
とにかく気持ちを切り替えたかった。

かつての自分が求めていたもの。
それがありふれた日常になってしまうと、途端に邪魔になってしまう。
人生にはありがちなことかもしれない。

でも、視点を変えてみると、違った価値を取り戻すこともできる。


白銀の世界。
これは何にも変え難い美しい景色だ。
移りゆく四季を感じられるこの土地に感謝したい。
それこそ今を大切に生きること。
そして、丁寧に生きることなんだと思う。


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