僕の人生を変えたバンドについて~Something Corporate一夜限りの復活と共に~
好きなアーティストについて書こうと思ったら、もうほとんど自分の人生について書いていることに気づきました。
どうもあんどりゅーです。
ここ最近、めっきり音楽に関する文章を書かなくなってしまった。
生活がある程度安定しきて、音楽に対して人生の救いを求めるような気持ちが薄れてきたんだと思う。
自分の何か大切なものがなくなった気がして悲しい。とても悲しい。昔の記事を読んでは、「うわ!昔の俺オモシロー!」と自画自賛をしております。1番のファンは自分かもしれん。
だたこのタイミングで、ようやく書きたいなぁって気持ちにさせてくれた大きな出来事があったので、ここに思いの丈をぶちまけたいと思います。
なぜ僕は音楽を好きなったのか。なぜこのNoteを書いているのか。なぜあんどりゅーというペンネームなのか。
僕の人生を間違いなく作ってくれたであろう"あるバンド"が、16年振りにステージに上がったことで、やっと…やっっっっっっっっと!!!
自分がこの世で一番好きなアーティストについて書く決心がつきました。
はい。よろしくお願いいたします。今回はマジです。
【音楽に触れた瞬間を振り返る】
僕は音楽が好きだ。
なんか断言すると自信無くなってきちゃったから、人並みに音楽が好きだ。
わりと普通なことかもしれないけれど、実はとても幸せなことだと思う。
この世の中には国、言語、ジャンルによって無限に音楽があって、どんなに掘っても、全てには触れられないくらいの作品がある。
これかっけぇ!!と思える瞬間が、好きなアーティストや、好きなジャンルごとにあるのは、この上なく幸せなことじゃないですか?
好きな音楽の数だけ、幸せを感じられる才能を持てたことを、僕は本当に誇りに思っています。
僕と音楽はどのように関わってきたかというと、別に親が音楽を好きなわけでも、楽器をやっていたわけでもなかった。
車で流れる曲は、いつもユーミンかELTかTUBE。完全に父親が好きな曲しかかかっていない環境だった。
ある程度年頃になると、好きな音楽がなんとく出てきて、クラスの友達ともそんな話になってくる。
といってもCMのこの曲かっこいいよね〜、なんて話くらいで、サビ以外は全然知らないレベルなんだけどね。
そうなってくると、父親の古臭い趣味にだんだんイライラしてくる。ORANGE RANGEが聴きたい!とかGReeeeNが聴きたい!と喧嘩腰にリクエストしても、あっけなく拒否られて、ますますムカついてくる。
なぜ俺は小学生なのにユーミンを聴かないとあかんのだ??渋すぎだろ?
結局クリスマスに、親にMP3プレイヤーを説得して買ってもらった。あの時母親は「耳が悪くなるからやめなさい!」と猛反対していた。根拠なき心配。
意外とその部分を父親が説得してくれて、購入に至ったのも覚えてる。その辺は男の子だから理解あったのかもね。
そんなこんなで小学校中学年くらいで、念願の自分だけの音楽を手に入れることに成功した。
言っておくがこの時代、サブスクなんてものはないし、Youtubeもないからな!!平成生まれ、Z世代初期勢なめんな卍
とりあえず親が持っていた槇原敬之と尾崎豊のCDを最初に入れた気がする。なんだかんだ今でも聴いていたりするから、幼少期に触れた音楽ってのはいかに大切かよくわかる。
マッキー、今でも大好きなんだよな。天才だと思うわ。笑う犬の情熱で出てきたコントで使われていた、「遠く遠く」が一番好きです。
CDをPCに取り込んで、そこからプレイヤーに移行する。そんな作業を繰り返して初めて音楽が聴けるのだ。
そのためにはまずCDが必要だった。当時小学生のお金じゃ3000円近いCDは買えないから、いっつも父親と一緒にレンタルCDショップに行って、1枚100円、新作は300円くらいで借りていた。
最初はTVで聞いたことある曲をよく借りていた。
ファンモン、ゆず、小田和正、B'z..
