脳梗塞のリハビリ迷走記録(PNF編 part2+プール爆上げ編)
PNFによる治療(トレーニング)
基本的な治療の流れはリハビリ病院のものと同じで、まず体の状態を診て(歩行の姿勢、寝た状態での触診等)、緊張が強い箇所をほぐした後に、機能していない箇所(筋肉・関節)のトレーニングを行う。
自分の場合は歩行の際に骨盤の右側(麻痺側)が遅れ、右足を回しながら前に出し、右肩が下がりながら開くという、典型的な脳卒中患者の歩き方(ブン回し)であった。こうした症状は、体幹、特に腹斜筋や腸腰筋、中殿筋等の深いところの筋肉が働かないため身体を支え切れず、後ろに体重をかけながら前に歩くという意味のない修行をしているようだ。歩く際に脚を引き上げて、前に出すという作業を体幹の筋肉(負担が少なくできる)に代わって大腿四頭筋等(負担が多い)でカバー(代償)しているため、直ぐに疲れるとのことであった。
機能していない筋肉を再び機能させるために、残った記憶(筋肉or神経or脳)を呼び起こし、自分の意志で機能していない筋肉を使って何度も同じ動作を繰り返し行って神経の再構築(脳も含む)をする必要がある(らしい)
担当のO氏は時にはゴムのチューブを巻き付け、機能している外の筋肉を動かせないようにして、動きの悪い深層の筋肉だけしか使えない状態にしたうえで曲げ伸ばしを行ったり、得も言われぬ恰好で特定の筋肉だけを使うようなトレーニングを課される。
使えていない筋肉だけを動かすトレーニングのため、思わす口から唸り声がでるが、同じ事を麻痺のない方で行うと拍子抜けするぐらい簡単にできる。
O氏に対して、『人の弱いところを探し出して、そこを集中的に動かせとは性格が悪いぞ(笑)』などと悪態をつきながらも、プロの技に関心した。
停滞後、プール利用で急激な進歩
PNFには週に一度通い、機能していないと思われる箇所のトレーニングをいろいろな方法で行ってきた。トレーニングの翌日には肉体疲労だけでなく軽い吐き気がともなった。この軽い吐き気はリハビリ病院でも何度を経験したので、効いている証拠だと感じる。しかし、実感できるような進歩はなく、モチベーションも下がり始め、寒い時期には月に一度しか通わないこともあった。
もどかしい日々が続くなかで、急に暑くなった2024年5月頃に、治療を受けながら担当のO氏にプールでのリハビリについて相談をした。
PNFに通うのと並行して、時々、自宅近くの中学校の温水プールで歩いたり泳いだり、あるいは担当のO氏の勧めでバタ足だけでの泳ぎを行っていたが、こちらも倦んできたきたので、新たなことをしたいと思い、相談した。
O氏は、「歩きが改善してきたので、プールで後ろ歩きをしてみたらどうですか。中殿筋に効果があるはずです。」と提案された。
素人の自分に効果の予測はできなかったが、さっそく翌日にプールに行き、後ろ向きで一往復歩いた。なにも起こらなかった。
ところが、翌日の朝、出勤するために家を出たらすぐに異変に気が付いた。
右腰が勝手に前に出てきて、後ろからお尻を優しく押されているような感じがする。プールでの後ろ歩きにの効果であることがすぐに分かった。
水の威力おそるべし。
帰宅のころにはすっかり元に戻っていたが、プールに行った翌日には毎回同じような感覚があり、次第に長く持続するようになった。
O氏に報告すると、「プールの中だと感じないかもしれないけれど、狙った筋肉に負荷がかかるようになっているんですよ。じゃあ次はプールの縁に掴まって、右脚(麻痺脚)を軸にして身体が傾かないように左足を横に挙げる動きをしてください。」と課題を与えられる。
こちらも効果は翌日にハッキリ出た。身体がぶれなくなってきた。
すぐに結果がでるので、嬉しくなってくる。小学生並みの精神年齢。
リハビリに対するモチベーションは爆上がり。
改善の次は持続、そして定着と考えて、プールではほとんど泳がず、ムーンウォークを混ぜて徘徊しまくる。楽しくなり、にやける。傍からはどのように見られているかはお構いなし。
また、O氏から指令がでた。大きく腕を振って、なるべく大きく足を踏み出し、その都度グッと腰をおとす歩行をしろという。
やります。がんばります。
(次回はワールドウィング編)