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星野リゾートの戦略から学ぶ⑤|トレードオフを伴う選択をする
こんにちは。あんでぃです。
『おもてなし産業をかっこよく』
を合言葉に、星野リゾートの働き方や戦略の特徴であったり、
現場で働いていて感じることなどをお伝えしております。
本連載では星野リゾートの基本的な戦略を紐解いていきます。
企業戦略を細かく紐解くことによって、成長していくための普遍的な要素を見つけ出していきたいと考えています。
↓第一回はこちら↓
なお、連載にあたり、参考にしているのは、PIVOT 公式チャンネルでの星野リゾート代表、星野佳路のインタビュー「星野リゾートに学ぶ」です。
※一部画像はその際の動画からキャプチャーしています
前回は競争市場において必要な、独自の姿を築く(差別化する)ためのステップとして、生産性のフロンティアを達成することについて解説しました。
今回は第二ステップ「トレードオフを伴う選択をする」について。
トレードオフって一体なんだ??
トレードオフという言葉は昨今よく使われるようになってきました。
主に「両立できない関係性」を示す言葉として使われています。
噛み砕いて言えば、
一つを選べば、もう一つが犠牲になる状態。
「両方欲しいなぁ、でも片方しかもらえないんだよなぁ、どうしよっかな」
という時、トレードオフを伴う選択をしていると言えます。
これって、実際普段の生活でよくあるシーンではないでしょうか。
ランチを食べるお店を考える時に、
ハンバーガーを食べに行くか?
はたまたラーメンを食べに行くか?
と悩んだ時、どちらかを選ばなくてはいけませんね。
(どちらも行く!とか、どっちも販売しているお店にいく!といった意地悪なことは言わないで。。。)
ちなみに、トレードオフの反対には、両立する関係だったりWin-Winの関係といったものがあります。
では、企業の戦略におけるトレードオフとはどういったものがあるか?
星野リゾートの例で考えてみましょう。
星野リゾートのトレードオフにはどんなことがある?
星野リゾートは戦略的に様々なトレードオフを伴う選択を行っています。
![](https://assets.st-note.com/img/1679106717970-79dgXT3GCZ.jpg?width=1200)
例えば運営特化。
以前の記事で紹介した通り、星野リゾートは運営特化をするため、所有するという選択から得られる利益を犠牲にしています。
他にも、サービスチームという選択をとっています。
サービスチームという選択では、分業型のチームで得られる業務の慣れや習熟による専門性を犠牲にしています。
このようにいくつもの犠牲を伴うトレードオフの選択を敢えて撮り続けているのです。
では、いったいなぜトレードオフを伴う選択が必要なのでしょう?
なぜトレードオフを伴う選択が必要なのか?
それは一言で言えば、「真似されにくくなるから」です。
PIVOTの動画の中で、青森屋の例が挙げられていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1679184634797-3zeR3Fn43z.jpg?width=1200)
『青森のテーマパーク』をコンセプトした青森屋では、とにかく青森文化を大切にしています。
青森屋が創り上げるのは、青森の原風景。
馬と密接に暮らしてきた青森らしく、古民家の並ぶ小径には馬車が巡り、随所に、歴史ある祭りの熱気や雪国の暮らしが紡いできた伝統工芸が散りばめられています。
温和で照れ屋な青森人のもてなしで、どこか懐かしい別世界をご体感ください。
ねぶたを代表とする青森文化を前面に押し出すことで、話題となり、見事再生を果たした旅館でしたが、その10年後何が起きたか?
周りの旅館も同じことを始めたのです。
つまり、「青森文化を楽しむ宿泊施設」がコモディティー化してしまったのです。
これは、言葉を変えると、青森文化を楽しめることはトレードオフを伴う選択ではなかったということです。
トレードオフを伴う選択というものは、
簡単に真似されないものであり、
それによって独自の姿を維持でき、
個性が出て、選ばれやすくなる。
トレードオフを伴う選択は、コモディティー化による価格競争とは違う土俵で戦うための戦略といえましょう。
トレードオフを伴う決意ある選択した男の話
ここまで書きながら、とある人物のことを思い出しました。
私が以前働いていた留学業の会社社長のことです。
彼は、フィジー留学というニッチな分野を開拓し、2007年に世界で2番目に大きな英語学校を作り上げました。
そんな彼の不思議な習慣。
それは、雨が降っても傘をささないということです。
大使館での打ち合わせがある日に雨が降っても、彼は傘をさしません。
もちろんずぶ濡れです。
大使館職員は始めはびっくりしますが、彼は傘をささないと心に決めたからやり抜くと説明すると納得されます。
そして、おそらく大使館職員の方はこう思うことでしょう。
「彼は一度決めたことをやりぬく人間だ。信用できる人間だ。」
そのような信頼があってのことか、その後、彼は近隣の貧しい国の人々を受け入れる高校を設立したりと、様々な事業を成し遂げていきます。
この例はかなり極端ではありますが、、、
彼は雨が降った時に、
傘をさす or ずぶ濡れになる
といったトレードオフを伴う選択で、人があまり取らない選択をとっています。
普段無意識にとっている行動も、普通人が取らないであろうトレードオフを伴う選択をすることで、新たな価値が生まれてくるかもしれないね。
と思い、紹介させていただきました。
さて、次回は独自の姿を築く最後のステップ、フィット感についてお伝えしていきます。
『おもてなし産業をかっこよく』
あんでぃでした。
なお、星野佳路のインタビュー「星野リゾートに学ぶ」はこちらからご覧いただけます。
![](https://assets.st-note.com/img/1679098916489-sWKgAribbP.jpg)