あれ?ジャンルメチャクチャだし、小学生にしてはなんか渋くね?
小田和正いくあたり、絶対親がユーミンとか聴いてたせいだろ?ざけんな。
結局ORANGE RANGEはその時には興味無くなっていたし、なぜかBUMPのカルマとSupernovaのシングルだけは借りていた気がする。一体どこで情報得たんだろうか。
GReeeeNは当時の親友がCDを貸してくれて、馬鹿みたいにたくさん聴いた。今でも僕の大青春ですよ。
そんなGEOにお世話になる人生を送っていた時、TVであるCMを見かける。
CDのプロモーションのCMで、当時CMで流れていた洋楽を筆頭にいろんな曲を集めた、いわゆるオムニバスというものだった。
そのアルバムがこちら
いやー、これわかる人いたら完全にアラサーか、さらに上の世代かもしれない。
なぜこれが当時クソガキ小学生の興味を駆り立てたかと言いますとですね…
この2曲が収録されていたからなんです!!Bad DayとYou're Beautiful。いや今聞いてもくっそ名曲!
この2つがそのオムニバスのCMに使われてて、ああ!聞いたことある!かっこいい!ってなってCDを借りたんですねぇ。
ちなみに収録曲はこちら
ジェームス・ブラント / You're Beautiful
ダニエル・パウター / Bad Day
ドノヴァン・フランケンレイター / It Don't Matter
ジェイソン・ムラーズ / You And I Both
デヴィッド・グレイ / The One I Love
ベン・イェレン / Come On
ジャックス・マネキン / Holiday From Real
ケイティ・メルア / The Closest Thing to Crazy
エリン・ルース / Where to Start
ロブ・トーマス / When the Heartache Ends
オアシス / Songbird
ダミアン・ライス / The Blower's Daughter
リサ・ローブ / Stay (I Missed You)
R.E.M. / Nightswimming
クレイグ・デイヴィッド / Walking Away
ジュエル / You Were Meant for Me
キャスリン・ウィリアムズ / Hallelujah
ジェット / Look What You've Done
ボー・ヤング / Peace Be With You
ギャヴィン・デグロウ / Follow Through
おおはた雄一 / Cancion Mixteca
え、小田和正から洋楽??ってなるかもしれないけど、自分でもその辺よく覚えていないんです。。
当時にしてはかなり早い方で、小学校1年生からケータイを持たされていて、小学3年くらいになるとキッズケータイから普通の携帯に変えたと同時に色気づいて、着うた(古っ!)とかを使い出すんですよ。
当時最強の着うたサイトだったレコチョクとかは、邦楽と洋楽ランキングにに分かれていて、その時割と洋楽もチェックしていたからかもしれない。
生意気にBackstreet BoysのI Want It That Wayとか入れてたし。なんか嫌なガキだな。
今でもレコチョクってあるのね。今までたくさんお世話になってました。
【衝撃の出会い】
まぁそんな経緯でそのアルバムを借りたんですよ。
初めて借りる洋楽のCDは、自分が少し大人になったようで緊張した。
耳から流れる全く理解できない言語で歌われている楽曲に、衝撃を受けたのも覚えている。
Bad DayもYou're Beautifulもすっげぇかっこよくて、うぉおおお!こんな音楽がこの世にあるのか!と一人で感動していた。
ぶっちゃけこの2曲が聴けたら、他の曲に用はなくて、あとはテキトーに聞き流していた。
今思えばoasisもR.E.MもJETも収録されていたのに、当時11歳かそこらの耳には全く響かなかったね。oasisの収録曲がSongbirdなのが悪いと思う。
