建築BIM加速化事業の制度改正のポイントをわかりやすくまとめてみた
こんにちは。ANDPAD ZEROの曽根勝です。
春の訪れとともに、年度末の繁忙期を迎えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、2023年4月からスタートした「建築BIM加速化事業」についての話題です。
今年も継続的にBIM加速化事業が実施されることが既に発表されていますが、年度の変わり目で、前年度からルールが変更になる点が多くありますので、今回のnoteではわかりやすくまとめていきたいと思います。
アンドパッドとしても、「ANDPAD施工管理」と「ANDPAD BIM⁽¹⁾」が補助対象となるソフトウェア等に認められており、昨年からBIM加速化事業に関わっており、その中で、お客様から制度改正のニーズをお聞きすることも多くありました。
また、アンドパッドが事務局をつとめる建設DX研究所から、こうしたお客様の声も踏まえて、制度改正を要望してきたところ、年度の変わり目にて、様々な点について改善をいただくことができました。
そもそも、建築BIM加速化事業とは?と言う方は、以前投稿したnoteで「建築BIM加速化事業とは?」と言う内容で、建築BIM加速化事業の内容を整理しておりますので合わせてお読みいただければと思います。
昨年度から今年度への変更点
国土交通省の事前説明会において、以下の資料が示され、大きく4つの変更点が明示されました。それぞれについて、解説していきたいと思います。
①小規模なプロジェクトにも対象を拡充
小規模なプロジェクトにも対応できるよう、面積要件、階数要件が撤廃されました。
昨年度は、【地区面積・延べ面積1,000㎡以上かつ階数が3以上】が必須要件となっていたため、中小事業者からは、「対象要件を満たす案件がない」「案件があっても初段階では小さい規模で活用したい」という声も多く、ANDPADユーザー様からもこうした理由で建築BIM加速化事業の活用を断念したと言うお声を伺っておりました。
今年度は、面積要件、階数要件が撤廃されたことにより、中小事業者にとっても本事業が活用しやすくなったのではないでしょうか。
②改修プロジェクトにも補助対象を拡充
新築プロジェクトに加え、既存建築物の改修にかかるプロジェクトも新たに支援の対象となりました。
昨年度は、新築プロジェクトのみが対象となっており、オフィス改修工事の場合や商業施設の改修工事の場合などでは活用ができず、対象が限られていました。今年度からは、改修工事も支援対象となったことで、①と同様に活用できるプロジェクト範囲が拡大する内容となっています。
③大規模な新築プロジェクトの要件付加
大規模な新築プロジェクト(地区面積・延べ面積がともに1,000㎡以上かつ階数が3以上)は、業務の効率化または高度化に資するBIMの活用を行うことを要件化されました。
効率化または高度化に資するBIMの活用として、国土交通省からは以下の内容が示されています。
・クラウド上でのモデル共有等による関係者管の高効率なコミュニケーションや合意形成における活用
・環境影響に対する設計最適化等のシミュレーションにおける活用
・BIM データの重ね合わせによる干渉チェック等の整合確認における活用
・工事計画モデル等を用いた施工現場における安全管理や工程管理における活用
・重機や車両の配置、資材搬送計画等の施工計画における活用
・建機と連動したICT 施工等の工事管理における活用
・モデルデータと連携した部材加工や製品検査における開発
大規模な現場であれば、関係する協力事業者も多くなりますので、現場全体の関係者全員でこうした高度な利用に取り組んでいく必要があります。
④協力事業者への支援の拡充
協力事業者が元請のBIMマネージャーとの調整等に要する担当者の人件費、また、協力事業者が自社でBIM環境整備に関わる業務委託費が1事業者あたりそれぞれ100万円を上限に支援が追加されました。
昨年度は協力事業者が補助対象となる項目が、ソフトウェア利用費や講習会費等が対象でしたが、プロジェクトでBIM活用する上で掛かる人件費やBIM環境構築のサポートに対しても支援が拡大しています。
また、協力事業者へのBIM導入に関する事項として併せておさえておきたい変更点が、「協力事業者による費用負担が必要なくなった点」です。昨年度は、補助対象経費の負担がないとBIM導入と認められませんでした。「協力事業者に費用負担を発生させるのは難しそう」という理由で、BIM加速化事業の活用を断念したという企業様も多かったのではないでしょうか。
今年度は、その要件が緩和され元請け事業者が提供することで協力事業者と認められるようになり、協力事業者自身による費用負担が条件から撤廃されたことで、参加ハードルが大幅に下がったといえるのではないでしょうか。
その他のポイント
その他、今年度から制度内容が詳細に記載された項目として、BIMマネージャーの業務内容があります。これまでは、BIMマネージャーの業務内容がやや不明瞭だったため、事業活用イメージが湧きづらい点もあったかと思います。
今回、BIMマネージャーの業務として下記の具体的な内容が明示されましたので、事業を活用した業務改善の見通しも立ちやすくなったのではないでしょうか。
今後のスケジュール
今年度の建築BIM加速化事業のスケジュールを確認しておきたいと思います。
令和6年1月22日より、代表事業者となる元請事業者等(設計事務所・ゼネコン)の公募がすでに開始されています。令和6年12月までに代表事業者登録し、準備が整ったプロジェクトから交付申請を行います。交付申請の後、令和6年2月までに完了実施報告を行い、補助金が交付されます。
まずは代表事業者登録をお早めに
スケジュールの注意点は、
・着工前・着工済みに関わらず交付申請は4月から始まる
・代表事業者登録は1月22日からすでに始まっている
・補助対象となる期間は、「交付申請後から」ではなく「代表事業者登録完了後から」の期間
ということです。
BIM活用現場が現時点で着工前の場合であれば、先に代表事業者登録を完了させてから着工すれば、交付申請前のBIM活用期間も遡って補助対象とすることができます。一方で、現場が既に着工している場合や、代表事業者登録が着工よりも後になる場合には、代表事業者登録完了前に発生したBIM活用費用(下記図中の青字部分)は補助対象とならないことに注意が必要です。
他方、昨年度すでに申請している現場は、交付申請が8月頃になる見込みですので、その点も留意いただけると良いと思います。
まとめ
今回は令和5-6年度建築BIM加速化事業について、お伝えさせていただきました。
建築BIM加速化事業では、本補助事業を活用してANDPADを利用していただくことが可能となっております。また、アンドパッドでは、施工BIM導入支援・サポートの実施も可能ですので、本補助事業でANDPADを活用を検討されている事業者の方々は、以下のフォームからお気軽にお問合せください。詳細について個別にご案内させていただきます。
以上、ANDPAD ZEROの曽根勝でした。最後までお読みいただきありがとうございました!
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(1):補助対象となるソフトウェアとしての登録目は「ANDPAD図面BIM」