けれどこのアルバムが、僕の人生を決定づける曲との出会いを生み出す。
今でも覚えてる。当時、寝る前にいつもmp3プレイヤーで音楽を聴いていた。イヤホンをセットし、真っ暗な部屋で横になりながら音楽を聴く。自分だけのとっておきの世界が完成する。
おお!この曲はかっこいい。CMで聞いた曲はこんなAメロなんだ。2番の歌詞はこんな感じなのか。と一人、部屋の隅っこで心を躍らせていた。
が、ある曲を聴いた瞬間、突然、今までにない感覚が僕を襲う。
イントロが始まった瞬間、馬鹿みたいに鳥肌が立つ。
そして脳みそが吸い込まれそうになる感覚と共に、音楽と一緒に感情が持っていかれる。感動で喉の奥に何かが込み上げる感覚。
これこそ、僕の人生を変えたAndrew McMahonとの出会い。
楽曲はJack's Mannequin/ Holiday From Real。先ほどのオムニバスの7曲目に収録されている曲だった。
訳がわからなかった。今までいいなと思う音楽はたくさん聴いてきたはずなのに。なんなんだこの感覚、感情は。
イントロのサイレンが鳴った瞬間に、全てが引き込まれた。体の主導権は完全に曲に握られていた。
あの時の感覚は今でも忘れないし、超えられるものがない。
もう訳が分からなくなって、Jack's Mannequinってなんなんだ!と親のPCを借りてヤフーきっずで鬼の検索をかける。音楽をディグる初めての瞬間。小学校4年生。
調べてみると、どうやらボーカルの彼は以前Something Corporateというバンドを組んでいたらしい。アメリカ人らしい。ピアノを弾いているらしい。
これは..…。彼のCDが欲しい…!
初めて思った。借りるのは嫌だ所有したい。絶対に欲しい。もっと聴きたい。
すぐさまネットで調べた。当時ECなんて今みたいに発達していなかったから、なかなか出てこない。
と思ったら、ヤフオクにSomething CorporateとJack's MannequinのすべてのCDセットが売りに出されているのではないか!!
父親に頼み込んでソッコーで落札した。
当時、家庭用のPCもあまり普及していない中で、初期のヤフオクを使っていたのは珍しかったのかなぁなんて思う。
まるでサンタさんからのプレゼントを待つかのように、CDの到着を待ち侘びた。普通小学生ならゲームとか漫画だろ。けれどあの時の僕は何よりそのCDが待ち遠しかった。
やっと届いたCDに思わず目を奪われた。というのも、レンタル品では絶対についていない、帯がついている。
そこには短いものではあるが、アーティストの紹介や、アルバムの紹介が書かれている。
それを何回も読み返して、やっとCDを開封する。
歌詞カードをまじまじと見る。レンタルしていた時はほとんど見なかったのに、自分のCDが来た瞬間嬉しくて全部読んだ。
そこには和訳カードも付いていて、初めてHoliday From Realの歌詞の意味を知る。
メンバーの顔を初めて見る。
何もかもが新鮮だった。もちろん自分だけのCDというのもそうだが、遠い海の向こうの文化をこうやってダイレクトに触れていることに、特別な感覚を抱いた。
初めてそこでライナーノーツを知る。アーティストについて詳しく書かれた数ページの文章。
僕がこの"思い出ライナーノーツ"というNoteを始めたすべての理由はここから生まれている。
Wikipediaやネットの記事なんかじゃ絶対に知り得ない、当時のシーンの見え方、アーティストへのインタビュー、バンドに対する期待感やアルバムの総評など、宝石のような情報に溢れていた。
ちなみに書いてて思い出したんだけど、このアルバム「Everything in Transit」を中学の時クラスのK君に貸したら、ケースが割れた状態で返ってたのは今でも根に持っている。おい見てっか?一生恨んでんぞ?久しぶりに会いてえな??連絡くれ?
さて、CDを買ったということは、あの一曲と同じアーティストの楽曲が何十曲も聴けるということだ。もう抑えきれないワクワクを胸に再生ボタンを押す。
Jack's Mannequinはとにかくすごかった。正直、Everything in Transitはオムニバスに収録されていたHoliday From Real以外小学生には響かなかったけど(今は大好きな曲ばかり)、2ndアルバムのThe Glass Passengerにまた衝撃を受けた。
SpinningとMiss Californiaのイントロを聴いた瞬間、また全身が持っていかれた。
今だから気付けるけど、僕はイントロに弱い。特にギターのアルペジオ系にかなり弱い。とことん弱い。小学生の時からずっと弱い。
この2曲を比べてみると、まるで兄弟のようにイントロが似ていて、その冒頭から始まる美しさに引き込まれてしまう。
彼の曲は、曲を聴くというよりもむしろ、別世界に連れて行ってくれる感覚に近い。見たこともない情景が、いとも簡単に浮かぶ。
裏でなっているピアノが、ベースラインが、カッティングが…なんてことは微塵もわからないし、考えてもいない小学生の自分は、ただ流れ込むこのメロディに完全にやられていた。
サビでドバッと解放される底なしのキャッチーさ。なのに曲全体に一貫して感じられる奥行き。そして各パートで散りばめられた感情をぐわんぐわんと揺さぶってくるメロディ。
当時、ギターがかっこいい音で鳴ってればRockだろ!ってくらい、ジャンルなんて全く知らなかったが、この瞬間、まさしくEMOという音楽にどハマりしていたんだと思う。
ちなみに、当時好きな女の子からのメールの受信音はこの2曲にしていました。今でも聴くたびに、その時の光景や香り、季節を思い出す。音楽ってそういう魔法がかかるから心底素敵だと思う。
【Something Corporate/人生を決定づける曲】
そしてやっとSomething Corporateの音源を聴く。一体彼はどんなバンドを組んでいたのだろう。どんな音楽を奏でていたのだろうか。
何がJack's Mannequinと異なるのか。全く想像もつかない。たった今、彼の音源で衝撃を受けたばっかりで、何も消化できていないのだから。
曲のスキップを押すと、異様に電池を消耗するMP3プレイヤーを握りしめ、やっとSomething Corporateに辿り着く。
流れてきたのは、1st アルバムのLeaving Through The Window。今思えばここで2nd アルバムのNorthを最初に聴かなくて本当に良かったと思う。あれを最初に聴いてたら、曲調が大人すぎてハマらなかったに違いない。
一曲目が流れる。息を飲んだ。
ピアノの軽快なリズムのイントロから始まったのはI Want To Save You。心地よいドライブがかかったギターが曲を縁取る。
途中からディストーションがかった音と共に、ズクズクとミュートが刻まれる。
聴いた瞬間1発で分かった。完全にJack's Mannequinとは別物だ。
Jack's Mannequinはピアノ、ベース、ギターがそれぞれのパートで支え合い、リードし、ボーカルとメロディを引き立てている。
けれどSomething Corporateは違う。完全にバンドサウンドのそれだ。
メンバーの楽器の音だけで構成された曲。かき鳴らされるギターの音。SoCoならではのピアノによる旋律。ギターと同じレベルで、ピアノがバンド全体を引っ張っていく。
どこまででもまっさらでストレートな音は、遠く離れた極東の島国の、ちんこに毛も生えていないクソガキの人生を変えるには、十二分すぎる魅力と力を持っていた。
あのいきなり下ネタぶっ込まないで貰って良いですか?
はい、すみません....。
そして6曲目。人生が決まる決定的な曲。
この曲については書かせてくださいお願いします…!! 僕の人生のアンセムはこれなんです。
アコギのアルペジオを聞いた瞬間、呼吸ができなかったのをよく覚えている。まるで流れ星が自分の周りに降り注いでいるかのような感覚。そこからパワーコードのリフ。ミュートにのせて歌っていくシンプルな構成。1音1音を掴みに行こうとするたび、体の感覚が遠のく。サビ前、一気に階段を駆け上がっていくような緊張感。合わせて自分の胸の鼓動がどんどんと早まっていく。
そしてサビへ。堰は溢れて感情は行き場を失う。疾走感全開のギターにAndrewの卓越したメロディセンス。要所で光るJoshのコーラスワークがエモさを倍増させる。
途切れることなく2番へ。勢いそのままにエッジを効かせたギターが曲を加速させる。1番とは打って変わって、Bメロではドラムの力強さが前面に。それに呼応するかのようにギターもコード1ストロークから打って変わって、パワーコード+ディストーションで畳み掛ける。一連の流れがあまりにも美しく、力強い。
勢いそのままに2番のサビへ。
そこからだ。この曲の醍醐味は。
2番サビ終わり、コードで落としていくメロディに合わせ、サビが終わりに近づく。心地よいコーラスから、一切の静寂を挟み、この楽曲で初めて繰り出されるAndrewのピアノ。完全なるソロ。たった数秒、このフレーズでこの曲の価値を決定づける最高のCメロ。
これだけで僕の人生は100倍彩られた。ドラム、ボーカル、ギターと順々に重なり、静けさを保ちながらも厚みと緊張感を増していく。まるでピアノが全てを支えているかの如くラスサビへと展開。完璧な強弱、緩急。
増した疾走感は最後をより感情的にさせる。ラスサビだけは、最後にピアノが入り、まるで1本の映画のエンディングを迎えている感覚にさせる。
本気で泣いた。涙が出た。たった3分半。この時間で僕の人生は動いた。
バンドサウンドに乗って、Andrewの魅力が炸裂していた。イヤホンを通して出来上がった僕だけの世界はもう大変なことになっていた。
あの時の感覚を、生涯忘れることはないと思う。
死ぬ直前、もし走馬灯で今までの人生を振り返れるなら、ぜひあの瞬間をまた体験したい。できれば10回くらい。
もちろんJack's Mannequinはかっこいいんだけれど、10代が聴くには少し洗練されすぎている。それよりももっと真っ直ぐで、純粋で、混じり気のない、シンプルな曲の方が、まだ青かった自分の心に響きまくったのだ。
当時19歳(!?)のAndrewが作り出したメロディーは、同じ10代にとって近い目線だったと言うのもあるだろう。
バンドサウンドの良いところはそういうところだと思う。シンプルだからこそ際立つもの、伝わるものがたくさんある。
わかりやすく言うならば、若い時にはELLEGARDENばっか聴いていたけれど、歳を取るとthe HIATUSの方が良かったりする。
昔はホタルイカの沖漬けなんて臭くて食べれなかったけど、大人になるとビールと一緒に食べると死ぬほど美味かったりする。
そうやって慣れや変化によって趣向も、表現も変わっていく。それは聴く方も演る方も同じなのではないか。
ただ、あの時真っ白だった僕にとって、彼らが作り出した初期衝動の塊みたいなものはあまりにも衝撃的すぎた。
それが僕とSomething Corporateとの出会い。Andrew MacMahonとの出会い。
【受けまくった影響と思い出】
そこからと言うもの、僕はSNSや執筆活動など、ありとあらゆるのニックネームを「あんどりゅー」にしている。そう。敬愛なるAndrew McMahonから拝借している。
何がすごいって、好きすぎて使っていたこの名前のおかげで(せいで?)、ついに友人からあんどりゅーと呼ばれるようになってしまったことだ。大学以降に出会った友人には、半分以上その名で呼ばれている気がする。
現在の職場で海外の人とやり取りする際、イングリッシュネームを使うことがあるんだけど、ここでもまぁナチュラルにAndrewと呼ばれている。
すげぇや。自分の名前、変わっちまったもんな。
1つ、忘れられない思い出があって、中学生の時にGREEというSNSが流行っていて、プロフィール欄を好きなアーティストだけで埋めていた。
そうすると検索欄に自分の好きなアーティストを入れれば、同じようにプロフィールに書いている人がヒットして、友達になれる機会が増える。
これ死ぬほど恥ずかしいんだけど、奇跡的にログインできたら当時のままのプロフィールが残っていたから晒します…。
なんでTOTOがTo toになっているのwww
Vow wowってwww
恥ずかしすぎて死にそうなんですがwww 勘弁してくださいうへぇ...。
当時周りの友達なんて、湘南乃風かヒルクライムしか聞いてなかったから、外の世界との繋がりによって、好きを共有できたことが何よりも嬉しかった。おかげで新しい情報もどんどん手に入った。
あ、ちなみにヒルクライムはルーズリーフが一番好きだし、湘南乃風の純恋歌とか着うた取ってました。普通に染まってましたね。
そのGREEで忘れられない人がいて、当時2008年とか、2009年くらいだったと思う。Something Corporateが好きな福岡の大学生の女性と仲良くなった。
なんで僕があんどりゅーというニックネームにしようとしたかと言うと、彼女が「ふぉーる」という名前でGREEをやっていたから。
ふぉーると言うのは、Something Corporateの曲でFallから取っているって話していた気がする。僕も今でもすっごい大好きな曲。
結局人生の中で、「私、Something Corporateが一番好き!」って人と話せたのはその人だけだった。
ネットを通じたテキストだけのやり取りだけだったけれども、あの時はすごい楽しくて、今でも記憶に残ってる。「いつか会えたらいいね」なんてそんな話をしていた。
なんとかして自分のGREEのアカウントには入れたけれど、彼女のアカウントは消えていた。
顔も知らないけれど、曲を聴くとたまに思い出す。
きっと日本ではSoCoのファンは少ないだろうから、彼女がバンド名を検索してこのNoteに辿り着いてくれる。そんな浅い期待を込めてこの記事を書いたのかもしれない。
【一夜限り、奇跡の復活】
なんでまた文章を書こうと思わせてくれたかというと、実は、Something Corporate、Jack's Mannequin、Andrew McMahon in the wilderness のフロントマンでもある、Andrewのインスタのストーリーにこんな動画が上がっていたからだ。
彼は時々、Something Corporate時代の楽曲を使ってストーリーを上げる。この時使われた曲は、I Woke Up In A Car。
この曲を聴くと、まるで自分が本当にWarped Tourの移動中のバンの中にいるんじゃないかという錯覚を起こさせる。
旅行先の朝は必ずこの曲を聴くくらい大好きだ。実はこの曲、Andrewにとっても意味のある曲らしく、それは後述のインタビュー記事の中でも語っている。
Aメロ、フィードバック奏法が、なんとも朝方のハイウェイを想像させる。このフィードバックだけで無限にご飯が食える。
2005年、突然の活動休止。2010年突然の復活かと思いきや、一切音沙汰なし。そんな経緯のあるバンドだけど、彼の中ではそんなに関係性の悪いものではないのかなぁなんて勝手に僕は思っていた。
動画の内容は、どうやら彼の地元、カリフォルニアのオレンジカウンティでAndrew40歳のバースデーパーティーがあったらしいのだ。
ってかアンドリューまだ40歳なのか!一生若いしかっこいいなおい!
日本に住んでる僕には、そんな海外の情報なんて入ってこないし、行きたいと思っても気軽に行けたもんじゃないから、「うっわー羨ましいなぁ..めっっちゃ楽しそう」とぼんやりストーリーを見ていた。
ぼんやり見ていたつもりなのに、Something corporateの曲を聴くと自分の中の感情がどんどんと大きくなって、いてもたってもいられなくなってしまう。
いてもたってもいれない。。。あれ????
ん?????
これさ、、Something Corporateのメンバーじゃねぇか????
あのサングラスかけてるベース、クラッチか。え??マジ???
いや、そんなことはないか...。
一瞬淡い期待を寄せたけど、明日もファッキン仕事だし、その後はフツーに寝た。寝たらなんか忘れた。そんなもんさ。
翌日、通勤の電車で、シャッフルで流れた曲に相変わらずまったく惹かれなくて、いつも通りSomething Corporateを検索して聴く。
そして割と更新されるAndrewのストーリーを、いつもと同じようにをチェックすると、
?
??????
あ、Something Corporateフルメンバーで復活してるじゃん
人間、あまりにも嬉しすぎると大きなリアクションができないらしい。あっけなさすぎやしないですかね??
急いでストーリーにあったAlternative pressのリンクを漁る。彼のリールの動画を見る。Twitterでエゴサする。
マジだった。
彼の誕生日に、解散してから初めてフルメンバーで公の場に立ったのだ。2010年ごろの一時的復活では、Williamが不在だったから、本当にこれが初めてだと思う。
訳がわからなくなって、何をしてもいいかわからず、とりあえず真顔でLeaving Through The Windowをひたすらに聴いた。ちなみにこの時マジで一駅乗り過ごした。
僕が大好きなTwitterアカウント、Rock Is Not DEAD!でもバチこり取り上げられていたので、いよいよ本当だったらしい。
やっぱりあのベースはクラッチだったよな!!合ってたよ!すげぇああああああああああああ!!
もういてもたってもいられなくなって、思わずAndrewにDMしてしまった。
いや既読つくんかい!反応あるんかい!もおおおおおおなんでぇえええ!すき!!!!
自分が好きな音楽は、主に90's-00's初頭のものが多い。多くのバンドは現在すでに活動していないものがほとんどで、特に自分が好きなメロコア、エモ系は、バンドの息が短いジャンルであった。
現在もコンスタントに活動してるバンドはほんの一握りだと思う。活動していても音楽性がイマドキな感じに変わっていたり、音源を10年以上出していない人たちがほとんどだ。
活動している組で行くと、Simple Plan、オフスプ、Green Dayとか。
今どきな感じに変わったのはForever The Sickest KidsやPanic! At The Discoとかね。分かりやすいよね。
何より、メンバーが亡くなっている場合は、特にもうどうしようもない。No Use For A NameのTony Slyなんかは、もう2度とあの声を聴けないかと思うと、過去の音源やライブを擦り切れるまで聴くしかないのだ。
前置きが長くなってしまったけど、要は自分の好きなアーティストの活動をリアルタイムで応援できた試しが極端に少ない!
みんな活休か死んでる!なんで!!本当に僕は悲しい!
しかも海の向こうの音楽ばっかり好きなせいで、仮に活動していても全然気軽にいけない。勘弁してほしい。頼むからどこでもドアの開発を急いでほしい。
そんな中でのSomething Corporateの復活。大好きなジャンル、その中でも一番好きなアーティスト、自分の名前にしちゃうくらい人生に影響を与えてくれたバンドが、こうしてリアルタイムで演奏してくれている。
応援にはいけないけれど、彼らが復活したってのは、自分にとったらもうお祭り騒ぎを通り越して虚無!!放心!!夢を見ている気分なんです。
ちなみに、以前彼がSomething Corporate時代の映像をストーリで懐かしそうに上げてたので、その時も感極まってメッセージを送ったら返ってきたことがあります。
フォロワーめちゃくちゃいるし、スタッフさんが返信しているのかもしれないけど、このスクリーンショットは一生ものの宝物です。戸籍に貼りたい。住民票印刷するたびにこのスクショが刻まれててほしい。俺はAndrewからリプもらったぞ!って。
実は、ツアーやってよ!なんて背景をまったく知らない痛いファンみたいなメッセージを送ってしまったことをめちゃくちゃ後悔している。
というのも、今回のバースデーパーティー、Something CorporateのReunionについて、インタビュー記事が上がってた。
彼の今までのキャリアや今後について、音楽に対する考えや価値観がよく分かる素敵なインタビューだった。
その中でもかなりのボリュームをSoCoについて聞いてくれている。ライターのAlessandro DeCaroさん、本当にありがとうございます。
その中で、なぜ今回再結成に至ったのか、今後活動についての予定はあるのか、などファンが一番知りたい確信に迫ったことが書かれている。
ぶっちゃけ、AndrewにDMを送る前に、この記事はリリースされてたのだけれども、これを見たら全てがわかっちゃいそうで、見れなかったです。
今まで自分が追い続けていたものが、実はあっけないものなんじゃないかと、そんな現実を叩きつけられそうですごい怖かった。
結論から言うと、Something Corporateの復活、今後の継続的な活動、新曲のリリースはないです。
わかっていた。そんなの。わかっていたよ。。わかっていたさ!!!
現在活動しているAndrew McMahon In the Wildernessの活動は、誰がどう見ても順調だし、SoCo→Jack's Mannequinと彼の音楽性の変遷を辿っていくと、今奏でている音楽が一番彼がやろうとしているものだと言うのは、手に取るようにわかる。
40歳を迎えた彼が、00'sライクなパンキッシュでDrive-Thru感に溢れたサウンドを、わざわざ今の活動を削ってする意味は正直ない。
なにより、EMOというジャンルが魅力的なのは、同じ時代を生きていたティーンや20代が、不安定な感情を音楽に反映させていたこと。それをバンド側もリスナー側も共鳴していたことが何より素晴らしかったんだと思う。
これはApple MusicのI Miss Radioという企画内で、Warped Tourの発起人でもあるKevinや、Midtown&Cobra StarshipのGabe Saportaも語っている。
死ぬほど聴きました。おすすめです。ちゃんとSomething Corporateも流れます。パンクムーブメントがどのようにしてEMOになっていったのか。それを取り巻くバンドやファン、伝説的フェス「Warped Tour」による影響についても当人たちの言葉で述べられています。
ぜひ聴いてみてください。
今ここでガチガチにSomething Corporateをやったところで、メンバーもファンもすっかり大人になって、落ち着いてしまっている。きっと懐かしさだけで場が成り立つようになる。
であれば、今回のように何かの節目節目で、その歴史を再確認するようなやり方のほうが間違いなく正しい。
AndrewがAlternative Pressのインタビューで言っていたのは、
「今回誕生日という良い節目だったらこのような機会を作れた。メンバーとは今でも最高の友達だと思っている」
「メンバーそれぞれに家族や自分の人生があるなかで、SoCoを再始動させる可能性は低い。けれどまたいつか来るそのタイミングを僕も願っている」
実は、2005年の時点で3rdアルバムの制作の話が出ていたらしい。
突然の活動休止。Jack's Mannequinとしての1stアルバムリリース後、白血病の発症。人生は自分が思っていた通りにはならないことがある。そんな風にも語っていた。
【おわりに】
今こうして自分の人生を振り返ると、彼が言っているのと同じように、予想通りにならないことばっかりだった。
その中には嬉しいこともたくさんあったし、同時に悲しいこと、目を背けたいこともいくつもあった。
けれどどんな時も、Andrewの楽曲と共に歩んできた人生だったと思う。
彼の曲それぞれに、思い出す景色や人がいて、その1つ1つが自分にとって何にも変え難い宝物になった。
予想もしない出来事の一つに、彼らの一夜限りの再結成ももちろん含まれる。こんなに嬉しいサプライズったらないよな。
僕は彼らに出会ったおかげで、音楽をもっともっと好きになれた。国内外問わずかっこいい!と思える音楽にたくさん出会えた。
一番好きなジャンルは胸を張ってEMOだと言えるし、Drive-Thru Recordsは一生の青春なのは間違いない。
海外に興味を持ったり、楽器を手に取るようになったのも全て、この出会い無しにはなし得ないことだった。
またいつの日か、再結成でも、来日でもいいから嬉しいニュースを聞かせてくれる日を、一ファンとして期待せずに待とうと思う。
ちなみに、今でも初めて買ってもらったMP3プレイヤーは大切に取っといてあります。この記事を書いている時に15年以上振りかに電池を入れたら、ちゃんと起動した。恐る恐るイヤホンを通したら、聴こえたのは相変わらずAndrewの楽曲でした。
本当は各プロジェクト、アルバム、楽曲、ライブアレンジver毎に、色々書きたかったのだけれど、冗長になってしまうのでまた別の機会に。
もし検索でこの記事に辿り着いてくれた人がいたら、どこかで会って、Something Corporateカッコいいよなぁ!なんて話を3時間くらいしてみたいです。